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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
第六話 幕開き その出会いは合縁奇縁
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縁と斬銀は雑に舗装された道を歩いていた。
斬銀の親友が眠っている墓へ行くためだ。
「すまねぇな縁、親友の墓参りに付き添ってもらってよ」
「いやいや、いいですよ」
「おお見えた、あれだ」
「おや? 誰か居ますよ?」
目的の墓に既に先客が居てその人は透けていた。
その人物は縁が過去に行った時と同じ服装と容姿をしている。
オールバックで動きやすそうな戦闘服、そして見るからに年齢が若い。
「よう隼士、久しぶりだな」
「おお斬銀、今年も墓参りありがとうな」
「いいってことよ」
斬銀と隼士は熱い握手を交わした。
「斬銀さん、この人は?」
「この間病室で話した、俺の親友だよ」
「ああ、幽霊になったという」
「君が縁さんかい? 話は斬銀から聞いているよ」
「初めまして」
「よろしく」
「んじゃ、墓掃除をさっさと終らせて行くか」
「何処にですか?」
「今日は冥界でお祭りがあるんだ」
「お、お祭り!? 縁日って事?」
「縁も冥界の事情は知らないか」
「流石に死者の国は知らないよ」
「まあ、入るには資格が色々と居るんだが、隼士の口添えが有れば大丈夫だろ」
「隼士さんて凄い人なんですか?」
「冥界の平和を守ってる隊長さ」
「と言っても位は下の方だがね」
「行ってみたいです、死者の国のお祭り」
「よし、墓掃除頑張るか」
縁とち斬銀はささっと掃除をして、花や団子を捧げた。
「まあ、こんなもんだろ」
「2人共ありがとう、んじゃ、冥界へご招待しよう」
隼士は手を叩くと天へと続く、透明な階段が現れた。
「この階段を上がれば冥界さ」
「行こうぜ」
3人は階段を登り冥界へ。
着いて直に目に入ったのは、煌びやかなお祭りの会場。
一般的なお祭りの雰囲気となんら変わりなかった、店番やお客が幽霊だったり、死人だったり、骨だったりする以外普通だ。
「おお、ここが冥界! ってなんか華やかですね」
「暗いイメージが有ったかな? 私も死んで来た時は衝撃的だったよ」
「今日は縁の行きたい所に行こうぜ」
「パッと見た感じ色々と屋台が有りますが……って、流石に冥界のお金はありませんよ?」
「私が払おう、斬銀の飲み食い代よりは安いだろう」
「すみません」
「いいんだよ、見て回ろうか」
隼士を先頭に歩き出そうとした時、縁は何かを感じてキョロキョロし始めた。
「これは?」
「どうした縁」
「いや、なんか向こうから呼ばれる感覚が」
「お、何だ何だ、行ってみようぜ」
縁は迷うことなく歩き出して、斬銀達はそれに続く。
様々な動物達が沢山居る出店で縁は足を止めた。
動物達は檻に入れられてるが、幽霊の様に透けている。
「おやおやいらっしゃい、未練を持って死んでしまった動物達の出店にようこそ」
「この店に何か運命を感じたんだけど」
「少々お待ちを……」
店主は品定めをするように動物達を見た。
「ああ、この子ですかね?」
店主が抱っこして縁に見せたのは、赤色が血だらけ模様に見える白い兎だった。
その兎は悲しそうな顔で縁を見ている。
「このこは生前、この身体の模様で愛される事無く死んでしまった兎」
「模様で? 何時の話ですか?」
「何世紀も前の話ですよ」
「ふむ、それくらい前ならその価値観でも仕方ないか」
「どうですか? 縁起身丈白兎神縁様、この子を幸せにしてやってくれませんかね?」
「……冥界だからわかるのか?」
「噂は色々と、で、どうなされます?」
「これも何かの縁ってな、いくらなんだ?」
「いやいや、お代は結構です、その子の未練が少しでもなくなるのであればね」
「俺の所に来るかい?」
兎は有無を言わずに縁に飛びついた!
