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第四章 第四節 ヤマト襲撃される

第1001話 ヤマトを徹底的に守る

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 草薙が選択した布陣は、ヤマトを徹底的に守る、極端なものだった。

 相手がエア・バイクで突入してくることが想定されたので、歩兵であるこちらの警護部隊は機動力で勝てないとの判断だった。
 シミュレーションエリアの中央付近に位置するビルの最上階、と言っても途中までしか再現できていないため地上四階でしかなかったが、そこを拠点とさだめた。

 すこしでも上から見おろせる位置取りということなのだろう。

 そして草薙はさらに、ビルの対面に位置する教会の屋上に、バットーと数人の部下を待機させた。ビルと教会のあいだはそれでも50メートル以上あったが、エア・バイクを背後から狙い撃ちできる距離ではあった。

『できるなら戦闘は避けたい。やり過ごせるならやり過ごしたいところだが……』

 草薙がそう呟くと、バットーから皮肉まじりの笑いが返ってきた。

『大佐。そいつぁ、無理ってもんだろ。相手もサーモセンサーやらヴァイタルセンサーやら装備してると思うぜ。まぁ、こちらもそれ用のカモフラージュ機器はあるが、時間稼ぎ程度だろうよ』
『まぁな。それを見越して、街のなかに「ヒトモドキ」を仕込んでいるのだからな」
『ちょっとだけでも、パニクってくれりゃあ、めっけもんだが』

 そのやりとりを聞きながら、ヤマトはかるく咳払いした。注意を引こうとしたのではなく、あたりの埃っぽさにおもわず咽喉を鳴らしたのだが、草薙がそれに反応した。

「タケルくん、なにか不満でも?」
「ちがうよ。草薙さん。埃っぽくてつい……」
「ごめんなさいね。あなたの周りにすこしでも防御壁代わりになるものをって……」
「大丈夫さ。これだけ囲まれていれば、少々の攻撃は防げそうだし」
「そうでもないのよ。しょせん、これは『素体』だから、厚みはあっても、それほど強度はないの。一応、『万布ヴァーサタイル・クロス』で表面を覆ってるけど……」

 ヤマトは自分を取り囲んでいる状況をみてみた。
 ビル内に再現されていた机やロッカーなど、障壁になりそうなものをあたりにくみあげてバリケードが作られている。正面に配置された金庫は、全身を隠せるほどおおきく、数メートルのぶ厚さがあり頼もしい。
 だが、ビル中央にまで移動させられているというのを考えると、見た目だけでハリボテの可能性もある。『素体』だから、というのはそういうことなのかもしれない。

『敵、確認!』

 ふいに頭のなかに、兵士の声が飛び込んできた。
 地下エリアの入り口付近に視線をむける。

 三台のエア・バイクの機影。
 待ち伏せを警戒して、のろのろと慎重にバイクを前に進めている。
 2~30メートルほど進んだところで、後続のバイクが侵入してきた。
 5台——

『反対側からも来ます』

 反対側の入り口からの様子は目視できなかったので、カメラ映像のほうへ目をむけた。
 こちらは警戒心もなく、堂々とはいってくる様子がわかった。バイクは5台。後続は認められなかった。

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