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第四十五話 女装禁止?

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レナンジェス騒動の翌日、“魅惑の香水”は王に献上された。聖女ミュージー曰く、不全を治療する効果があるのだと言う。

そして王子の子種争奪戦も終了した。

「それでもミーア嬢は絶対に私の娘にします!」

第一王妃がそう言うのをミーアは頬を赤らめながら聞いていた。



「レナンジェスよぉ、お前って女装すると女になるんだなぁ」

食堂でチャールズが揶揄ってくる。

『またママになってくださいね』

ミーアとアリスは悪戯な笑みを浮かべながら言う。

「勘弁してください」

レナンジェスは苦笑いを浮べる。

(あれは危険だったな。恐らく前世の私が出ていたのだろう)

そう推測しながらも思い出すだけで恥ずかしい。

「我は鬼畜なのか?」

ションボリしながらライディースはレナンジェスに問い掛ける。

「その答えは保留で」

レナンジェスはそう言いながら食事を続ける。

『でも…あの設定は素晴らしいですわ』

ネイとリムルはニヤニヤしながら言う。

「朕は勘弁してもらいたい。レナンジェスを母上と呼ぶのは抵抗がある故に」

「今回はミュージーさんに感謝ですね」

レナンジェスはそう言うとW王子は頷いていた。



放課後、レナンジェスは女装姿でミーアの部屋に居た。いつもの仕事である。

「ママ…ではなくレナンジェス殿、昨日の騒動を劇にしたら面白そうではありませんか?」

「まあ…ドロドロになりますが」

「ママ、そんな事よりおやつは?」

アリスがむくれながら言う。

「アリスよぉ、仕事中だから我慢してくれよぉ」

「嫌よ!ママは卒業するまで面倒見るって言ったじゃない!」

「アリス殿、あれは薬の効果ですぞ」

「ムウゥ…」

アリスはムクれる。

「はい、クッキーですよ」

レナンジェスは仕方なく紅茶とクッキーをアリスに差し出す。

「パンケーキが食べたい…」

「ここでは無理です。ママを困らせないで」

「ママの手作りおやつが食べたい!」

「仕方が無いわね」

レナンジェスはそう言うと食堂に卵と牛乳、砂糖を貰いお菓子作りを始める。最後に蒸した物を魔法で冷やして出来上がりだ。

「お待たせしました」

レナンジェスは皆にプリンを渡す。

『本当に男か?』

W王子はプリンとレナンジェスを交互に見つめる。

「今は私達のママよ!」

アリスはそう言いながらプリンを嬉しそうに食べた。



翌日、第一王妃が学院を訪れる。そしてレナンジェスの元にやって来た。

「第一王妃様、私めに何用で?」

「其方に命令する。今後は女装を禁ずる!」

その言葉にアリスとミーアが動揺する。

『何故ですか?』

「聞けば2人にママと呼ばれているそうだな?それが気に食わない!」

(あぁ、この人の性格は俺様王子と同じだ)

『そんなぁ…』

悲嘆に暮れるミーアとアリス。

「…アリウス殿下が結婚すれば聖女殿とルーア殿にママと呼んでもらえると思いますが」

ボソリと呟くレナンジェス。

「…確かに」

「一層の事、もう結婚させれば良いじゃないですか」

「学生結婚か!その手もあるな」

そして何故か意気投合するレナンジェスと第一王妃。

「俺様は純愛で居たいんだ!」

俺様王子がそう叫ぶが王妃は無視する。

「それでは女装を認める代わりにその姿の時は私をお姉さまと呼びなさい」

「はい、お姉さま」

レナンジェスがそう言うと第一王妃は嬉しそうな顔をする。

「ずっと妹が欲しかったの」

そう言いながらレナンジェスを抱きしめる第一王妃であった。




翌日、校則でとんでもない事が発表される。

“レナンジェス=ハックマンのみ今後は女装して学生生活を送る事。
第一王妃”

「何てことだ…」

レナンジェスが思わず叫ぶ。

「フフフ…お姉さんが学院の先生になったのだからレナンジェスは妹として学生生活を送ってね」

振り返ると第一王妃が保険医の服装で現れる。そして嬉しそうにそう言った。
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