縁は抱きとめると、器用に縁の鞄の中に入って頭だけ出す。
「ほお? なかなか可愛げがあるじゃねーか」
「ふむ、兎の神だけあるね、その子も安心しているようだ」
「で縁、名前はどうすんだ?」
「うーむ……合縁奇縁とか」
「あいえんきえん? 意味は何か有るのか?」
「ふむ、合縁奇縁は色々と当て字があり、いい意味にも悪い意味にもなる」
「簡単に言うとなんなんだ? 隼士」
「その縁が良いか悪いかは知り合ってみないと分からない……かな? 少々違うかもしれないけどな」
「ほー中々考えさせられる名前だな、ただ長くないか? 愛称作ろうぜ」
「うさちゃんとか?」
「おいおい、安直じゃーねか?」
「いや、本人は気に入っているぞ?」
「ええ?」
斬銀が合縁奇縁を見ると、自信満々な顔をしていた。
「まあいいか、他にも出店は有るんだ、見て回ろうぜ」
「ああ……お爺さんありがとう」
「いえいえ、こちらこそ」
「お、そうだ出店で名物が有るんだ、付いて来てくれ」
隼士を先頭に一同は歩き出す。
斬銀の親友が眠っている墓へ行くためだ。
「すまねぇな縁、親友の墓参りに付き添ってもらってよ」
「いやいや、いいですよ」
「おお見えた、あれだ」
「おや? 誰か居ますよ?」
目的の墓に既に先客が居てその人は透けていた。
その人物は縁が過去に行った時と同じ服装と容姿をしている。
オールバックで動きやすそうな戦闘服、そして見るからに年齢が若い。
「よう隼士、久しぶりだな」
「おお斬銀、今年も墓参りありがとうな」
「いいってことよ」
斬銀と隼士は熱い握手を交わした。
「斬銀さん、この人は?」
「この間病室で話した、俺の親友だよ」
「ああ、幽霊になったという」
「君が縁さんかい? 話は斬銀から聞いているよ」
「初めまして」
「よろしく」
「んじゃ、墓掃除をさっさと終らせて行くか」
「何処にですか?」
「今日は冥界でお祭りがあるんだ」
「お、お祭り!? 縁日って事?」
「縁も冥界の事情は知らないか」
「流石に死者の国は知らないよ」
「まあ、入るには資格が色々と居るんだが、隼士の口添えが有れば大丈夫だろ」
「隼士さんて凄い人なんですか?」
「冥界の平和を守ってる隊長さ」
「と言っても位は下の方だがね」
「行ってみたいです、死者の国のお祭り」
「よし、墓掃除頑張るか」
縁とち斬銀はささっと掃除をして、花や団子を捧げた。
「まあ、こんなもんだろ」
「2人共ありがとう、んじゃ、冥界へご招待しよう」
隼士は手を叩くと天へと続く、透明な階段が現れた。
「この階段を上がれば冥界さ」
「行こうぜ」
3人は階段を登り冥界へ。
着いて直に目に入ったのは、煌びやかなお祭りの会場。
一般的なお祭りの雰囲気となんら変わりなかった、店番やお客が幽霊だったり、死人だったり、骨だったりする以外普通だ。
「おお、ここが冥界! ってなんか華やかですね」
「暗いイメージが有ったかな? 私も死んで来た時は衝撃的だったよ」
「今日は縁の行きたい所に行こうぜ」
「パッと見た感じ色々と屋台が有りますが……って、流石に冥界のお金はありませんよ?」
「私が払おう、斬銀の飲み食い代よりは安いだろう」
「すみません」
「いいんだよ、見て回ろうか」
隼士を先頭に歩き出そうとした時、縁は何かを感じてキョロキョロし始めた。
「これは?」
「どうした縁」
「いや、なんか向こうから呼ばれる感覚が」
「お、何だ何だ、行ってみようぜ」
縁は迷うことなく歩き出して、斬銀達はそれに続く。
様々な動物達が沢山居る出店で縁は足を止めた。
動物達は檻に入れられてるが、幽霊の様に透けている。
「おやおやいらっしゃい、未練を持って死んでしまった動物達の出店にようこそ」
「この店に何か運命を感じたんだけど」
「少々お待ちを……」
店主は品定めをするように動物達を見た。
「ああ、この子ですかね?」
店主が抱っこして縁に見せたのは、赤色が血だらけ模様に見える白い兎だった。
その兎は悲しそうな顔で縁を見ている。
「このこは生前、この身体の模様で愛される事無く死んでしまった兎」
「模様で? 何時の話ですか?」
「何世紀も前の話ですよ」
「ふむ、それくらい前ならその価値観でも仕方ないか」
「どうですか? 縁起身丈白兎神縁様、この子を幸せにしてやってくれませんかね?」
「……冥界だからわかるのか?」
「噂は色々と、で、どうなされます?」
「これも何かの縁ってな、いくらなんだ?」
「いやいや、お代は結構です、その子の未練が少しでもなくなるのであればね」
「俺の所に来るかい?」
兎は有無を言わずに縁に飛びついた!
縁は抱きとめると、器用に縁の鞄の中に入って頭だけ出す。
「ほお? なかなか可愛げがあるじゃねーか」
「ふむ、兎の神だけあるね、その子も安心しているようだ」
「で縁、名前はどうすんだ?」
「うーむ……合縁奇縁とか」
「あいえんきえん? 意味は何か有るのか?」
「ふむ、合縁奇縁は色々と当て字があり、いい意味にも悪い意味にもなる」
「簡単に言うとなんなんだ? 隼士」
「その縁が良いか悪いかは知り合ってみないと分からない……かな? 少々違うかもしれないけどな」
「ほー中々考えさせられる名前だな、ただ長くないか? 愛称作ろうぜ」
「うさちゃんとか?」
「おいおい、安直じゃーねか?」
「いや、本人は気に入っているぞ?」
「ええ?」
斬銀が合縁奇縁を見ると、自信満々な顔をしていた。
「まあいいか、他にも出店は有るんだ、見て回ろうぜ」
「ああ……お爺さんありがとう」
「いえいえ、こちらこそ」
「お、そうだ出店で名物が有るんだ、付いて来てくれ」
隼士を先頭に一同は歩き出す。
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