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第三章 第五節 エンマアイの記憶

第704話 ブライト、あなたはどう戦う?

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『きみは過去にとらわれずにすむ司令官だ。冷静に命令がくだせるはずだ。どうかヤマトたちへ適確に指示をしてやってくれ』

 図々しい男——。そして女々しい。

 だが、ミサトはせっかくの通信を利用することにした。

「あなたはどう戦う?」
『わたしがその立場にいたらまともな神経ではいられない。とても真っ当な指示など……』
「単なるアドバイザーならどう?」
 そうたたみかけると、ブライトはボソリと意見をいいはじめた。ミサトはそれを聞くなり、すぐに指示を飛ばした。

「アスカ、クララ、あんたたちは、そのままその脳をなんとかして!。女の意地もあンでしょ。だけどひとりでなんとかして」

 アスカがなにかを言いかけたが、続けざまの命令でそのことばを封じた。

「レイ、ユウキ、あんたらは急いでそこから離脱!。すぐに渋谷にむかって、あのデカブツの相手をして。1時間程度もあれば行けンでしょ。それから……」

「渋谷にはぼくがいく!」

 さらに指示を与えようとしたところに、ヤマトが口を挟んできた。

 ヤマトはマンゲツとともに、すでに軍事用電磁誘導パルスレーン上を移動しているところだった。
「ちょっと、タケル!。勝手にきめないで」
「いや、決めさせてもらう。渋谷のエンアイムはぼくが、名古屋のイオージャはレイとユウキでやってもらう」
「タケル。それは許可できないわ。危険すぎる」

「ミサトさん、これはぼくのケジメです。これ以上ぼくにとって不利で、痛みをともなう相手はいないだけど、これを乗り切れなければ、今後のぼくもない」

 マンゲツの移動情報に目をやる。
 軍事用電磁誘導パルスレーン上を名古屋にむかっていたはずが、いつの間にか反対側のレーンに乗り換えて、都心にむかっているのがわかった。
 ミサトはつい歯がみした。

 これじゃあ、司令官の立場がない——。

 ミサトはおおきく息を吐きだした。

 いや、これでいい。

 いやむしろ現場へ理解をしめすことで、ウルスラやブライトらとはちがうところをみせつけられる。
 わたしは上のために現場をないがしろにする司令官とはちがう、と。
 昇進のためになんでもやってきた自分としては、己の主義に反するが、ここは理解をしめすことで、度量の差をみせつけられると踏んだ。

「いいわ、タケル。レイ・ユウキ、あなたたちは今すぐそこを撤収!。名古屋に出現したイオージャにむかって!」

「タケル、あなたは渋谷のエンアイムを!」


「でも取り込まれたり、負けたりしたら承知しないからね」
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