上 下
1,005 / 1,035
第四章 第四節 ヤマト襲撃される

第1004話 待ち伏せされてた?

しおりを挟む
「クワトロ少佐!! 待ち伏せされてたの?」
「どうやら、そうらしいわね」
「だって、イシカワ少佐からは敵影はないって!」

「うん、もう! これだから『生来者ネイキッド』はぁぁぁ!」
 スージーは外階段への扉を半開きにすると、半身をそとに乗り出して銃を撃った。銃口は階段の下にむけられていた。たちまち硝煙の臭いがビル内に漂いはじめる。
「下ですってぇ?」
「ええ。ヤツラ、ビルの外壁に貼り付いて、隠れていたみたい。上から見えない位置でね」
「監視カメラとかに映らなかったんですか?」
「彼らの『素体』、ステルス処理されてたみたい。しかもエア・バイクに乗らずに、外階段を移動してきていた。それでもチップ埋込者エンベッデッド』だったら、『素体』に送られる信号を追尾でき……」

 パパパパ……

 かわいた音がしてスージーの近くの外壁がはじけた。反射的に首をすくめる。
「危ないっ!」
「大丈夫! でるわよ。キラちゃん」
「でる? 銃撃戦のまっただ中じゃないですか?」
「そう。でも敵は上にはいないってことがわかった。下の階を制御しているあいだに、上へ退避します」
「屋上は大丈夫なの?」
「問題ない。5台のエア・バイクが待機してる。『素体』に憑依した兵士も7人。まぁ、素体もバイクも民生用を緊急招集してるから、武器なんかはないけどね」
「あきれた。丸腰の援軍?」
「あなたたちの盾くらいにはなるわ」
「盾……って……」
 キラはもうひと言ほど文句を言いたかったが、スージーに腕をつよくひっぱられて言葉をうしなった。
「行くわよ」

 外階段は想像して通り、非常階段のような鉄骨が剥き出しな作りだった。
 だがそれはわざと、そうしていることがわかった。階段には天井部分にドーム状の強化ガラスが取り付けられており、渋谷の街を階段から一望できるようになっていたからだ。ご丁寧に足元の階段のステップもスケルトン構造になっており、足元に視線を移すだけで、地上までが見通せるようになっている。
 キラが足元に目をむけると、すぐ下の階と、その下から数人の敵が銃を撃ってきているのが、もろにみえた。

「急いで!」
 スージーがさらにつよく腕をひっぱる。キラはあわてて上の階のほうへ目をむけて、スージーに引っぱられながら上へと駆け上がった。上階へむかう階段のいくつかのステップには、すでに銃弾によるものと思われる銃痕が刻まれていた。

「階段に穴があいてる。壊れるわ」

「わかってる。崩れる前に屋上へ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

全ての悩みを解決した先に

夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」 成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、 新しい形の自分探しストーリー。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...