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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第478話 地球は赤かった——
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それは顔から血の気が一気にひいてしまうほどの、ゾッとする光景だった——。
カツライ・ミサトはメインスクリーン上に突然現れた赤い点を、呆然として見ているしかなかった。最初はヤマトやアスカがいる東京上にあった、たった一点の赤い点だった。おそらくエンマ・アイと名乗った魔法少女を捕捉したものだ。
だが、その点が消えると同時に、世界地図に一斉に赤い点が現れたのだ。
前に金田日博士に見せられたときの地球のデータのように、一点、一点、穿たれていくような演出などはない。
一度に地球が真っ赤に染まったのだ——。
まるで地球は青いのではなく、元々は赤かったのではないか、と勘違いしてしまうほど劇的に『真っ赤』に変わったのだった。
「ど、どういうこと!!」
自分でも意識せずに、口からことばが漏れていた。が、すぐさま気づいて、自分で自分に驚く。われを忘れそうになっているのが、自分でも理解できたからだ。
「そんな、ありえない……」
金田日が口元をわなわなと震わせながら叫んだ。
「一万を超えてます」
ヤシナ・ミライがやけに冷静な声で言い放った。自分はパニックになりかかっているというのに……。イヤなおんなだ。
ミサトはミライを睨みつけるように見た。顔色ひとつ変えずにモニタ画面を覗き込んでいる。ミサトはその顔をみて、なぜかカチンときた。
この反応の差はなに?。
ギリッと唇を噛みしめる。薄く塗っていたリップグロスが歯の先に付着したのがわかる。
そうだ、責任の差だ——。
ミライとわたしでは、その責任の重さに差がある。わたしが愕然とするのも当然で、あのおんなが平然としていられるのも当然なのだ。役職に『副』がついているだけで、その責任はわたしの数百倍軽い。
そう思っただけで、すっとなにかの呪縛が解けた。ミサトは叱りつけるような厳しい声色で金田日に問うた。
「金田日博士。あなたの見立てより多い。どういうことです!」
「お、おそらく、さきほどあのエンマ・アイと名乗る魔法少女が言ったとおりです。二群が覚醒したのだと……」
「あれ、本当だったって言うの!」
「いや、わたしも信じられませんでしたが、これを見れば……」
「どうすればいい!」
金田日はすぐに返事をしてこなかった。本人もどうしていいかわからないという表情で目をきょろきょろしている。ミサトはこの博士を見限った。
「エド、どうすればいいか教えて!」
カツライ・ミサトはメインスクリーン上に突然現れた赤い点を、呆然として見ているしかなかった。最初はヤマトやアスカがいる東京上にあった、たった一点の赤い点だった。おそらくエンマ・アイと名乗った魔法少女を捕捉したものだ。
だが、その点が消えると同時に、世界地図に一斉に赤い点が現れたのだ。
前に金田日博士に見せられたときの地球のデータのように、一点、一点、穿たれていくような演出などはない。
一度に地球が真っ赤に染まったのだ——。
まるで地球は青いのではなく、元々は赤かったのではないか、と勘違いしてしまうほど劇的に『真っ赤』に変わったのだった。
「ど、どういうこと!!」
自分でも意識せずに、口からことばが漏れていた。が、すぐさま気づいて、自分で自分に驚く。われを忘れそうになっているのが、自分でも理解できたからだ。
「そんな、ありえない……」
金田日が口元をわなわなと震わせながら叫んだ。
「一万を超えてます」
ヤシナ・ミライがやけに冷静な声で言い放った。自分はパニックになりかかっているというのに……。イヤなおんなだ。
ミサトはミライを睨みつけるように見た。顔色ひとつ変えずにモニタ画面を覗き込んでいる。ミサトはその顔をみて、なぜかカチンときた。
この反応の差はなに?。
ギリッと唇を噛みしめる。薄く塗っていたリップグロスが歯の先に付着したのがわかる。
そうだ、責任の差だ——。
ミライとわたしでは、その責任の重さに差がある。わたしが愕然とするのも当然で、あのおんなが平然としていられるのも当然なのだ。役職に『副』がついているだけで、その責任はわたしの数百倍軽い。
そう思っただけで、すっとなにかの呪縛が解けた。ミサトは叱りつけるような厳しい声色で金田日に問うた。
「金田日博士。あなたの見立てより多い。どういうことです!」
「お、おそらく、さきほどあのエンマ・アイと名乗る魔法少女が言ったとおりです。二群が覚醒したのだと……」
「あれ、本当だったって言うの!」
「いや、わたしも信じられませんでしたが、これを見れば……」
「どうすればいい!」
金田日はすぐに返事をしてこなかった。本人もどうしていいかわからないという表情で目をきょろきょろしている。ミサトはこの博士を見限った。
「エド、どうすればいいか教えて!」
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