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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第九話 前説 通い妻のお知らせ

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 長谷川と荒野原の同棲は、荒野原が通い妻になる事で話が進んだ。
 互いの両親に相談したものの、大人なんだから好きにしなさいの一言。
 2人で話し合った結果そうなった。
 長谷川は防音対策バッチリで、一人で住むには広いアパートに住んでいた。
 無論、防音対策はレアスナタの為である。

 寝ていた長谷川は、寝室から美味しそうな匂いがする居間へと向かった。
  
「おはようございます」
「おはよう、いや、もうお昼だけどもね、訳で台所を借りてご飯を作りました」
「まじか、頂こう」
「温めるから座って待ってなさい」

 荒野原はエプロン姿でささっと支度にかかる。
 待っていると具沢山のスパゲッティと、人参ジュースがテーブルに置かれた。

「いただきます」
「今日は隷属の神イベントの最後をするんだよね?」
「俺自身オチを知らないから楽しみだ」
「どんな変化球が来るのか」
「夕方からだよね? 待ち合わせ」
「ああ」
「それまでどうする?」
「荒野原さんさえ良ければ、レアスナタをしたい」
「ならこの間言った授業でもする?」
「え? 生徒達集められるの?」
「今日は休日だから、多分集まるんじゃないかな?」
「そうなん?」
「私のクラス、レアスナタガチ勢の方々で集まってるから」
「名前忘れちゃったけど、あの老夫婦も?」
「石田さん達ね、定年退職してレアスナタを始めたらしい、元々ゲームが好きで多趣味らしい」
「ほう」
「とりあえず、連絡してみるわ」

 スマホを操作する荒野原と、お上品にスパゲッティを食べる長谷川。

「うむ、石田さん達以外おっけーらしい」
「そうか、今直ぐに行きたいが、ご飯はじっくりと食べなければらならい」
「そうなの?」
「中学生の時に母さんにガッツリ怒られた事があってね」
「なんて?」
「『親子の会話の時間も無いのか』ってね」
「んん?」

 長谷川の手が止まり、凄く深いため息をした。

「俺はレアスナタ一筋で、休日のほとんどは、朝からゲートに出かけていた」
「ふんふん」
「平日は平日で、学校から帰ってきたら勉強や家事の手伝いをしていた」
「偉いじゃん」
「いや、全てはレアスナタをやるためだからね」
「それでも偉いじゃん」
「……母さんや父さんが家事ありがとうっても、ああとか、どういたしましてじゃなくて」

 今の自分から見て、相当痛々しい行動だったと悔いる様な顔をしている。

「レアスナタをするためだから、って死んだ様な目で言ってたらしい」
「ええ……それ大丈夫じゃないじゃん」
「ああ、だから家族会議になってね、簡単に言えば『人との繋がりを大切にするゲームをしていて、身近な人をないがしろにするのか?』ってね」
「おお~いい所をつくね~……って、勉強はまだしも、家事とか押し付けられていたの?」
「いや俺が自主的にしていた、何かを要求するなら、こちらに隙が無いようにとね」
「隙?」
「例えば、勉強もしないのにとか、家の手伝いもしないのにとかね」
「なるほど、ちなみに学校の内申点は?」
「生徒会長やるくらいには」
「す、すげぇ、よくそこまで出来たね、それで怒られてどうなったの?」
「無理に家事や勉強しなくなった、家族との時間がそれなりに増えた、友達が高校から増えた事かな」
「レアスナタの時間は?」
「徐々に増えていったな、ただ、やりすぎないようには注意している」
「……本当?」

 荒野原は疑いの目を長谷川に向けた。

「好きな事でもずっとやり続けると飽きるからな」
「なるほど」
「……そして今日ほど親に感謝した事は無い」
「どうして?」
「親に怒られてなかったら、この時間を大切なものとは……感じなかっただろうから」
「へへへへ……って、それは嬉しいけど速く食べなさい」
「ああ、そうだな」

 長谷川はゆっくりとスパゲッティをたいらげた。

「ごちそうさまでした」
「はい、ありがとうございました」
「今更だけど荒野原さんは食べたの?」
「もちろん、洗い物しておくから出掛ける準備をしなさい」
「客人にそこまでしてもらうのは」
「客人? 貴方の彼女です」
「……とりあえず用意するよ」

 鼻歌を歌いながら洗い物をする荒野原と、そそくさと準備をする長谷川。
 そしてゲートへ行く道中、長谷川はハッとした。

「あ、授業っても何も考えてないや」
「大丈夫、自分のキャラクター、つまり縁の持論を話すだけでいいから」
「そうは言ってもな」
「今日やる事は簡単、前回の生徒達の反省と、連絡手段の説明、神の加護の注意事項だね」
「まとめてくれてありがたい、そう言われると乗り越えられそうだ」
「頑張って、ガチ勢さん」
「いやあんたもだろ」

 ゲートに到着して受付を済ませる。
 ロビーには行かずに学校前に集合になった。
 プレイルームに入り、長谷川は準備をする。

「行くぜ! レアスナタの世界へ!」

 何時もの変なポーズと共にスタートボタンを押した。
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