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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第524話 バットー、魔法少女に飛びかかる
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草薙が大声で命令するとトグロたちが後方にむけて一斉に射撃をはじめた。
その銃弾やビームは真正面から魔法少女をとらえたが、さきほど同様『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の力で、ただの幻影のようにすべてすり抜けていく。
草薙は「トグロ、煙幕弾だ」と指示をだした。トグロは車の窓から体をのりだして、上空にむけて手榴弾を投げつけた。手榴弾は魔法少女にひきつけられるように飛んでいくと、すこし手前の空間で爆発した。あたり一面に煙が噴きあがり、あっという間に黒煙がその空間を覆い隠した。下から見るとちいさな暗雲にみえるだろう。
この雲が魔法少女の進行を遮った。
正面の視界をほぼうしなって、魔法少女がおもわず飛行をとめた。高周波をだしていた羽音が、すこし音色を変えた。
バットーはその隙を逃さず、ルーフを力いっぱい蹴飛ばし空中に飛び出した。魔法少女までは十メートル以上は離れていたが、『素体』にかけられているリミッターをはずして、人間離れした跳躍をしてみせた。
バットーは魔法少女の上方から銃を乱射しながら、飛びかかっていく。上方から撃ち込んだ銃弾も、ベールに阻まれ通り抜けて、どこかの空間に消えていく。
『大佐。上からの攻撃もダメっぽいぜ』
バットーが脳内通信でそれだけ伝えると、もっていた銃を投げ捨て、おおきく手をひろげた。そのまま下にいる魔法少女に抱きつくつもりだ。
が、黒い煙がふっと途切れた。
魔法少女が暗雲を突き破って飛びかかってきているバットーに気づいた。背中の羽根をビィーンと強く羽ばたかせて、それを交わそうとする。
「逃さねぇよ!」
バットーはそう叫んで掴みかかったが、一瞬魔法少女の動きのほうが速かった。バットーの手が魔法少女のからだをつかみきれず空を切った。
車内で「あぁ」という悲鳴があがる。
そのまま落下していく。と、思った瞬間、『素体』の右の上腕が飛び出した。肘の関節部分に埋込まれたワイヤーが伸びる。ぎりぎりのタイミングで、伸びた腕が少女の左足首を掴んでいた。ぐいっと下にひっぱられて魔法少女のからだが下方に沈み込む。
バットーは袂から小型拳銃を引き抜くと、上にむけて一気に8発を撃ち込んだ。
この銃弾はついに魔法少女をとらえた。
その銃弾やビームは真正面から魔法少女をとらえたが、さきほど同様『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の力で、ただの幻影のようにすべてすり抜けていく。
草薙は「トグロ、煙幕弾だ」と指示をだした。トグロは車の窓から体をのりだして、上空にむけて手榴弾を投げつけた。手榴弾は魔法少女にひきつけられるように飛んでいくと、すこし手前の空間で爆発した。あたり一面に煙が噴きあがり、あっという間に黒煙がその空間を覆い隠した。下から見るとちいさな暗雲にみえるだろう。
この雲が魔法少女の進行を遮った。
正面の視界をほぼうしなって、魔法少女がおもわず飛行をとめた。高周波をだしていた羽音が、すこし音色を変えた。
バットーはその隙を逃さず、ルーフを力いっぱい蹴飛ばし空中に飛び出した。魔法少女までは十メートル以上は離れていたが、『素体』にかけられているリミッターをはずして、人間離れした跳躍をしてみせた。
バットーは魔法少女の上方から銃を乱射しながら、飛びかかっていく。上方から撃ち込んだ銃弾も、ベールに阻まれ通り抜けて、どこかの空間に消えていく。
『大佐。上からの攻撃もダメっぽいぜ』
バットーが脳内通信でそれだけ伝えると、もっていた銃を投げ捨て、おおきく手をひろげた。そのまま下にいる魔法少女に抱きつくつもりだ。
が、黒い煙がふっと途切れた。
魔法少女が暗雲を突き破って飛びかかってきているバットーに気づいた。背中の羽根をビィーンと強く羽ばたかせて、それを交わそうとする。
「逃さねぇよ!」
バットーはそう叫んで掴みかかったが、一瞬魔法少女の動きのほうが速かった。バットーの手が魔法少女のからだをつかみきれず空を切った。
車内で「あぁ」という悲鳴があがる。
そのまま落下していく。と、思った瞬間、『素体』の右の上腕が飛び出した。肘の関節部分に埋込まれたワイヤーが伸びる。ぎりぎりのタイミングで、伸びた腕が少女の左足首を掴んでいた。ぐいっと下にひっぱられて魔法少女のからだが下方に沈み込む。
バットーは袂から小型拳銃を引き抜くと、上にむけて一気に8発を撃ち込んだ。
この銃弾はついに魔法少女をとらえた。
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