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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第919話 ヤマト・タケルを許すな!

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 ヤマトはそんな反応にはかまわず、バイクのスロットルにふたたび手をかけた。
「みなさん、ヤマト・タケルを逃がしてもいいのですか?」
 そのヤタのことばに、さっきよりおおくの人々の手が伸びてきて、ヤマトの腕や肩に掴んだ。

「逃げたければ、この市民を排除して逃げてもいいんですよ」
 ヤタがゆっくりとヤマトのほうへ近づいてきた。

「でも、どうでしょう? ヤマト・タケルが任務以外で人々を傷つけた、ってなると、ちとまずいことになるんじゃないのかしら」
 ヤマトは口元をぐっと引き結んだ。
「まぁ、われわれも、こんなところにヤマト・タケルが現われて、一悶着起こしたっていう騒動は回避したいところです。それがたとえただの噂でも、当局の介入を招きますからねぇ」
 そう言いながら、ヤタは当然のように、ヤマトの手からドラゴンズ・ボールを掴みあげた。ヤマトはそれが手の中から持ち去られるのを見ながらも、身動きできずにいた。

「お互いの利害が一致したようで、なによりです」

 ヤタはヤマトの耳元でそうささやくと、上空をみあげた。
 空に10台を越えるエア・バイクが浮いていた。いまのあいだに、ヤタの部下たちが集結してきたのだった。
 一台のバイクが滑るように降りてくると、後部座席にヤタが腰を降ろした。
「それでは、ヤマト・タケル。市民の皆様としばしの交流をどうぞ」

「ヤマト・タケルを許すな!」

 さきほどヤマトに詰め寄ろうとした女性が、ヤマトを指さして叫んだ。
 そのことばを契機に、まわりの市民が怒りをヤマトへ吐きかけた。
「ナポリを全滅させやがってぇぇ」
「わたしは津波がなにもかもうしなったんだ!」

 罵声はただの大音声となって、街角に響きはじめた。
 そのとき、最初の叫んだ女性がいきなり銃をとりだすと、ヤマトにむけた。

「死ね。ヤマト・タケル!」

 が——
 女性が放った銃弾は、ヤタの右腕をとらえた。

 その弾丸は着弾すると、ボンと爆発しヤタの右腕を吹き飛ばした。ドラゴンズ・ボールをつかんだまま、ヤタの右腕がボトリと地面に落ちる。
 ヤマトは自分に詰め寄っている市民たちを振りほどくと、落ちているヤタの右腕を拾いあげ、そのまま上空に投げあげた。

 そこを猛スピードでエア・バイクが駆け抜けていき、その右腕ごとキャッチする。

 ユウキだった。

 ユウキのバイクはスピードをいっさい落とすことなく、あっという間に上空へ駆け上がっていった。

「な、なにが起きた?」
 ヤタはあきらかにうろたえていた。

「一般人の素体を、ハッキングして乗っ取った」
 ヤマトはヤタを見あげながら言った。


「そうね。さっきあなたに違法な火砲で、蒸発させられたから、こんなレンタル品の安素体でもないよりはマシ」

 銃をもった女性の顔が、切り替わりレイの顔になった。


「でもチューニングがなってない。照準が5ミリもずれたもの」
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