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第40話 魔物との遭遇

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魔術式車に揺られ火山帯を目指す一向。目指すは火山岩地帯。
シルキーの屋敷から火山岩地帯は距離がある。先ずは視察が重要だ。
目的地まであと半分の距離に来た時シルキーは運転手に何やら指示を出す。近くにカフェがあるみたいだ。それにしても何やらニヤけているように感じるのは気のせいか?そして魔術式車はそれなりに混んでいる駐車場に入っていく。

「いらっしゃいませ。これはシルキー様。ようこそおいでくださいました」
店員が出迎える。しかし店員は人間でも亜人種でもない。ネットでしか知らない魔物である。頭は牛、体は逞しそうな人間。ミノタウロスだ。ワイシャツに蝶ネクタイ、黒いズボン。そしてソムリエエプロン姿。いかにも高級感を醸し出す。
「個室でお願いします」
そう言うシルキー。女子3人は何やら嬉しそうだ。
(この店に来るついでに火山岩地帯に行く感じだな。女子3人は)
そう考えるとハイネに何やら期待めいたものが込み上げる。この3人が嬉しそうという事はそういう事であろう。それにしてもこの世界には毎度驚かされる。ファンタジー小説お決まりの冒険や英雄譚が無縁なのだから。現に目の前で魔物がカフェをしているし。

お洒落な個室に入るとメニューを渡される。料金はケーキセットで800ジョニー、その他の食事はセットで1200ジョニー前後。山の中にしては安い方だ。
ふとメニューに個室限定というものが目に入る。
“男のケーキセット 1万ジョニー。要:注文は個室全員分お願いします”
“生絞り牛乳    1万ジョニー。要:注文は個室全員分お願いします”
※写メはお一人様1万ジョニー。動画はお一人様3万ジョニー
(何?このぼったくり値段。しかも個室限定って・・・シルキーはこれが目当てだな)
「それでは個室限定メニューを2種類全員分。それと動画を4人で」
それを聞いたハイネはひとりで納得する。
暫くすると女性のミノタウロスが入ってくる。トレイの上に空のグラスが8つ。グラスを全員の前に並べると女性は服を脱ぎ蝶ネクタイとパンツだけの姿になる。胸から股間にかけて毛が生えていない。そこ以外は普通に牛の体毛に包まれている。女性は大きな乳房に手を添えるとグラスに直接母乳を注ぎ込んだ。女性陣とグレンは動画撮影をしだす。シエルとカブは胸を凝視する。ハイネ肌がきれいだなと感じている。完全に職業病だ。
「全員分だ」
ナッシュは8万ジョニー女性の蝶ネクタイに挟む。すると女性は台の上に座りパンツを脱いだ。そして大きく股を開くとツルツルな秘密の花園を手で開いて見せる。薄いピンク色で綺麗だ。夢中になり撮影する4人と凝視するシエルとカブ。ナッシュは涼しい顔しながらも股間にテントを張っている。ハイネは美術品を見るかのような感動を覚えた。
数分間女性は腰を振りながら体を見せつけると服を纏い部屋から退出した。抵抗があったが牛乳を飲んでみると生暖かいが濃厚で少し甘みがあり美味しい。お代わりしたくなるがトイレが気になるので止めておいた。
それを飲み終わったころを見計らったように店員が現れグラスを下げる。
「凄い!こういう店に来るのは初めて」
シエルが興奮する。
「シルキー様、魔物の体は初めて見ました」
「またコレクションが増えますわ」
「昨日のお礼ですよ」
シルキーがどや顔をする。
それから程なく今度は男性のミノタウロスが入ってくる。これまた服を脱ぐと蝶ネクタイ、ブーメランパンツ姿でケーキとティーカップをポージングしながら並べていく。そして順番にカップに紅茶を注いでいった。
(この世界の貴族って・・・博愛主義者だな)
そう思うハイネ。ミノタウロスの顔は愛嬌がある顔をしている。それでも牛だ。だが貴族たちは楽しそうだ。
「これを」
シルキーはお捻りを彼の蝶ネクタイに差し込む。すると今度はブーメランパンツを脱いだ。
(大きい!大きさはグレンくらいかな。硬さは・・・ナッシュくらい?)
ハイネは股間を凝視する。シエルとカブも凝視する。女性陣は夢中で動画撮影している。
「逞しいですわ」
「目の保養になります」
「喜んでいただけて嬉しいです」
女性陣が興奮したように話す。
“ガタッ”
不意にグレンとナッシュが立ち上がると服を脱ぎだす。細身で筋肉質のグレンにミノタウロスと甲乙つけがたいナッシュの体。そして3人はポージングで語りだす。より美しいポーズを如何にとるか。3人は静かな戦いを始めた。そして暫くこの戦いが続く。
「お客さん、なかなかやりますね」
ミノタウロスが突然口を開いた。
「お前達もな」
ニヤリと笑うナッシュ。
「これでは決着が付きませんね」
爽やかな微笑みを浮かべるグレン。何時しか3人は手を取り合い互いの健闘を称えあう。なにやら友情が芽生えたみたいだ。
「私はドロスです。以後お見知りおきを」
「ナッシュだ」
「グレンです」
目の前に広がる筋肉から始まる友情。女性陣はうっとりと眺めている。シエルとカブも感動している。

店を出るハイネ達一向。支払いはハイネが済ませた。それにしても高いこと。経費で落とすには気が引ける。
(ケーキも美味しかったしこれくらいは自腹で良いか)
そう思いながらハイネは店の裏に広がる集落を見渡す。放たれた羊に豚、広大な麦畑と山に広がる茶畑。そしてビニールハウスが点在しているのが目に入る。
「ここは魔物の集落です。過去に不当な差別に遭った魔物たちが暮らしています」
悲しそうにシルキーが言う。彼女曰くおよそ200年前まで魔物は不当な差別の対象とされていたそうだ。奴隷にされたり住むところを追われたり。その魔物を保護し権利獲得に尽力を尽くしたのがワイズマン家だった。
「あの時は私も子供でしたから」
そう悲しそうに言うシルキー。彼女たちがこの町で慕われているのはそう言う積み重ねの事であろう。
「それでも今が幸せなら良いと思います」
ハイネは静かに言う。
「そう言ってもらえるとホッとします」
シルキーは嬉しそうに微笑んだ。

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