上 下
110 / 297
第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第七話 前説・幕開き 流れのお知らせと過去の絆

しおりを挟む
 今日は過去の絆を助けに行くという、ロールをする為に集まった長谷川、荒野原、あゆさ。
 ログインをしてロビーに集まった。

「今日の流れはどんなのなんだ? 妹よ」
「ん? 簡単だよ? 過去の絆ちゃんを助けに行くのだよ」
「いつもながら説明簡単だな」
「ガチ勢の兄貴と姉貴ならこの説明で十分じゃん」
「せめて入りを教えてくれ」
「再び過去にワープした縁達、付いたのはまた森の中! 絆を助けろと言われたけど場所がわからない、だがその時悲鳴が聞こえたのだった!」
「わかりやすい導入だ、また過去から始まるのか?」
「うん、カット出来る所はカットしよう」
「了解」
「んじゃ、準備が有るから少し待っててから開始よろしく」

 絆はそれだけ言うと、メニューを操作して消えた。

「さてさて、今日はどんなお話になるんやら」
「過去の絆ちゃんを助けに行くお話」
「まあそうなんだけど」
「どんな色……いや、音にするかは私達次第よ?」
「そうだな」
「ん? 準備出来たみたい」

 メールを確認するスファーリア。

「早いな、よし行くか」
「うん」

 2人はメニューを操作して、その場から消えた。

 縁とスファーリアは運命に導かれ、再び過去へとやって来た。
 また森に放り出された2人は辺りを見回す。

「また森か」
「場所は違うようだけどね」
「ささっ絆を――」
「お兄ちゃん! 助けてー!」

 森全体に響き渡るような幼い女の子の声が響いた。

「今の声って!」

 スファーリアが縁を見た時には、もうその場には居なかった。
 悲鳴が聞こえた方向へ、トライアングルに乗って向かう。
 その聞こえた方向では。

「鬼ごっこはおしまいだ、お嬢さん」
「小さいとはいえ不幸の神、油断するなよ」
「ま、ささっと片付けましょ」

 大人3人に追い詰められた小さい絆が怯えていた。
 黒い着物を着た絆は泣きながら頭を抱えている。

「絆、悪い事してないのに! 何で絆を殺そうとするの!」
「お前さんは生きてるだ――」
「おいゴミ、俺の妹に何するんだ?」

 絆を守る様に立ちはだかった縁は、一番近い男を思いっきり蹴った。
 蹴られた男は有無を言わさずぶっ飛ばされて、木に激突する!

「なんだてっ! むぐぅ!」
「死ね」

 縁はボケっと突っ立っている男の首を、右手で握り潰すように持った。
 それと同時に、トライアングルの音が響き渡る。
 絆を襲おうとしていた輩は全員気絶した。

「縁君落ち着いて、小さい絆ちゃんの前でそれ以上はダメ」
「……すまねない」

 ゴミを捨てる様に持っている男を投げた。
 絆は脅えながら縁達を見ている。 

「絆、大丈夫か?」

 縁は優しい笑顔をしながらしゃがみ、目を合わせるが……。

「ひっ!」

 絆は後退りする、その反応を見て自分の行動が軽率だったと痛感した。

「縁君、怖がってるじゃない」
「……反省する、てか凄い後悔している」

 過去とはいえ、実の妹に拒絶されてしょぼくれる縁。

「……え? 縁? それにこの知ってる運気……お兄ちゃん?」
「ああ」
「本当にお兄ちゃん? 何で大きくなってるの?」
「ずっと未来から絆を助けに来た……っても簡単には信――」
「おにぃぢゃーん!」

 絆は泣きながら縁に飛びついて来た!
 無き止むまで待ってあげる事に。

「お兄ちゃんだお兄ちゃん! この運気はお兄ちゃん!」

 安心しきった絆は縁に抱っこされていた。

「絆、どうしてこの森に?」
「……筆箱隠されたから」

 その一言を聞いて縁は鬼の形相になる。

「縁君、落ち着いて? そういうのは、この時代のお母さんに任せましょ?」
「え?」
「それくらいの覚悟があって……絆ちゃんにちょっかいかけてるんでしょ」

 スファーリアはトライアングルを叩いた、それを興味深々に見る絆。

「お姉ちゃんはだあれ? あれ? 結びお姉ちゃんと同じ運気がするんだけど?」

 絆は首を傾げながらスファーリア見る。
 結びという発言に縁ははビックリしていた。

「絆、結びを知っているのか?」
「もちろん、お兄ちゃんも一緒遊んだの覚えてないの?」
「あまり覚えてない」
「一緒に遊んで、かいがりゅう? の技教えてもらってたよ?」
「ああ……ただの蹴りか」
「そうそう! それ以外にもかくれんぼしたり色々としたよ? でも、修行が忙しくなるなって言って、来なくなったの」

 楽しそうに思い出を語る絆に、2人も自然と笑顔になる。

「でもお姉ちゃん不思議な感じになっちゃったね? 上手く言えないけど」
「今の私はスファーリア」
「す、すふぁー?」
「結びでいいよ」
「わかった!」
「よし縁君、絆ちゃんをささっと安全な場所に」
「いや、兎術を使って父さんに連絡しよう、下手に動いて絆に何かあると自制出来ない気がする」
「だね」
「兎術」

 白い兎が現れて走り去っていった。

「あ、絆の筆箱も探さなきゃ」
「そうそう絆、筆箱ってこれか?」

 縁は鞄から黒い兎の形をした筆箱を取り出した。

「何でお兄ちゃんが持ってるの?」
「この森に来てまたまた見つけたんだよ」
「ありがとうお兄ちゃん!」

 筆箱を受け取った絆は最高の笑顔をしていた。
 父親が来るまで、その場に待っている事に。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。

紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。 アルファポリスのインセンティブの仕組み。 ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。 どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。 実際に新人賞に応募していくまでの過程。 春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)

終末世界と少女と兵士。

幽零
SF
『僕は英雄でも無ければ、特別でもない』 一人の元軍人が自分の失った記憶を取り戻すために、彼は終末を迎えた世界へ旅立つ。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)
SF
本作はなろう旧版https://ncode.syosetu.com/n0733eq/を改稿したリニューアル改訂版になります。  八重樫晶羅(高1)は、高校の理不尽な対応で退学になってしまう。 生活に困窮し、行方不明の姉を探そうと、プロゲーマーである姉が参加しているeスポーツ”Star Fleet Official edition”通称SFOという宇宙戦艦を育てるゲームに参加しようと決意する。 だが待ち受けていたのは異世界転移。そこは宇宙艦を育てレベルアップさせることで生活をする世界で3年縛りで地球に帰ることが出来なかった。 晶羅は手に入れた宇宙艦を駆り、行方不明の姉を探しつつデブリ採取や仮想空間で模擬戦をして生活の糧とします。 その後、武装少女のアバターでアイドルになって活動したり、宇宙戦争に巻き込まれ獣耳ハーレムを作ったりします。 宇宙帝国で地位を得て領地経営で惑星開発をしたり、人類の天敵の機械生命との戦闘に駆り出されたり波瀾万丈の生活をおくることになります。 ぼっちのチート宇宙戦艦を育てて生き残り、地球への帰還を目指す物語です。 なろうでも公開していますが、最新話はこちらを先行公開する予定です。

処理中です...