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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第493話 おまえとマンゲツの『共命率』はこれからだ
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「ほんのすこし感度がいいのさ、マンゲツは。まぁ、まだおまえとマンゲツの『共命率』はベストの状態でシンクロしてないから、おまえは気づかなかっただろうがな」
「シモン、どうやったらその『共命率』が高まるのさ」
「そりゃ……、もっと……その——、わかんねぇ」
アヤトは早々に説明をあきらめた。隣にいたしょうとさんはすこしため息をつくと、かわりに説明をかってでた。
「タケルくん、アヤトが言いたいのはね。もっとマンゲツの心の声を聞いて、仲良くっていうか、信頼関係を築けってこと。あなたとマンゲツが親密になればなるほど、あの機体は自分の手足同然、ううん、自分の手足以上に動いてくれる」
「あの化物と信頼関係をって言われても……」
「マンゲツだけはそういうコミュニケーションがとれる、って聞いてる。99・9%じゃないわたしたちにはわからないンだけどね」
「これからだよ、タケル。まだ最初じゃねぇか。それでもあんなにスムーズな動きで、今回亜獣を退治したんだ。脈はあるってことサ」
「たまたまだよ、シモン。言ったろ。直前にやまを張ったのがあたったみたいなもので……」
「でも、倒した。だろ、アイちゃん」
「そうよ。シモンの言う通り。タケルったら自己評価が低すぎンのよ。まったく日本人のわるいとこは、そーいうとこ」
「日本人は関係ないだろ?」
「は、『謙遜』なんてしおらしい文化あるの、日本だけでしょうに。しかもそんなの200年も前にとっくに滅びたわよ。っていうか、そんな性格だから、日本人は絶滅しかかることになってンのよ」
「でも、アイ、キミだってあんまりうまくいきすぎて、仕組まれてるみたいって言ったじゃないか」
「たしかに言ったわ。でもこれが訓練ならまちがいなくそうよ。でもね、これは実戦なのよ。素体でできたシミュレーション用のまがい物の亜獣じゃなく血肉のかよった本物の亜獣を殺したのよ。だれに仕組まれるってーの。もしそうだとしたら、それは神様が仕掛けた。えーと、そう『天の配剤』ってうヤツ」
「アイはいつも前向きでいいねぇ」
アヤトが飲み物を咽に流し込みながら言った。だいぶ酔いがまわったとみえて、しょうとさんに肩を抱かれたうえ、しなだれかかっている。すぐにアイがアヤトの様子を見咎めた。
「シモン。ほめてくれンのは嬉しいけど。ショートのお尻をなでながらはないんじゃないかしら!」
アヤトはそう指摘されて、うしろにまわしていた右手をあわてて上に挙げてみせた。
「ありゃりゃ、バレちまってたか」
しょうとさんはアヤトの肩をぐっともちあげて、しっかりと起立させて言った。
「バレたじゃないわよ。ここに思春期まっただなかの男の子と女の子がいるっていうこと忘れないでちょうだい」
「そうだな。でもオレはきみと一緒に、思春期まっただなかなことをしたいンだけどね」
「シモン、どうやったらその『共命率』が高まるのさ」
「そりゃ……、もっと……その——、わかんねぇ」
アヤトは早々に説明をあきらめた。隣にいたしょうとさんはすこしため息をつくと、かわりに説明をかってでた。
「タケルくん、アヤトが言いたいのはね。もっとマンゲツの心の声を聞いて、仲良くっていうか、信頼関係を築けってこと。あなたとマンゲツが親密になればなるほど、あの機体は自分の手足同然、ううん、自分の手足以上に動いてくれる」
「あの化物と信頼関係をって言われても……」
「マンゲツだけはそういうコミュニケーションがとれる、って聞いてる。99・9%じゃないわたしたちにはわからないンだけどね」
「これからだよ、タケル。まだ最初じゃねぇか。それでもあんなにスムーズな動きで、今回亜獣を退治したんだ。脈はあるってことサ」
「たまたまだよ、シモン。言ったろ。直前にやまを張ったのがあたったみたいなもので……」
「でも、倒した。だろ、アイちゃん」
「そうよ。シモンの言う通り。タケルったら自己評価が低すぎンのよ。まったく日本人のわるいとこは、そーいうとこ」
「日本人は関係ないだろ?」
「は、『謙遜』なんてしおらしい文化あるの、日本だけでしょうに。しかもそんなの200年も前にとっくに滅びたわよ。っていうか、そんな性格だから、日本人は絶滅しかかることになってンのよ」
「でも、アイ、キミだってあんまりうまくいきすぎて、仕組まれてるみたいって言ったじゃないか」
「たしかに言ったわ。でもこれが訓練ならまちがいなくそうよ。でもね、これは実戦なのよ。素体でできたシミュレーション用のまがい物の亜獣じゃなく血肉のかよった本物の亜獣を殺したのよ。だれに仕組まれるってーの。もしそうだとしたら、それは神様が仕掛けた。えーと、そう『天の配剤』ってうヤツ」
「アイはいつも前向きでいいねぇ」
アヤトが飲み物を咽に流し込みながら言った。だいぶ酔いがまわったとみえて、しょうとさんに肩を抱かれたうえ、しなだれかかっている。すぐにアイがアヤトの様子を見咎めた。
「シモン。ほめてくれンのは嬉しいけど。ショートのお尻をなでながらはないんじゃないかしら!」
アヤトはそう指摘されて、うしろにまわしていた右手をあわてて上に挙げてみせた。
「ありゃりゃ、バレちまってたか」
しょうとさんはアヤトの肩をぐっともちあげて、しっかりと起立させて言った。
「バレたじゃないわよ。ここに思春期まっただなかの男の子と女の子がいるっていうこと忘れないでちょうだい」
「そうだな。でもオレはきみと一緒に、思春期まっただなかなことをしたいンだけどね」
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