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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第907話 もしかしてぼくらは囮だったのか?

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『そうか……』
 ヤマトはほっと胸をなでおろしたが、ふと疑問を感じてセイントに訊いた。
『セイント。もしかしてぼくらは、囮だったのか?』
『別のプランを用意していただけだ。プランAが失敗したからBに切替えたにすぎない』

 そのとき、ユウキから連絡が飛び込んできた。
「タケルくん、そちらの車が前方に見えてきた。そちらからも確認できるはずだ」

 後方を映し出しているモニタ画面をチェックすると、100メートルほど後方、隣の特急レーンにクララが運転するエア・バイクが映り込んできた。
「ドラゴンズ・ボールはどうすればいいだろうか? タケルくんたちに渡すか、こちらで確保したままにするか?」
「そうだな……こちらで確保していたほうが安心だな」
「了解。すこしだけスピードをあげる」

 すぐにユウキたちのバイクが追いついて、隣のレーンに並んだ。クララが絶妙なテクニックで、電磁誘導パルスレーンから飛び出すと、自力でヤマトたちの車の横に並走しはじめた。
「タケルくん、長くは並走できん。急いでくれ」
 ユウキのことばに促されて、ヤマトは車の窓を開けて手を伸ばすと、ユウキからドラゴンズ・ボールを受け取った。
 その瞬間だった。

 真上から無数の銃弾が直撃し、ユウキとクララのからだが、その場で踊るように跳ねた。
ユウキは自分のからだを支えきれず、そのまま落下していった。クララは片方の手でハンドルを掴んで、かろうじて浮いていたが、推進力をうしない、あっという間に後方へ流されていった。
「なによぉ?」
 アスカが叫んだ瞬間、今度は自分たちの車の天井に、銃弾の雨が降り注いだ。
 ガン、ガン、ガン、ガン、ガン!!
 耳を聾するけたたましい音が天井から、室内に降り注いでくる。

『タケル、心配無用だ。最上級の防弾仕様の車だ』
 セイントの声が頭のなかに飛び込んでくる。
「セイント! なにが起きてる!」

「ジェット・ヘリだ。あいつらジェット・ヘリをもってやがった」
「ジェット・ヘリ?」
 その名称に食いついたのはレイだった。
「あれってエンジンで動かす自走式の乗り物でしょ。そんな前時代的なもの動くの?」
『たしかに博物館行きの代物だがね。水素エンジンだから、水素エネルギーを与えればもちろん動くさ』

「なんだって、そんな遺物を持ち出してきたのよぉ」
『アスカくん。遺物だけど、だから追いつかれた。基本ルートに沿ってしか高速移動できない、現代の乗り物とはちがうからね。自由自在に空を飛べるってぇのは、ちょっとやっかりだね』
「講釈はいいわ。セイント、追い払いなさいよ!」
『アスカくん、残念ながら、次の降車ポイントまで、こちらでは手がうてない』
「次の降車ポイントってどこよ」

『ヴィッラローザ、あと5分ほど先だ』
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