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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第893話 ドラゴンズ・ボール奪回作戦2

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「今回キミタチにはゴーストではなく、『素体』を使って、ダイ・ラッキーへコンタクトしてもらう。ゴーストではモノをつかむことができないからね」
「そんなことはわかってる。具体的にどうするかを教えてくれる?」
 レイがセイントに先を促した。

「了解だ。まず、キミタチにはシチリア島にあるグランディスのドラッグ生成工場に潜入してもらう。この島は500年前、マフィアが牛耳っていた場所で、その流れを組む組織ファミリーが今も存在している。そしてそれらを束ねているのが、ダイ・ラッキーだ」

「キミタチのミッションは、この工場の中心にある『ドラゴンズ・ボール』を奪いとったのち、この島の東に位置するエトナ火山にむかってもらい、その火口に投げ入れることだ」

「それで完全に消滅するのか?」
ヤマトは語気を強めた。
「心配無用だ、ヤマト・タケル。このエトナ火山は活火山で今も溶岩が噴きだしている。そのなかに投入できれば、リュウ・リョウマの『視覚』は完全消滅し、『七覚』は揃わなくなる。きみが心配する『四解文書』の追体験は、これで永遠に不可能になる」

「セイントさん、そんなに簡単に遂行可能なミッションなのですか?」

「クララくん。奪取そのものは、ハードルが低いとみている。だがそのあと、エトナ火山に持っていくまでが、かなり難易度が高い」
「なにが難しいのでしょう? 盗みだせればあとは逃げるだけでしょう」
 ユウキが怪訝そうに、眉をひそめて尋ねた。

「ああ、ユウキくん。この島はダイ・ラッキーの息がかかっていると言っていい。島の人口の一割は、ネイティブとも言われているからね。だからもし『ドラゴンズ・ボール』を持ち出して逃げようとしたら、島中の人間がキミタチに襲いかかるといっていいだろう」

「襲われたって、『素体』なんだから、あたしたちには影響がないわよ」
「ああ。だが一度強奪に失敗したら、おそらくダイ・ラッキーはさらに強固なセキュリティを課してくるだろう。そうなると、さすがのぼくもお手上げだ。今回だって、かなりの時間を要したからね」
「つまり、今回、一回で成功させる必要があると……」
「そうだ、ヤマト・タケル。そのためにぼくは街中のいたるところに『素体』を用意し、さらにハッキング用プログラムを複数走らせている。そしてリアルタイムで、『素体』を入れ替えていけるよう、指示をだしていく予定だ」

「意味がわかんないわねぇ。どーいうことよ、セイント」

「一体の『素体』では逃げ切れないってこと、セイント?」
「ああ、レイくん、そうだ……」

「つまりキミタチは、いくつもの『素体』に人格の憑依を繰り返して、逃げてもらう必要がある」
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