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第68話 内紛
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進級したハイネ達はラーダットに居る。刻々と迫る戦争。それに対して大人たちは疎開させる選択をした。成人前の種族問わぬ男女が天空都市に集まる。この空に浮かぶ島はそこそこ大きい。何十万という学生を受け入れられるくらいに。
町は大人が武装して守るようだ。普段から怪物狩りをしているのだ。それくらいは平気であろうという理由だ。それに町は苔の結界に覆われている。対空兵器も開発された。雷魔術式で矢を放つ電磁式ボーガン。それが対空防御を固めている。
ここでは生徒もボーガンの使い方を習う。体育が射撃になる。
「酷い時代だな」
グレンは溜息をつく。彼は学生を戦争から遠ざけた。これは賛否両論あったが保護者からは圧倒的に支持されていた。子供を危険な目に遭わせたくないのは何処の世界でも同じであろう。学生も恐怖心がある。勇者と狂戦士の戦いの動画でだ。故に皆はボーガンの練習に熱が入らない。しかしハイネはそれで良いと考えている。臆病さがあれば逃げ惑う事は出来るのだから。中途半端な勇気より臆病な方が良い。そう思うのだ。
「全く身が入っていませんね」
戦闘指導員が言う。
「まあ、いざとなれば魔法で逃げるでしょうが」
兵士が苦笑いする。
「本当にこれでいいのか?一部の物に負担を押し付けて」
「それが今の勇者殿の考えだ」
「勇者は500年前と違う不幸をもたらすかもしれない。むしろ勇者は臆病者ではないのか?それと神に対する仕打ちは許せないな」
指導員の目付きが鋭くなる。彼は神を狂信している。
「変えるのだ。正しい姿へ」
指導員はそう言うとその場を離れた。
翌日の事だ。宗教指導者が世界にアンデットと人種の戦いの映像を流した。そこには弓でアンデッドを塵にする姿が映し出されている。勇者ほどの力がなくても戦えることを訴える。そして神をデュラハンに殴らせる映像も公開した。
「神を冒涜する勇者に任せれば500年前の悲劇が繰り返される。勇者は自分の権力誇示のために動いているに過ぎない。今こそ神の名のもと我々が立ち上がらねばならないのだ」
狂信者たちは言う。それに呼応するかのように各地でデモが起こる。500年前の勇者の悪行を公表し皆が疑心暗鬼になる。
「今こそ正義を世界に示すのだ」
指導者の男がそう言った。
デモは大きくなり勇者を弾劾する声が上がる。
「待ってください」
グレンが出てきた。
「皆さん落ち着いてください。これからの戦いは熾烈を極めます。俺は魔族の都市で激しい戦闘を経験しました。だから言えます。数だけではダメだと。数が多ければ被害も拡大します。指揮系統も混乱するでしょう。それを防ぐための少数精鋭なのです。理解してください」
「神を愚弄するか!」
指導者がグレンに詰め寄る。
「待て!」
勇者が皆の前に姿を現す。
「あんた神を信じれば勝てると思っているのか?」
「神の加護がある限り負けはしない」
「そうか。なら好きにしろ。俺は止めない」
そう言うと勇者はその場を去る。
「勇者殿・・・」
グレンが後を追いかける。
「見たか!勇者はあの程度だ。神の加護がある限り我々は勝利する!」
民衆から歓声が起こった。
「勇者殿・・・」
「グレーダース卿、神も魔王も幽閉されている。狂信者にな」
「それではこのまま放っておくと?」
「あぁ、放っておこう」
「神を救い出せば皆も・・・」
「狂信者は聞かないよ。思い込みから抜け出せないんだよ」
勇者は悲しそうに言う。
「それでは・・・」
「あぁ、夏までに少数精鋭の選抜を行う必要がある」
「・・・無駄な血が流れるかもしれませんね」
「奴らの行動より早く動けば問題ないさ」
そして2人は仲間となるものを探すことになる。
「俺は正しかったのだろうか」
グレンは寂しそうに言う。ハイネはグレンの一物を舐めながら少し考える。
「間違っていないよ。グレンはみんなに生きてほしいだけじゃないか」
そう言うと彼の一物を卑猥な音を立てながらしゃぶりだす。
「ハイネ」
グレンはハイネの頭を優しく撫でた。
「あぁ・・・ふう」
