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第三章 第二節 魔法少女大戦

第421話 アメリカ陸軍 魔法少女との戦いの記録3

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「残念ですが、わたしはこれだけの戦力差がひっくり返せるとは思えません……」
 ミライの投げかけた問いに、草薙は胸を張って否定のことばを口にした。
「ましてや相手は曲がりなりにも亜獣の亜種です。こちらの攻撃が『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』を運良くすり抜けなければ、傷ひとつつけることさえできないのです。となれば自分が囮になって、一人でも多く部下を脱出させようと考えます。この隊長のように」
 草薙の見解にユウキが賛同した。
「なるほど、たしかにこの隊長が自分が囚になって、フロア中央に魔法少女を集めているようにみえますね」
 画面上ではスージーが数人の隊員たちとともに魔法少女に取り囲まれはじめる様子が展開されていた。だが、外周部に散った兵士たちが様々な方向から、五月雨式さみだれしきに攻撃を浴びせて援護しているため、魔法少女たちは容易には襲いかかれずにいる。
 逆に外側から援護している兵士に襲いかかろうとすると、今度は中心部にいるスージーたちが彼らの援護にまわる。

「ほう、この隊長、なにかを仕掛けようとしているな」
 草薙がそう呟くと、ヤマトが「えぇ、たしかに」と相槌をうつ。だが、だが内と外の二重の輪の陣形での攻撃も、徐々に崩されはじめてきた。見ているあいだに、ひとり減り、またひとり減りと、戦力が削られていく。このままいけば早晩、全滅は免れえないのは明らかだった。
「みんな、なにかを背負っているようですね」
 クララがスージーの周りにいる別の隊員が、背中になにかを背負っていることに気づいた。ミライはすぐさま、それに注釈を加えた。
「あれは簡易着用式揚力装置『フライ・バーニア』。超流動斥力波を噴き出す装置よ」

 スージーがちらりと頭上に目をむけた。
 一瞬だが、その目が天井にある大きなほ乳類の姿をとらえた。
「ミライ、あれ、なに?」
 アスカがそれを見逃さなかった。
「あぁ、あれはたぶん『クジラ』っていう海の生き物で……」
「ちがう!。あの生物、水のなかに沈んでるように見える。ここどういうとこなの?」
「アスカ、さっきも言ったわよ。ここは自然史博物館。動物園や水族館に植物園まで併設された巨大施設。あの大型生物のロボットは昔は動いていて、入場口のフロアから見あげると、海底から海の中を見あげているように見えたそうよ。まぁ、見ての通り、今はあのとおり朽ち果ててるけどね」
 ミライは通り一遍の説明をしたが、それだけでレイはこの部隊がどうやって、魔法少女を駆逐したのか気づいたようだった。

「この隊長。すごい……」
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