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第三章 第六節 ミリオンマーダラー
第773話 アイの回想 亜獣襲来4
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「そりゃあ、ゲームチェンジャーですからね」
アルがブライトにむけて、落ち着き払った声で言った。エドへの集中砲火をやわらげようという魂胆なのだろう。
まったくアルらしい。
「ブライトさん。こいつはまったくあたらしいアプローチで攻めてくるゲームチェンジャーと呼ばれるタイプの亜獣さ。だからなにがなんでも倒さねぇといけねぇ」
「そうね。ここで苦戦してしまったら、おなじタイプの亜獣が続けざまに、送り込まれることになるわね」
「兵器担当とすりゃあ、おなじタイプが続くのは大歓迎なんですがね。こいつはイケねぇ。自然災害を味方につけられるのは勘弁願いてぇ」
「アル、エド、ブライトさん、そんな談義はどうでもいいです! 亜獣がいたとして、その姿や能力の可能性を、どんな武器が有効か、どんな作戦をとればいいか指示してください」
ヤマトが叫んだ。
あたしはぷっと吹き出しそうになった。
指示——
その指示を一番きかない人物が、上司や責任者に責任を問うてる——
つまりは、だまってろ!、ってこと。
あっと言う間にさっきまでの苛立ちが嘘のように消えていた。
「アイ、見えたっていう信号はどれくらい離れていた?」
タケルが訊いてきた。
そう、こっちがほんとうの作戦——
「ちょっと待って!」
あたしはさきほどのレーダーの捕捉状況を再確認した。
すぐにさきほどの一瞬の信号がみつかった。
「本部、そっちでこちらの信号、確認できない?」
「ダメだ。アイ、この噴煙に邪魔されて……」
エドがはやばやと白旗をあげる。
「じゃあ、タケル」
「アイ、確認した。たしかに亜獣かもしれない」
「マーキングできるか、ヤマト」
「ブライトさん。もうやっています。400メートルほど沖合側です。だけどおかしい……」
「なにがおかしいのかね。ヤマトくん」
「こいつ、浮いてないんです。高度がぼくらとちがう。この位置だと、地面にはりついていることになる」
「タケルくん。つまりこの亜獣は、この引き潮の力に影響されてないってことなの?」
「えぇ、そのようです。パワーがあるのか、そういう適性があるのか……」
そのとき、レーダーの信号に、わずかなノイズがまじった。
「見つけた!!」
あたしはおもわず叫んだ。
だけど、その信号の位置は、あたしの目の前50メートルもない場所だった。
襲われる——
一瞬、総毛立った。
でも、なにも襲ってこなかった。
信号も検知されなかった。
アルがブライトにむけて、落ち着き払った声で言った。エドへの集中砲火をやわらげようという魂胆なのだろう。
まったくアルらしい。
「ブライトさん。こいつはまったくあたらしいアプローチで攻めてくるゲームチェンジャーと呼ばれるタイプの亜獣さ。だからなにがなんでも倒さねぇといけねぇ」
「そうね。ここで苦戦してしまったら、おなじタイプの亜獣が続けざまに、送り込まれることになるわね」
「兵器担当とすりゃあ、おなじタイプが続くのは大歓迎なんですがね。こいつはイケねぇ。自然災害を味方につけられるのは勘弁願いてぇ」
「アル、エド、ブライトさん、そんな談義はどうでもいいです! 亜獣がいたとして、その姿や能力の可能性を、どんな武器が有効か、どんな作戦をとればいいか指示してください」
ヤマトが叫んだ。
あたしはぷっと吹き出しそうになった。
指示——
その指示を一番きかない人物が、上司や責任者に責任を問うてる——
つまりは、だまってろ!、ってこと。
あっと言う間にさっきまでの苛立ちが嘘のように消えていた。
「アイ、見えたっていう信号はどれくらい離れていた?」
タケルが訊いてきた。
そう、こっちがほんとうの作戦——
「ちょっと待って!」
あたしはさきほどのレーダーの捕捉状況を再確認した。
すぐにさきほどの一瞬の信号がみつかった。
「本部、そっちでこちらの信号、確認できない?」
「ダメだ。アイ、この噴煙に邪魔されて……」
エドがはやばやと白旗をあげる。
「じゃあ、タケル」
「アイ、確認した。たしかに亜獣かもしれない」
「マーキングできるか、ヤマト」
「ブライトさん。もうやっています。400メートルほど沖合側です。だけどおかしい……」
「なにがおかしいのかね。ヤマトくん」
「こいつ、浮いてないんです。高度がぼくらとちがう。この位置だと、地面にはりついていることになる」
「タケルくん。つまりこの亜獣は、この引き潮の力に影響されてないってことなの?」
「えぇ、そのようです。パワーがあるのか、そういう適性があるのか……」
そのとき、レーダーの信号に、わずかなノイズがまじった。
「見つけた!!」
あたしはおもわず叫んだ。
だけど、その信号の位置は、あたしの目の前50メートルもない場所だった。
襲われる——
一瞬、総毛立った。
でも、なにも襲ってこなかった。
信号も検知されなかった。
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