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悪役令嬢

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とある世界のとある学園の舞踏会。

「皆に伝えることがある。我は辺境伯令嬢との婚約を破棄する。そして男爵令嬢と婚約する事を宣言する」

この国の第二王子は満面の笑みで言う。隣にいる男爵令嬢は幸せそうな笑みを浮かべている。

「本気ですか?婚約は国と辺境伯家で取り決めた事です。殿下の一存で婚約破棄は出来ませんよ?」

呆れ顔で言う辺境伯令嬢。

「問題ありません。王様の許可と辺境伯の許可は取ってあります。慰謝料も支払い済みです。隣国で子爵位と領地も購入してあります。あとは殿下の王位継承権の返上と婚姻を結ぶだけです」

満面の笑みで言う男爵令嬢。第二王子はポカーンとする。

「完璧ですわね」

辺境伯令嬢は苦笑いを浮べた。

「聞いていないのだが・・・」

顔を青ざめさせながら言う第二王子。

「言っていませんので。そもそも辺境伯令嬢と婚約破棄したら王位継承権争いで負けます。その先に待っているのは暗殺だけです。だったら何もかも捨てて隣国に移住する方が得策です。私の商才があれば何の心配もありませんわ」

満面の笑みで言う男爵令嬢。

「一つ聞いてもよろしいかしら?」

「はい」

「男爵令嬢ほどの才女が何故、第二王子殿下をお選びになったのですか?」

「前世からの運命です」

「?」

男爵令嬢は語る。前世では男爵令嬢が侯爵家令嬢で第二王子が五代前の国王だったこと。

2人は婚約していたが国王の心変わりで婚約破棄されたこと。

失意のうちに病に伏せた侯爵令嬢は来世では結ばれることを祈ったこと。

そして生まれ変わった2人が第二王子と男爵令嬢として再び巡り合った事を話した。どうやら魂の結びつきで解るらしい。

「そのような最低な男を愛せるのですか?」

「愛しています。前世でも今生でも。殿下も前世での過ちを懺悔しながら全身全霊で私を愛してくださいますわ」

「殿下が貴女を裏切れば平民に成り下がる。故に貴女から離れられない。よく出来ていますわね。ここまで計算し尽くすなんて物語の悪役令嬢みたい」

「まあ、最高の褒め言葉ですわ」

辺境伯令嬢の言葉に瞳を輝かせながら微笑む男爵令嬢。

「お幸せに」

辺境伯令嬢は何かを言いたそうな第二王子にそう告げるとその場を後にした。
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