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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第471話 やっぱり、キミが操ってるんだね
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キーヘーがにたりと笑った。
いや、たんにそう見えただけだった。キーヘーの口はバッテンのまま変わっていない。だが、アスカにはたしかに、薄ら笑いを浮かべたように感じられた。エンマ・アイがキーヘーのことばに頷きながら、口を挟んできた。
「ホント、ホント。やっと十万人分のパーツを集めたっていうのにね」
十万人——!!!!!。
その数字に司令部に戦慄が走った。
金田日の顔はみるみる蒼ざめていき、エドはからだを震えさせていた。隙あらばエンマ・アイになにか言ってやろうとしていたはずのミサトさえ固唾を呑込んだまま黙り込んでいた。
「で、いまから二群を世界中へ解き放とうと思うの。相当あたふたすると思うわ。覚悟なさいよ。タケル」
エンマ・アイはゾッとするような話を、おちゃめな顔をして言ってきた。
アスカはさきほど見た映像を思い返した。背中がゾクリとする。あんな化物のような魔法少女が、世界中に十万体も解き放たれる——?。
「やっぱり、キミが操ってるんだね」
ヤマトはエンマ・アイの煽り文句を受け流して、相手の虚をついた。
「そういうことになるかしら……。まぁ、そうでなきゃ、無理してこんな風にでてきやしないしね」
「無理して?」
ヤマトが怪訝そうな表情で復唱すると、キーヘーが不満そうな顔で答えた。
「それはそうだろ。キミたちの世界での活動時問を過ぎてるのに現れてるんだよ。だから、こんななりで、出てこざるをえないのさ」
「そう、そう、これって結構、たいへんなんだからね」
「おかげで次にキミらに会うのが、すこし遅くなりそうだ。そろそろ戻るよ」
「ええ。そうするわ。名残惜しいけどね……」
「ぼくはもう休みたいよ」
そう言いながらキーヘーのからだが空間のなかに消えていった。エンマ・アイのからだも消えかかっていたが、最後にヤマト・タケルを見つめて言った。
「あたしたちの宣戦布告はこれでおしまい。あたしたちがいない間、二群の相手をよろしくね……」
「愛してるわ。タ・ケ・ル」
エンマ・アイの姿が完全に消え去ったあとも、ヤマトはその空間をじっと見つめたまま口を開こうとしなかった。まるで余韻に浸っているように見えた。
アスカはなにもかもが気に入らなかった——。
エンマ・アイの仕草も、キーヘーの生意気な態度も、タケルがなにかを隠していることも、そしてそれがエンマ・アイに関わることも、それを春日リンや草薙大佐が知っているということも……。
そして自分だそのことをなにも聞かされていなかったことも——。
こんなの認めない。
認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。
認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。
認めるわけにいかない————————。
だが、アスカがいちばん認めたくなかったのは、エンマ・アイが自分とよく似ているように感じたことだった。
そう……。あたしは、あの娘によく似ている——。
いや、たんにそう見えただけだった。キーヘーの口はバッテンのまま変わっていない。だが、アスカにはたしかに、薄ら笑いを浮かべたように感じられた。エンマ・アイがキーヘーのことばに頷きながら、口を挟んできた。
「ホント、ホント。やっと十万人分のパーツを集めたっていうのにね」
十万人——!!!!!。
その数字に司令部に戦慄が走った。
金田日の顔はみるみる蒼ざめていき、エドはからだを震えさせていた。隙あらばエンマ・アイになにか言ってやろうとしていたはずのミサトさえ固唾を呑込んだまま黙り込んでいた。
「で、いまから二群を世界中へ解き放とうと思うの。相当あたふたすると思うわ。覚悟なさいよ。タケル」
エンマ・アイはゾッとするような話を、おちゃめな顔をして言ってきた。
アスカはさきほど見た映像を思い返した。背中がゾクリとする。あんな化物のような魔法少女が、世界中に十万体も解き放たれる——?。
「やっぱり、キミが操ってるんだね」
ヤマトはエンマ・アイの煽り文句を受け流して、相手の虚をついた。
「そういうことになるかしら……。まぁ、そうでなきゃ、無理してこんな風にでてきやしないしね」
「無理して?」
ヤマトが怪訝そうな表情で復唱すると、キーヘーが不満そうな顔で答えた。
「それはそうだろ。キミたちの世界での活動時問を過ぎてるのに現れてるんだよ。だから、こんななりで、出てこざるをえないのさ」
「そう、そう、これって結構、たいへんなんだからね」
「おかげで次にキミらに会うのが、すこし遅くなりそうだ。そろそろ戻るよ」
「ええ。そうするわ。名残惜しいけどね……」
「ぼくはもう休みたいよ」
そう言いながらキーヘーのからだが空間のなかに消えていった。エンマ・アイのからだも消えかかっていたが、最後にヤマト・タケルを見つめて言った。
「あたしたちの宣戦布告はこれでおしまい。あたしたちがいない間、二群の相手をよろしくね……」
「愛してるわ。タ・ケ・ル」
エンマ・アイの姿が完全に消え去ったあとも、ヤマトはその空間をじっと見つめたまま口を開こうとしなかった。まるで余韻に浸っているように見えた。
アスカはなにもかもが気に入らなかった——。
エンマ・アイの仕草も、キーヘーの生意気な態度も、タケルがなにかを隠していることも、そしてそれがエンマ・アイに関わることも、それを春日リンや草薙大佐が知っているということも……。
そして自分だそのことをなにも聞かされていなかったことも——。
こんなの認めない。
認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。
認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。認めない!。
認めるわけにいかない————————。
だが、アスカがいちばん認めたくなかったのは、エンマ・アイが自分とよく似ているように感じたことだった。
そう……。あたしは、あの娘によく似ている——。
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