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第四章 第四節 ヤマト襲撃される
第1004話 待ち伏せされてた?
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「クワトロ少佐!! 待ち伏せされてたの?」
「どうやら、そうらしいわね」
「だって、イシカワ少佐からは敵影はないって!」
「うん、もう! これだから『生来者』はぁぁぁ!」
スージーは外階段への扉を半開きにすると、半身をそとに乗り出して銃を撃った。銃口は階段の下にむけられていた。たちまち硝煙の臭いがビル内に漂いはじめる。
「下ですってぇ?」
「ええ。ヤツラ、ビルの外壁に貼り付いて、隠れていたみたい。上から見えない位置でね」
「監視カメラとかに映らなかったんですか?」
「彼らの『素体』、ステルス処理されてたみたい。しかもエア・バイクに乗らずに、外階段を移動してきていた。それでもチップ埋込者』だったら、『素体』に送られる信号を追尾でき……」
パパパパ……
かわいた音がしてスージーの近くの外壁がはじけた。反射的に首をすくめる。
「危ないっ!」
「大丈夫! でるわよ。キラちゃん」
「でる? 銃撃戦のまっただ中じゃないですか?」
「そう。でも敵は上にはいないってことがわかった。下の階を制御しているあいだに、上へ退避します」
「屋上は大丈夫なの?」
「問題ない。5台のエア・バイクが待機してる。『素体』に憑依した兵士も7人。まぁ、素体もバイクも民生用を緊急招集してるから、武器なんかはないけどね」
「あきれた。丸腰の援軍?」
「あなたたちの盾くらいにはなるわ」
「盾……って……」
キラはもうひと言ほど文句を言いたかったが、スージーに腕をつよくひっぱられて言葉をうしなった。
「行くわよ」
外階段は想像して通り、非常階段のような鉄骨が剥き出しな作りだった。
だがそれはわざと、そうしていることがわかった。階段には天井部分にドーム状の強化ガラスが取り付けられており、渋谷の街を階段から一望できるようになっていたからだ。ご丁寧に足元の階段のステップもスケルトン構造になっており、足元に視線を移すだけで、地上までが見通せるようになっている。
キラが足元に目をむけると、すぐ下の階と、その下から数人の敵が銃を撃ってきているのが、もろにみえた。
「急いで!」
スージーがさらにつよく腕をひっぱる。キラはあわてて上の階のほうへ目をむけて、スージーに引っぱられながら上へと駆け上がった。上階へむかう階段のいくつかのステップには、すでに銃弾によるものと思われる銃痕が刻まれていた。
「階段に穴があいてる。壊れるわ」
「わかってる。崩れる前に屋上へ!」
「どうやら、そうらしいわね」
「だって、イシカワ少佐からは敵影はないって!」
「うん、もう! これだから『生来者』はぁぁぁ!」
スージーは外階段への扉を半開きにすると、半身をそとに乗り出して銃を撃った。銃口は階段の下にむけられていた。たちまち硝煙の臭いがビル内に漂いはじめる。
「下ですってぇ?」
「ええ。ヤツラ、ビルの外壁に貼り付いて、隠れていたみたい。上から見えない位置でね」
「監視カメラとかに映らなかったんですか?」
「彼らの『素体』、ステルス処理されてたみたい。しかもエア・バイクに乗らずに、外階段を移動してきていた。それでもチップ埋込者』だったら、『素体』に送られる信号を追尾でき……」
パパパパ……
かわいた音がしてスージーの近くの外壁がはじけた。反射的に首をすくめる。
「危ないっ!」
「大丈夫! でるわよ。キラちゃん」
「でる? 銃撃戦のまっただ中じゃないですか?」
「そう。でも敵は上にはいないってことがわかった。下の階を制御しているあいだに、上へ退避します」
「屋上は大丈夫なの?」
「問題ない。5台のエア・バイクが待機してる。『素体』に憑依した兵士も7人。まぁ、素体もバイクも民生用を緊急招集してるから、武器なんかはないけどね」
「あきれた。丸腰の援軍?」
「あなたたちの盾くらいにはなるわ」
「盾……って……」
キラはもうひと言ほど文句を言いたかったが、スージーに腕をつよくひっぱられて言葉をうしなった。
「行くわよ」
外階段は想像して通り、非常階段のような鉄骨が剥き出しな作りだった。
だがそれはわざと、そうしていることがわかった。階段には天井部分にドーム状の強化ガラスが取り付けられており、渋谷の街を階段から一望できるようになっていたからだ。ご丁寧に足元の階段のステップもスケルトン構造になっており、足元に視線を移すだけで、地上までが見通せるようになっている。
キラが足元に目をむけると、すぐ下の階と、その下から数人の敵が銃を撃ってきているのが、もろにみえた。
「急いで!」
スージーがさらにつよく腕をひっぱる。キラはあわてて上の階のほうへ目をむけて、スージーに引っぱられながら上へと駆け上がった。上階へむかう階段のいくつかのステップには、すでに銃弾によるものと思われる銃痕が刻まれていた。
「階段に穴があいてる。壊れるわ」
「わかってる。崩れる前に屋上へ!」
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