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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第892話 ドラゴンズ・ボール奪回作戦1

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 月での訓練を終えて地球に戻ってくると、ヤマトは沖田十三からセイントが『ドラゴンズ・ボール』の秘匿場所を特定した、と告げられた。
「どこに?」
「シチリア島だそうです」
「イタリア? そこにドラッグ製造工場が?」
「はい。そこでリョウマ様の『視覚』をダビングしているとのことです」

「で、どうすれば?」


 次の日の夜、キラ・ヤマトを除く全パイロットが、リアル・ヴァーチャリティルームに集められた。
 時間は20時。
 混みあう時間帯とあってリアル・ヴァーチャリティルームには、おおくの人々がいたが、すでに『スペクトル遮膜』でまわりを遮へいしていたので、耳目を集める心配はなかった。。

「なぜ今回は、隠し部屋を使わないの」
 準備をしている沖田十三にむかって、レイが疑問をぶつけた。
「レイさま。わたしもわからないのです。セイント様からの指示で……」
 セイントの名に反応したように、ユウキが十三に尋ねた。
「時間はどうにかならなかったのでしょうか?」
「ええ。イタリアとは8時間の時間差がありますからね」

「タケルさん、キラちゃんは加えないんですね」
 クララがすこし寂しそうに言った。
「ああ。キラはこの件に関しては、まったくの部外者だ。加えるわけにはいかない」
「で、どういう作戦で、奪還するわけ?」
「アスカ、それは彼に聞こう」

 そう言うと、ヤマトは十三に目で合図した。
 十三は手筈通り、全員の正面の中空に映像を映し出した。

「やあ、パイロット諸君、はじめまして……」
 あきらかに加工された音声が発せられた。

「セイントだ」

 全員が映し出された映像に身を乗り出した。
 そこはキッチン裏の隠れ家に似た造りの部屋だった。ただ天井は高く広々としており、その空間を埋め尽くすようにして、何百という映像が中空に浮かんでいた、そのせいで、なんとも窮屈に見え、どうしても穴蔵という印象を拭えなかった。

 セイントは顔を見せようとはしなかった。
 リアルタイムでCGキャラクタの顔が表示され、どんなに動いてもその追尾が遅れることなく、彼の素性を隠し続けた。

「今回、キミタチと共同で『ドラゴンズ・ボール奪回作戦』に参加させてもらう」
「セイント、なぜ君も参加するんだい。裏方のほうが性に合うっていう君が?」
 ヤマトは素直に疑問をぶつけてみた。

「ヤマト・タケル。キミの疑問ももっともだ。だが、今回ばかりはキミタチとの密な連携なしに成功が難しそうなのでね。しかたなく参加させてもらうことにしたのだよ」

 正面の映像が切り替わり、シチリア島の地図らしきものが3Dマップで表示された。
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