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第三章 第四節 エンマ・アイ

第622話 バットーがうまくやってるから大丈夫

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「だが、アスカくん。わたしたちふたり揃って、別の場所にむかっては兵士たちを危険にさらしてしまうことになってしまう」
 ユウキはアスカに抗議したが、アスカはそれ以上の圧で返してきた。

「亜獣をおびきだすほうが重要な任務でしょうがぁ。それにさっき言ったようにバットーがうまくやってるから、そっちは任せて大丈夫!」

「うまく、と言われましても……」
 あまりに楽観するアスカの無責任ぶりに、いかばかりかの不信感を抱きながら、ユウキは各モニタを確認した。そこにはこの地下都市で戦っている兵士たちの様子が、9つのスクリーンに分割されて映しだされていた。
 
 どのモニタにもおどろくほどの手際のよさで、魔法少女にとどめをさしている兵士たちの活躍が映し出されていた。
 兵士たちは基本的には三人一組のチームで、魔法少女の殲滅せんめつにあたっていた。アスカやユウキによって、地面や壁に魔法少女が叩きつけられたとみるや、3台のエア・バイクで一気に急襲した。
 まずひとりがマジカル・ソードで首を斬って『呪文』を呟けないよう声帯を潰すと、もうひとりがマジカル・スピア(槍)で心臓を突く。そのあいだ先行するふたりを護衛していた最後のひとりは、魔法少女の動きがとまったところで、マシンガンで銃弾を撃ち込みとどめをさす。
 心臓を破壊された魔法少女はそれだけで『復活』や『再生』は不可能になるが、銃弾を撃ち込むことで、『移行領域』の力を消失したかを再確認しているのだろう。
 兵士たちは熟達したよどみない動きで、それらの作業を無感動にこなしていた。本来は命懸けのミッションのはずだが、手慣れた作業工程を黙々とこなしているにすぎないようにすら見えた。
 これでは魔法少女たちが『部品』をかき集めるいとまはなく、復活するなど一縷いちるの望みもないにちがいない。先に中華合衆国等で行われた予行演習の成果なのだろう。とはいえ、あのときは魔法少女の『二群』相手に、犠牲者こそでなかったものの、兵士の何人かが怪我をしたと聞く。
 それから考えると跳躍の進歩だ。ユウキは自分が魔法少女をはたき落とすのに専念するあまり、これらの兵士たちの活躍を注視していなかったことに気づいて反省した。
 だからと言ってアスカが現場を離れるのを良しとするわけにはいかない。

「アスカくん。兵士たちはスムーズに対応してくれてますが、それも我々が魔法少女をはたき落として、下処理……、そう下処理をしているからで……」

「あんた、ボカぁ。だから言ってるでしょ。バットーが代わりをやってるって!」
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