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第三章 第三節 進撃の魔法少女

第534話 エド、機密データにいきあたる

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「ないって、どういうことなんだ!」

 それはエドにとって受け入れがたい返事だった。
 金田日のアドバイスに従って、この基地の敷地内に魔法少女の信号があった日の監視データの取得を申請したが、対応した管理部の女性型ロボットは困ったように眉根を寄せるだけだった。
「ですから、その日の該当データはありません」
「ど、どういうことなのかね。ここでは数ヶ月でデータを廃棄してしまうのかね」
 たまらず脇から金田日が口を挟んできた。
「いえ、当該データは移動要請がでておりまして」
「ど、どこからなんだ!」
 エドは気色ばんで、女性ロボットに詰め寄った。
「それは申しあげられません」
「な、なんだって、データ管理部はそんな指示を受理した!」
「命令ですから」
「だ、誰の命令でそんなことが……」
「大変申し訳ありませんが、それは軍事機密ですので……」
「ぼくにはそれを知る権限がある。教えてくれ」
「残念ですが、その権限では……」
 管理部の受付女性型ロボットは、首を横にふってみせた。
「バ、バカな。もっと上の権限者からの指示だと言うのか?」
「さぁ」
 今度はわざとらしく肩をすくめてみせた。
「バックアップは?。コピーとかなにかこちらにアーカイブされたものはないのか!」
 エドはなおも食い下がったは、受付ロボットは突然シャットダウンして、そのまま表情を失った。能面のような顔でうしろに下がっていく。
「おい、今の質問の答えはしてくれないのかね」
 金田日が手を前にふりながら、受付ロボットを停めようとした。が、エドはそれが無意味なことを知っていたので、金田日の肩に手をやって押しとどめた。
「金田日先生。無駄です。軍のデータは機密扱いになったとたん、一切の複製が不可能なデータ形式に変換され、強固なセキュリティの管理下におかれる」
「じゃあ……」
「ええ、これでオリジナルのデータへのアクセスはほぼ不可能になった……。ただ、間違いなくここに映っててはいけないなにかが録画されていた、ということはわかりました」
「でもそれならなぜこのデータを破棄しないのかね」
「たしかに……。見られたくないなら完全に削除すればいい話だ。軍のセキュリティがかかったということは、完全に消去するわけにはいかない……、そう、まだ検証や調査が必要なことが残っている、ということかもしれない」
「しかし弱ったね。データの入手が不可能になっては手も足もでないよ。せめてどうにかして垣間見ることでもできれば、なんとか糸口が掴めたのだけどね……」
 金田日がこころの底から残念そうに吐露するのを聞いて、エドはハッとした。
「垣間見ることができたら?」
「ええ。証拠のデータがあるのがベストだがね、だれが映っているかだけがわかれば、あとはなんとかできるだろう」
「そうか!」

 エドはデータを見るだけなら、ほかの方法で入手可能なことにいきあたった。
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