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第四章 第五節 ヤマトの絶望

第1026話 あんたは、人類滅亡させるつもりか!

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「あんたは、人類滅亡させるつもりか!」
 開口一番、アルはそう叫んだ。

『おい、おい、アル。ことばにしなくても、脳内会話ができるんだから、だんまりで話そうじゃねぇか』
「すまねーが、そんなに冷静でいられねぇよ。あんたがやったことは、人類にとって取り返しがつかないことだ。それだけ深刻なんだ。わかってンのか!」
『命まで奪わなかったんだ。ありがたいと思って欲しいね』
「奪えなかっただけだろうが! あんたの部下のヤタっていうヤツは、自分の命をかけてまでタケルの命をとろうとしてた。運良く腕をうしなうだけで済んだだけだ」
『それでも……命はとらなかった…… こっちは腹心の部下をうしなったんだ。イーヴンだろ?』

「ふざけるな!」
 アルはおもわずベッドサイドのドリンクボトルを掴んで、壁に投げつけた。
「あんたの部下は全人類の命を背負ってるわけじゃねぇだろうがぁ! タケルは100億人の命を背負ってるんだ。それがもう……」
『アル、オレには関係ないね。組織は壊滅しちまったんだ。あのヤマト・タケルのせいでな。だからオレにはこのあとの人類がどうなろうと、知っちゃこっちゃない』
「そうだろうな。あんたは生きられても、あと20年程度がいいとこだろうからな。だがほとんどの人間はどうだ。100年以上も人生が残ってるヤツらはごろごろいる。おれを含めて、そんな連中から、あんたは未来を奪ったンだ」

『だから?』
 ダイ・ラッキーはつめたく言い放った。完全にひとごとという口調——

「だから?」
 アルは自分の怒りが沸点に達するのを感じた。からだをめぐる血と血が泡をたてて沸き立ち、尋常ならざる速度で駆け巡り、あらゆる臓器を煮え立たせていく。
「ダイ…… いや、銭形幸一! おれたちがどれほどの犠牲をはらって、何人もの仲間を失って、どんだけ長い期間、地球をすくうために……」
 悔しさと怒りで咽喉がつまって、ことばが続かなかった。
 アルの脳裏に、死んでいった仲間たちの姿が去来する。

 タケルの父ヤマト・ナオエ、叔父ツルゴ・テツヤ、カミナ・アヤト、エンマ・アイ……そして、エドこと江戸川イアン……

 アルの目から涙があふれた。
「あんたの……あんたの身勝手な行いで……死んでいった者の思いは……たくした願いは……」

『知ったことじゃないな、アル。おれはたぶん逃げ切れねぇ。たぶん終身刑だろう。20年以上は刑務所ンなかにぶっこまれるくらいなら……』


『人類ごと刑期を1、2年で終わらせてくれるほうを願うよ』
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