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第三章 第七節 さよならアイ
第794話 エドはいないの?
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目の前にいる亜獣イオージャは今まで戦ってきたものと、おなじなのだろうか?
レイ・オールマンは目を疑った。
姿形は、そう、イオージャそのものだ。
だが、内面からにじみでていた凶暴性や、攻撃性がまるでかんじられない。
「ユウキ、あれ、ほんとうにイオージャなの?」
「ええ、たしかに。威圧感のようなものが抜け落ちていますね。以前戦ったときは圧倒的というほどはありませんでしたが、恐怖を植えつけるようななにかがあった」
「ええ。でも今のあれはまるで抜け殻のよう……」
レイはもう一度イオージャの顔をながめた。
両頬が血で染まって赤い。
レイが以前の攻撃で頬を貫いた痕があるので、いままで戦っていた個体であるのはまちがいない。だが、どうにもちがう個体だという印象をぬぐえない。
まるで最初、茆目・愛と名乗った茆目・愛と一緒に現われた、輝舳だったか輝舳だったかが、そのままおおきくなったような迫力のなさだった。
「もしかしたら、渋谷に現われたエンアイムのほうに、力をとられたのではないでしょうか?」
「力を? あの子とこの子は別の個体でしょう」
「ええ、ですが、両方で補いあって共生していたのかもしれません。そのパワーバランスが、本体が出現することで狂ったのでは?」
「本部に訊いてみる」
レイはそう言って司令本部を呼びだした。が、だれも呼応してくれなかった。ほとんど全員がヤマトタケルの戦いにくぎづけになっているのだから無理もない。
「エド!」
レイはすこし大声でエドの名前を呼んだ。
その名前にぎょっとした数人のクルーが、こちら側のカメラに目をむけてきた。
「エドさんはいません」
ひとりのクルーが声をひそめて言った。
「わかってる。でもイオージャについて、情報がアップデートされているなら教えて」
そのクルーは脳内通信を通じて、だれかに連絡をとりはじめた。
すぐに金田日が画面に現われた。
「金田日だ。エドをひきついで亜獣について分析中だ」
「そう…… いいわ。金田日さん、イオージャの様子がおかしいの? なにがあったかわかる?」
「分析済みのところまででいいかね?」
「かまわない」
金田日はレイとユウキのモニタに映像を送り込んできた。
イオージャとエンアイムの相関関係をしめすようなCG映像が目の前にしめされたが、まだ注釈もなく、ただやみくもに映像が動いているだけだったので、意味がわからなかった。
「イオージャとエンアイムの共生関係が判明した」
金田日が言った。
「これはエドがつきとめたものだが、どうやらイオージャは街を破壊したりする専門の亜獣だったらしい。お尻から……いや、尻尾のあいだから強烈な電気の弾を発射して、街に被害を与えるし、無指向性のかみなりを落とすことで、広範囲を一気に攻撃することもできる」
「ええ、それはわかってる。専門っていうことの意味がわからない」
「実はイオージャは防御能力がいちじるしく低いという弱点をかかえているのだ」
レイ・オールマンは目を疑った。
姿形は、そう、イオージャそのものだ。
だが、内面からにじみでていた凶暴性や、攻撃性がまるでかんじられない。
「ユウキ、あれ、ほんとうにイオージャなの?」
「ええ、たしかに。威圧感のようなものが抜け落ちていますね。以前戦ったときは圧倒的というほどはありませんでしたが、恐怖を植えつけるようななにかがあった」
「ええ。でも今のあれはまるで抜け殻のよう……」
レイはもう一度イオージャの顔をながめた。
両頬が血で染まって赤い。
レイが以前の攻撃で頬を貫いた痕があるので、いままで戦っていた個体であるのはまちがいない。だが、どうにもちがう個体だという印象をぬぐえない。
まるで最初、茆目・愛と名乗った茆目・愛と一緒に現われた、輝舳だったか輝舳だったかが、そのままおおきくなったような迫力のなさだった。
「もしかしたら、渋谷に現われたエンアイムのほうに、力をとられたのではないでしょうか?」
「力を? あの子とこの子は別の個体でしょう」
「ええ、ですが、両方で補いあって共生していたのかもしれません。そのパワーバランスが、本体が出現することで狂ったのでは?」
「本部に訊いてみる」
レイはそう言って司令本部を呼びだした。が、だれも呼応してくれなかった。ほとんど全員がヤマトタケルの戦いにくぎづけになっているのだから無理もない。
「エド!」
レイはすこし大声でエドの名前を呼んだ。
その名前にぎょっとした数人のクルーが、こちら側のカメラに目をむけてきた。
「エドさんはいません」
ひとりのクルーが声をひそめて言った。
「わかってる。でもイオージャについて、情報がアップデートされているなら教えて」
そのクルーは脳内通信を通じて、だれかに連絡をとりはじめた。
すぐに金田日が画面に現われた。
「金田日だ。エドをひきついで亜獣について分析中だ」
「そう…… いいわ。金田日さん、イオージャの様子がおかしいの? なにがあったかわかる?」
「分析済みのところまででいいかね?」
「かまわない」
金田日はレイとユウキのモニタに映像を送り込んできた。
イオージャとエンアイムの相関関係をしめすようなCG映像が目の前にしめされたが、まだ注釈もなく、ただやみくもに映像が動いているだけだったので、意味がわからなかった。
「イオージャとエンアイムの共生関係が判明した」
金田日が言った。
「これはエドがつきとめたものだが、どうやらイオージャは街を破壊したりする専門の亜獣だったらしい。お尻から……いや、尻尾のあいだから強烈な電気の弾を発射して、街に被害を与えるし、無指向性のかみなりを落とすことで、広範囲を一気に攻撃することもできる」
「ええ、それはわかってる。専門っていうことの意味がわからない」
「実はイオージャは防御能力がいちじるしく低いという弱点をかかえているのだ」
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