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第三章 第四節 エンマ・アイ
第606話 通路を完全に塞がれています
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「天井と壁が壊れて、通路を完全に塞がれていますわ」
クララが第8隔壁が崩落した土砂で埋まっているのをみて思わず叫んだ。
数十キロにもおよぶ長い通路は、その当時、放射能の嵐の侵入をふせぐため、10のブロックに仕切られていて、そのブロックごとに放射能防御用のものものしい隔壁が設けられていた。その隔壁は開かれたままになっていたが、あと2ブロックの位置まできたところで問題が生じた。
隔壁まわりの天井や壁の崩落——。
あと2枚の隔壁を通り抜ければよいところで、閉鎖された隔壁が出現した。だが、その隔壁は土砂にうまっており、進路が完全に塞がれてしまっていた。
屋根部分にあいたおおきな穴から落ちた土砂が、隔壁の前の地面に堆積して通路いっぱいに広がっている。さらに横っ腹にはあきらかに外側から内側にむけて爆発があったような痕もあった。横壁のパネルの何枚かは吹き飛び、爆発に耐えたパネルはベッコリと内側にへこんでいる。上と横からなだれ込んだ土塊や土石が通路の大半をふさいでおり、わずかに上のほうの隙間から人間ひとりが通れるかどうかの隙間があるだけだった。7~80メートルもある天井までギリギリまで埋め尽くしているのでは、さすがのデミリアンでもいかんともしがたい状況だった。
「これだけ壊れているのでは、これ以上進めないじゃないですか」
クララは繰り言を口にしたが、レイがすぐに訂正した。
「ちがう。壊れているんじゃなく、壊されている」
「壊されている……ですって?」
「レイ、あなたはなぜ壊されていると?。壊れている、ではなく……」
レイの見解にモニタのむこうの草薙が、興味深そうに尋ねてきた。
「もし老朽化で壊れているのなら、ここまでの隔壁にもなにか異常があったはず。でもどの隔壁にもひびひとつ入っていなかった。ここだけ天井も横壁も壊れるなんて不自然すぎる。それに壊れているところ見て。あきらかに爆発のような強力なパワーが働いている」
「ちょ、ちょっと……。だれかが壊したっていう意味がわかりません。だいたい誰が壊したっていうんですの?」
クララはレイの解答がになってきたので、うんざりする気分でレイを問いただした。が、レイはあっさりと自分の意見を口にした。
「亜獣。たぶん亜獣が壊した」
「ちょっとぉ、それ、どういうことっ?、レイ!」
その回答にまっさきに食いついてきたのは、司令部のカツライ・ミサト司令官だった。モニタのむこうからヒステリックに声を荒げた。
「ミサト、ことばのまま。これは亜獣が壊した」
「なぜ、そんなことが言えるの?」
「たぶんこの一枚の隔壁だけ閉まっているのでは不安だったんだと思う……」
クララが第8隔壁が崩落した土砂で埋まっているのをみて思わず叫んだ。
数十キロにもおよぶ長い通路は、その当時、放射能の嵐の侵入をふせぐため、10のブロックに仕切られていて、そのブロックごとに放射能防御用のものものしい隔壁が設けられていた。その隔壁は開かれたままになっていたが、あと2ブロックの位置まできたところで問題が生じた。
隔壁まわりの天井や壁の崩落——。
あと2枚の隔壁を通り抜ければよいところで、閉鎖された隔壁が出現した。だが、その隔壁は土砂にうまっており、進路が完全に塞がれてしまっていた。
屋根部分にあいたおおきな穴から落ちた土砂が、隔壁の前の地面に堆積して通路いっぱいに広がっている。さらに横っ腹にはあきらかに外側から内側にむけて爆発があったような痕もあった。横壁のパネルの何枚かは吹き飛び、爆発に耐えたパネルはベッコリと内側にへこんでいる。上と横からなだれ込んだ土塊や土石が通路の大半をふさいでおり、わずかに上のほうの隙間から人間ひとりが通れるかどうかの隙間があるだけだった。7~80メートルもある天井までギリギリまで埋め尽くしているのでは、さすがのデミリアンでもいかんともしがたい状況だった。
「これだけ壊れているのでは、これ以上進めないじゃないですか」
クララは繰り言を口にしたが、レイがすぐに訂正した。
「ちがう。壊れているんじゃなく、壊されている」
「壊されている……ですって?」
「レイ、あなたはなぜ壊されていると?。壊れている、ではなく……」
レイの見解にモニタのむこうの草薙が、興味深そうに尋ねてきた。
「もし老朽化で壊れているのなら、ここまでの隔壁にもなにか異常があったはず。でもどの隔壁にもひびひとつ入っていなかった。ここだけ天井も横壁も壊れるなんて不自然すぎる。それに壊れているところ見て。あきらかに爆発のような強力なパワーが働いている」
「ちょ、ちょっと……。だれかが壊したっていう意味がわかりません。だいたい誰が壊したっていうんですの?」
クララはレイの解答がになってきたので、うんざりする気分でレイを問いただした。が、レイはあっさりと自分の意見を口にした。
「亜獣。たぶん亜獣が壊した」
「ちょっとぉ、それ、どういうことっ?、レイ!」
その回答にまっさきに食いついてきたのは、司令部のカツライ・ミサト司令官だった。モニタのむこうからヒステリックに声を荒げた。
「ミサト、ことばのまま。これは亜獣が壊した」
「なぜ、そんなことが言えるの?」
「たぶんこの一枚の隔壁だけ閉まっているのでは不安だったんだと思う……」
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