その声と共にグレンはハイネの口の中へ暖かい液体を放出する。ハイネはそのまま飲み込む。
「グレン、大丈夫。僕たちには力強い味方がいるよ」
そう微笑むハイネであった。
町は大人が武装して守るようだ。普段から怪物狩りをしているのだ。それくらいは平気であろうという理由だ。それに町は苔の結界に覆われている。対空兵器も開発された。雷魔術式で矢を放つ電磁式ボーガン。それが対空防御を固めている。
ここでは生徒もボーガンの使い方を習う。体育が射撃になる。
「酷い時代だな」
グレンは溜息をつく。彼は学生を戦争から遠ざけた。これは賛否両論あったが保護者からは圧倒的に支持されていた。子供を危険な目に遭わせたくないのは何処の世界でも同じであろう。学生も恐怖心がある。勇者と狂戦士の戦いの動画でだ。故に皆はボーガンの練習に熱が入らない。しかしハイネはそれで良いと考えている。臆病さがあれば逃げ惑う事は出来るのだから。中途半端な勇気より臆病な方が良い。そう思うのだ。
「全く身が入っていませんね」
戦闘指導員が言う。
「まあ、いざとなれば魔法で逃げるでしょうが」
兵士が苦笑いする。
「本当にこれでいいのか?一部の物に負担を押し付けて」
「それが今の勇者殿の考えだ」
「勇者は500年前と違う不幸をもたらすかもしれない。むしろ勇者は臆病者ではないのか?それと神に対する仕打ちは許せないな」
指導員の目付きが鋭くなる。彼は神を狂信している。
「変えるのだ。正しい姿へ」
指導員はそう言うとその場を離れた。
翌日の事だ。宗教指導者が世界にアンデットと人種の戦いの映像を流した。そこには弓でアンデッドを塵にする姿が映し出されている。勇者ほどの力がなくても戦えることを訴える。そして神をデュラハンに殴らせる映像も公開した。
「神を冒涜する勇者に任せれば500年前の悲劇が繰り返される。勇者は自分の権力誇示のために動いているに過ぎない。今こそ神の名のもと我々が立ち上がらねばならないのだ」
狂信者たちは言う。それに呼応するかのように各地でデモが起こる。500年前の勇者の悪行を公表し皆が疑心暗鬼になる。
「今こそ正義を世界に示すのだ」
指導者の男がそう言った。
デモは大きくなり勇者を弾劾する声が上がる。
「待ってください」
グレンが出てきた。
「皆さん落ち着いてください。これからの戦いは熾烈を極めます。俺は魔族の都市で激しい戦闘を経験しました。だから言えます。数だけではダメだと。数が多ければ被害も拡大します。指揮系統も混乱するでしょう。それを防ぐための少数精鋭なのです。理解してください」
「神を愚弄するか!」
指導者がグレンに詰め寄る。
「待て!」
勇者が皆の前に姿を現す。
「あんた神を信じれば勝てると思っているのか?」
「神の加護がある限り負けはしない」
「そうか。なら好きにしろ。俺は止めない」
そう言うと勇者はその場を去る。
「勇者殿・・・」
グレンが後を追いかける。
「見たか!勇者はあの程度だ。神の加護がある限り我々は勝利する!」
民衆から歓声が起こった。
「勇者殿・・・」
「グレーダース卿、神も魔王も幽閉されている。狂信者にな」
「それではこのまま放っておくと?」
「あぁ、放っておこう」
「神を救い出せば皆も・・・」
「狂信者は聞かないよ。思い込みから抜け出せないんだよ」
勇者は悲しそうに言う。
「それでは・・・」
「あぁ、夏までに少数精鋭の選抜を行う必要がある」
「・・・無駄な血が流れるかもしれませんね」
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そして2人は仲間となるものを探すことになる。
「俺は正しかったのだろうか」
グレンは寂しそうに言う。ハイネはグレンの一物を舐めながら少し考える。
「間違っていないよ。グレンはみんなに生きてほしいだけじゃないか」
そう言うと彼の一物を卑猥な音を立てながらしゃぶりだす。
「ハイネ」
グレンはハイネの頭を優しく撫でた。
「あぁ・・・ふう」
その声と共にグレンはハイネの口の中へ暖かい液体を放出する。ハイネはそのまま飲み込む。
「グレン、大丈夫。僕たちには力強い味方がいるよ」
そう微笑むハイネであった。
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