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第三章 第七節 さよならアイ
第841話 第三章エピローグ 25世紀の真相
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ウルスラ・カツエにとって今回の戦いが、ほんとうの意味での初陣だった。 これまではブライトへの指示を出すことがあっても、最前線の司令室にいて、リアルタイムの戦いに参加することはなかった。
思った以上に疲れ果てるものだ——
ウルスラは空中に映し出されたモニタをみた。
そこには今回の戦いでの犠牲者数と損害の報告があった。自動的にスクロールはじめたが、うんざりするほどの数字がびっちりと記載されていた。
お偉方への説明は、わたしがやるしかないな——
ため息をついた。
そのとき、アラートが画面上にあらわれた。チカチカ光る画面には『ユア・アイズ・オンリー(読後焼却のこと)』と書かれていた。
『プリントアウトしてください』
AIナビが音声でそう促してきた。
「画面に映しだすだけでかまわんよ」
『ウルスラ司令。これは極秘情報ですので、画面上に映すわけにはいきません。ハッキング、およびスクリーンショット等によって、データ漏洩する可能性がありますので』
「25世紀にもなって、紙に印刷するほうが危ないと思うが……」
『印刷直前まで強固なセキュリティがかかっていますし、印刷には特殊な鉱物シートを使っています。ウルスラ司令が読み終えたと同時に、粒状となって消え去りますので、再生は不可能です。ご安心ください』
「で、なんの情報かね?」
『エド……江戸川イアン氏の個人データです』
「エド…… そうか、プリントアウトしてくれ」
そういうと同時に、印字された紙が吐き出されてきた。
ウルスラはそれをとりあげると、さっと目を通した。
「彼がかかわって倒した亜獣は22体か。ほんとうに優秀だったのだな。あと、たったの六体で終了だったのに……」
ウルスラの目が一箇所にとまった。
じっと見つめると、おおきく嘆息して言った。
「エドはまだ想定寿命の3分の1も生きてなかったのか……」
「わかくて、あれほど優秀だったのに、ほんとうにもったいない……」
そう言うとウルスラはシートをウエストボックスのなかに差し入れた。シートはボックスのなかにはいるなり、黒ずみはじめて、端のほうからパラパラと粒子状にくずれはじめた。
ウルスラは最後にもういちどだけ、エドの個人データのシートに目をむけた。
ほとんどの部分が粉になって、崩れ落ちていたが、エドの年齢部分だけは、まだ読むことができた。ウルスラはひとりごちた。
「まだまだ若かかったのに、ほんとうに残念だ」
そこにはこうあった。
江戸川イアン 享年七十一才——
------------------------------------------------------------
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
正直、トンでもないものを書きはじめてしまった、という後悔もあるのですが、ライフワークとしてなんとか最後まで書ききりたいところです。
でもここまでで、やっと全編の中盤にきたという感じです。
正直、筆がのりすぎて、エピソードを増やしすぎた気がします。
魔法少女篇は、あとからあとからアイディアが湧いて出てきて、長くなりすぎました。今後はもっとタイトに引き締めて、先を急ぐことにします。
この章の最後の最後に、この世界の設定があきらかになっています。
じつは、この作品はかなりのハードSFです。
これから、その世界観の設定が徐々につまびらかになっていきます。
なんとなく感じていた違和感等が、すこしづつ払拭していくはずです。
まだまだ驚かしていく予定ですので、ぜひ続けて読んでいってください。
よろしくお願いいたします。
思った以上に疲れ果てるものだ——
ウルスラは空中に映し出されたモニタをみた。
そこには今回の戦いでの犠牲者数と損害の報告があった。自動的にスクロールはじめたが、うんざりするほどの数字がびっちりと記載されていた。
お偉方への説明は、わたしがやるしかないな——
ため息をついた。
そのとき、アラートが画面上にあらわれた。チカチカ光る画面には『ユア・アイズ・オンリー(読後焼却のこと)』と書かれていた。
『プリントアウトしてください』
AIナビが音声でそう促してきた。
「画面に映しだすだけでかまわんよ」
『ウルスラ司令。これは極秘情報ですので、画面上に映すわけにはいきません。ハッキング、およびスクリーンショット等によって、データ漏洩する可能性がありますので』
「25世紀にもなって、紙に印刷するほうが危ないと思うが……」
『印刷直前まで強固なセキュリティがかかっていますし、印刷には特殊な鉱物シートを使っています。ウルスラ司令が読み終えたと同時に、粒状となって消え去りますので、再生は不可能です。ご安心ください』
「で、なんの情報かね?」
『エド……江戸川イアン氏の個人データです』
「エド…… そうか、プリントアウトしてくれ」
そういうと同時に、印字された紙が吐き出されてきた。
ウルスラはそれをとりあげると、さっと目を通した。
「彼がかかわって倒した亜獣は22体か。ほんとうに優秀だったのだな。あと、たったの六体で終了だったのに……」
ウルスラの目が一箇所にとまった。
じっと見つめると、おおきく嘆息して言った。
「エドはまだ想定寿命の3分の1も生きてなかったのか……」
「わかくて、あれほど優秀だったのに、ほんとうにもったいない……」
そう言うとウルスラはシートをウエストボックスのなかに差し入れた。シートはボックスのなかにはいるなり、黒ずみはじめて、端のほうからパラパラと粒子状にくずれはじめた。
ウルスラは最後にもういちどだけ、エドの個人データのシートに目をむけた。
ほとんどの部分が粉になって、崩れ落ちていたが、エドの年齢部分だけは、まだ読むことができた。ウルスラはひとりごちた。
「まだまだ若かかったのに、ほんとうに残念だ」
そこにはこうあった。
江戸川イアン 享年七十一才——
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ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
正直、トンでもないものを書きはじめてしまった、という後悔もあるのですが、ライフワークとしてなんとか最後まで書ききりたいところです。
でもここまでで、やっと全編の中盤にきたという感じです。
正直、筆がのりすぎて、エピソードを増やしすぎた気がします。
魔法少女篇は、あとからあとからアイディアが湧いて出てきて、長くなりすぎました。今後はもっとタイトに引き締めて、先を急ぐことにします。
この章の最後の最後に、この世界の設定があきらかになっています。
じつは、この作品はかなりのハードSFです。
これから、その世界観の設定が徐々につまびらかになっていきます。
なんとなく感じていた違和感等が、すこしづつ払拭していくはずです。
まだまだ驚かしていく予定ですので、ぜひ続けて読んでいってください。
よろしくお願いいたします。
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