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第三章 第五節 エンマアイの記憶
第688話 タケルはブライトを許さなかった
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タケルはブライトを許さなかった——。
たぶんそうだったのだと思う。
亜獣『ラーゼファン』が出現したとき、司令部は、すくなくともブライトは、タケルへの出撃要請を打診してこなかった。前回、シモンへ亜獣撃退を強制して、最悪な事態を招いたことへの反省なんだろうと思う。
だけど、タケルはマンゲツで出撃することを申しでた。
あたしはそれを司令部で聞かされて、あわててデミリアン格納庫へむかった。
出撃準備にはいっていたタケルは、あたしの腕に巻かれたままの包帯を見ながら開口一番、「アイ、きみはまだ完治してない」と言った。
「タケル、今回は出撃しなくてもいいんでしょ」
「うん。強制はされてない。シモンのようにね」
「だったら今回は見送って。たぶん次はあたし、間にあうから。ブライトだって反省しているのよ。だからひとりで出撃させるのをためらっているんだと思う」
「不安なだけさ。ぼくときみのふたりしか、もう手駒はないんだからね。シモンに申し訳ないなんて、これっぽっちも思っちゃいないさ」
「でも、あたしたちと同等のちからをもつ、新しい部隊を影で用意しているっていう噂があるわ」
「あぁ、96・9のことだね?。ぼくも耳にしたことがある。でも本当に『同等』かどうかはわからない。血の純度がすこし足りてないっていうからね」
「うん、あたしもそう思ってる。むかし、なんどか試した記録があるけど、一度もうまくいかなかったっていう話……」
「あぁ。途中でデミリアンを操作できなくなったり、精神をやられたりしたらしい」
「なら、やっぱあたしとタケルのふたりで、残りの亜獣をで残り22体を始末するしかないじゃない。今回の出撃は見送って、次で確実に仕留めましょう、タケル」
「ごめん。ぼくはやるよ。ひとりでもシモンの仇をうつ」
タケルはやんわりとそう言った。
でもあたしにはそこに揺るぎない覚悟を感じられた。
「でも安心して。無理はしない。痛い目にあわせるのは亜獣だけじゃないから」
「亜獣……じゃない……?。ブライト、ブライトに思い知らせようっていう魂胆なのね」
タケルはかるくうなずいた。
「でも思い知らせるのは、ブライトさんだけじゃない」
「ブライトだけじゃないって……。リンさんやアルやエドとかにも、なにかするつもり?。そもそも、しょうとさんは被害者なのよ。最大のね」
「アイ、安心して。ぼくが思い知らせるのは、ブライトに命令を下したヤツだ」
たぶんそうだったのだと思う。
亜獣『ラーゼファン』が出現したとき、司令部は、すくなくともブライトは、タケルへの出撃要請を打診してこなかった。前回、シモンへ亜獣撃退を強制して、最悪な事態を招いたことへの反省なんだろうと思う。
だけど、タケルはマンゲツで出撃することを申しでた。
あたしはそれを司令部で聞かされて、あわててデミリアン格納庫へむかった。
出撃準備にはいっていたタケルは、あたしの腕に巻かれたままの包帯を見ながら開口一番、「アイ、きみはまだ完治してない」と言った。
「タケル、今回は出撃しなくてもいいんでしょ」
「うん。強制はされてない。シモンのようにね」
「だったら今回は見送って。たぶん次はあたし、間にあうから。ブライトだって反省しているのよ。だからひとりで出撃させるのをためらっているんだと思う」
「不安なだけさ。ぼくときみのふたりしか、もう手駒はないんだからね。シモンに申し訳ないなんて、これっぽっちも思っちゃいないさ」
「でも、あたしたちと同等のちからをもつ、新しい部隊を影で用意しているっていう噂があるわ」
「あぁ、96・9のことだね?。ぼくも耳にしたことがある。でも本当に『同等』かどうかはわからない。血の純度がすこし足りてないっていうからね」
「うん、あたしもそう思ってる。むかし、なんどか試した記録があるけど、一度もうまくいかなかったっていう話……」
「あぁ。途中でデミリアンを操作できなくなったり、精神をやられたりしたらしい」
「なら、やっぱあたしとタケルのふたりで、残りの亜獣をで残り22体を始末するしかないじゃない。今回の出撃は見送って、次で確実に仕留めましょう、タケル」
「ごめん。ぼくはやるよ。ひとりでもシモンの仇をうつ」
タケルはやんわりとそう言った。
でもあたしにはそこに揺るぎない覚悟を感じられた。
「でも安心して。無理はしない。痛い目にあわせるのは亜獣だけじゃないから」
「亜獣……じゃない……?。ブライト、ブライトに思い知らせようっていう魂胆なのね」
タケルはかるくうなずいた。
「でも思い知らせるのは、ブライトさんだけじゃない」
「ブライトだけじゃないって……。リンさんやアルやエドとかにも、なにかするつもり?。そもそも、しょうとさんは被害者なのよ。最大のね」
「アイ、安心して。ぼくが思い知らせるのは、ブライトに命令を下したヤツだ」
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