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第四章 第四節 ヤマト襲撃される
第999話 ここから階段で最上階までむかいます
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「ふたりとも今はそんなことより、辺りに注意してください。ここから階段で最上階までむかいます」
そのとき、トグロがふたりの会話に割り込んできた。
「ちょっ、ちょっとぉ、最上階って30階以上、あんでしょう。このビル。エスカレーターとかエレベーターとか使えないの?」
「それは難しいわ、アスカさん」
そう答えたのはスージー・クワトロ少佐だった。スージーはキラの警護についていて、自分たちより前を先行していたはずだ。
「エスカレーターに乗っているとこ上から襲われたら、下に逃げながら迎撃するのはかなり不利。足元が動いている場所での戦闘はできたら避けたいわね」
「だったらエレベーターは?」
「それも想定したわ。でも
エレベーターの立坑はエア・バイクで突撃するのに適した大きさなの。上昇中に狙われたらなすすべはないわ。それに……」
スージーは一瞬ためらってから言った。
「前に魔法少女と戦ったとき、エレベーターの立坑から侵入した部下を全滅させられたからね。わたしはあの空間が好きじゃないの」
彼女のトラウマっていうわけね——
アスカにはすこし意外だった。スージーがニューヨークの廃博物館で、魔法少女相手に大活躍したイメージがあっただけに、そんな負の感情があるとは想像できなかった。
「トグロ中佐! 屋上にエア・モービルをスタンバイさせた。さっさとあがってきてれ!」
そう思念を飛ばしてきたのは、イシカワ少佐だった。こころなしか焦っているのか、思念のくせに声が裏返ったような甲高さがあった。
上空から全体の警護を担当していたのに、敵の侵入を許して、草薙が撃たれる事態に陥ったのだから当然といえば当然なのかもしれない。
「敵影等はないか?」
「大丈夫でさあ。この高さまで近づけないよう警察にも協力してもらってます」
網膜映像にイシカワの様子が映し出されている。
ビルの屋上を20台以上の警察のロボットが、3台のエア・モービルを取り囲んでいた。そしてその上にイシカワ以下、警護の兵士が5名ほどエア・バイクにまたがって、上空からの襲撃に備えている。
おそらく渋谷でぶっ放すには問題がありそうな武器をすでに準備済みだろう。
「これなら問題ないでしょう?」
イシカワがトグロに打診すると、クララの警護のサイトーが囁くような思念を送ってきた。
そのとき、トグロがふたりの会話に割り込んできた。
「ちょっ、ちょっとぉ、最上階って30階以上、あんでしょう。このビル。エスカレーターとかエレベーターとか使えないの?」
「それは難しいわ、アスカさん」
そう答えたのはスージー・クワトロ少佐だった。スージーはキラの警護についていて、自分たちより前を先行していたはずだ。
「エスカレーターに乗っているとこ上から襲われたら、下に逃げながら迎撃するのはかなり不利。足元が動いている場所での戦闘はできたら避けたいわね」
「だったらエレベーターは?」
「それも想定したわ。でも
エレベーターの立坑はエア・バイクで突撃するのに適した大きさなの。上昇中に狙われたらなすすべはないわ。それに……」
スージーは一瞬ためらってから言った。
「前に魔法少女と戦ったとき、エレベーターの立坑から侵入した部下を全滅させられたからね。わたしはあの空間が好きじゃないの」
彼女のトラウマっていうわけね——
アスカにはすこし意外だった。スージーがニューヨークの廃博物館で、魔法少女相手に大活躍したイメージがあっただけに、そんな負の感情があるとは想像できなかった。
「トグロ中佐! 屋上にエア・モービルをスタンバイさせた。さっさとあがってきてれ!」
そう思念を飛ばしてきたのは、イシカワ少佐だった。こころなしか焦っているのか、思念のくせに声が裏返ったような甲高さがあった。
上空から全体の警護を担当していたのに、敵の侵入を許して、草薙が撃たれる事態に陥ったのだから当然といえば当然なのかもしれない。
「敵影等はないか?」
「大丈夫でさあ。この高さまで近づけないよう警察にも協力してもらってます」
網膜映像にイシカワの様子が映し出されている。
ビルの屋上を20台以上の警察のロボットが、3台のエア・モービルを取り囲んでいた。そしてその上にイシカワ以下、警護の兵士が5名ほどエア・バイクにまたがって、上空からの襲撃に備えている。
おそらく渋谷でぶっ放すには問題がありそうな武器をすでに準備済みだろう。
「これなら問題ないでしょう?」
イシカワがトグロに打診すると、クララの警護のサイトーが囁くような思念を送ってきた。
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