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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第902話 ぎりぎりまで地上を行く!

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「タケル! はやく乗って!」
 上空からアスカが叫んできた。

 見あげると、エア・モービルの車影。
 ぐんぐんと降りてくる。
 なかにいたのは別の素体に人格移動した、アスカとレイ。

「ユウキとクララは?」
 ヤマトが車に乗り込みながら尋ねると、レイが答えた。
「遊軍としてスタンバイ中よ」

「タケル。ドラゴンズ・ボール、持ってるわね!」
 ヤマトは無言で手にもったボールを、運転席のアスカにむかって掲げてみせた。

「ならいい! パルスレーンの入り口に向うわよ」
 そう言いきる前にアスカがアクセルを踏み込んだ。
 車は地面ぎりぎりに浮いたまま、猛烈なスピードで前へ走りはじめた

「上空へいかないのかい?」
「上空へは向わない。たぶん、ダイラッキーが監視してるから。ぎりぎりまで地上を行く」
「レイ。今の時代、そちらのほうがかえって目立つんじゃないのかい?」
「大丈夫。この地域はワイヤレス電気の供給が希薄。地上を走る車はすくなくない」

 その瞬間、車が横に揺さぶられた。横道から信号無視の車が飛び出してきたのを、避けようとしてアスカがおおきくハンドルをきったからだった。

「そのようね、レイ。ただ運転は荒っぽそうね」
「ええ、仕方がない。エンベッデッドが少ないから、個人をAIが制御しきれない。たぶん車だって、AI制御なんてされてないと思うわ」
「やっかいね」
「アスカ、運転代わろうか?」
「いい。タケルはそのドラゴンズボールを守ってて!」

 その瞬間、うしろから近づいてきた車が、体当たりしてきて車体が横に揺られた。

「ちっ、嗅ぎつけられた! はやすぎる」
「当たり前よ、アスカ。ドラゴンズ・ボールからは信号が発信され続けてるんだから」
「わかってるわよ、レイ」

 ぶつかってきた車に、ヤマトは目をやった。
 ヤタだった。

「あれは本物か? それともぼくらのように素体に憑依ひょういしてる?」
「わからない。インフォグラシズがないから、この位置から判別できない」 

「そんなのどうでもいいわ。迎撃してレイ」
 アスカが怒鳴った。つぎの体当たりのタイミングをうかがっているヤタの車の動きから、目を離せずにいる。
 レイが後部の荷台のほうへからだを乗り出すと、マシンガンを取り出した。
 レイは銃弾を確認すると窓を開けるなり、立て続けに銃弾を放った。

 ヤタの車は数発が着弾すると、キーッという音をたてて蛇行し、そのまま側道から飛び出していった。


 背後で爆発音と爆煙があがるのがわかった。
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