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第三章 第二節 魔法少女大戦
第417話 アメリカ陸軍対魔法少女8
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おおくの兵士がすでに床に倒れていて、数箇所では数人が折り重なっていた。だがロギンズのまわりには、まだ戦える兵士はまだいるようで、数人が銃を構えてあたりを牽制していた。ただ、ロギンズの視界のなかには、魔法少女の姿はひとりもいないようだった。
制圧したのか……?。
ロギンズの脳にむけて、スージーは思考で打診した。だが、その答えはとても弱々しい
声だった。
「だ……め……」
その時ロギンスのぐるりとあたりを見回す360度の視界が、不自然なことにスージーは気づいた。さきほどからもう4、5回転をしているし、こころなしか、視線がまわるたびに、すこしづつ上方にあがっているような気がする。
どういうことだ?
スージーが湧き出た疑問の答えを、脳内で必死でたぐり寄せようとした矢先、ロギンズの回転する視線がとまった。ロギンズの目は自分の真正面の壁を見つめていた。
鏡面仕上げの正面の壁を、ロギンズは信じたくない思いで見ていた——。
そしてスージーも共有するロギンスの視線をとおしてそれを見た。もう足の震えをとめきれなかった。その場にふらついて、ぶざまに跪いた。
ロギンズの首は、からだから離れていた——。
まるでねじ釘でも引き抜くようにして、首をねじ回されて頭をもがれていたのだ。そしてその頭を頭上から鷲掴みにして、中空に浮かんでいる魔法少女がそこにいた。首の切断部分からは、血も肉もなにもでていない。ただ部品を抜き取ったように分離していた。
ロギンズはおのれのその姿をみて涙をながしていた。からだからねじ切られた頭が、首のない自分のからだをみて嘆き悲しんでいた。
ロギンズの戦慄と哀哭、そしてありとあらゆる絶望が、思考を共有するスージーの脳に突き刺さっていく。
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……
スージーはいつのまにか嗚咽を漏らしていた。
共有していたロギンズの感情に突き動かされている自分に気づかされた。すぐさまロギンズとの感情の共有を切断した。
こころの重石がふっととれて、我にかえる。だが、スージー自身もまだ自分の状態がコントロールできずにいた。
これは悪夢だ。わたしは白日夢を見ているのだ——。
いつの間にかそう言い聞かせて現実から目をそむけようとしていた。
その時、廊下に金属が落ちる音が響いた。それはロギンズたちがいる部屋のほうから聞こえた。反射的に音のしたほうに顔がむく。
そこにドアノブが落ちていた。防犯を重視した堅牢で複雑な構造のノブだったが、まるで分解したように、きれいにばらばらになって廊下に転がっていた。
ドアがゆっくりと開きはじめる。するとなかから複数の人の声が聞こえた——。
まじかるぅぅぅぅ……。
スージーは確信した。
今からが悪夢の本番なのだと——。
制圧したのか……?。
ロギンズの脳にむけて、スージーは思考で打診した。だが、その答えはとても弱々しい
声だった。
「だ……め……」
その時ロギンスのぐるりとあたりを見回す360度の視界が、不自然なことにスージーは気づいた。さきほどからもう4、5回転をしているし、こころなしか、視線がまわるたびに、すこしづつ上方にあがっているような気がする。
どういうことだ?
スージーが湧き出た疑問の答えを、脳内で必死でたぐり寄せようとした矢先、ロギンズの回転する視線がとまった。ロギンズの目は自分の真正面の壁を見つめていた。
鏡面仕上げの正面の壁を、ロギンズは信じたくない思いで見ていた——。
そしてスージーも共有するロギンスの視線をとおしてそれを見た。もう足の震えをとめきれなかった。その場にふらついて、ぶざまに跪いた。
ロギンズの首は、からだから離れていた——。
まるでねじ釘でも引き抜くようにして、首をねじ回されて頭をもがれていたのだ。そしてその頭を頭上から鷲掴みにして、中空に浮かんでいる魔法少女がそこにいた。首の切断部分からは、血も肉もなにもでていない。ただ部品を抜き取ったように分離していた。
ロギンズはおのれのその姿をみて涙をながしていた。からだからねじ切られた頭が、首のない自分のからだをみて嘆き悲しんでいた。
ロギンズの戦慄と哀哭、そしてありとあらゆる絶望が、思考を共有するスージーの脳に突き刺さっていく。
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……
スージーはいつのまにか嗚咽を漏らしていた。
共有していたロギンズの感情に突き動かされている自分に気づかされた。すぐさまロギンズとの感情の共有を切断した。
こころの重石がふっととれて、我にかえる。だが、スージー自身もまだ自分の状態がコントロールできずにいた。
これは悪夢だ。わたしは白日夢を見ているのだ——。
いつの間にかそう言い聞かせて現実から目をそむけようとしていた。
その時、廊下に金属が落ちる音が響いた。それはロギンズたちがいる部屋のほうから聞こえた。反射的に音のしたほうに顔がむく。
そこにドアノブが落ちていた。防犯を重視した堅牢で複雑な構造のノブだったが、まるで分解したように、きれいにばらばらになって廊下に転がっていた。
ドアがゆっくりと開きはじめる。するとなかから複数の人の声が聞こえた——。
まじかるぅぅぅぅ……。
スージーは確信した。
今からが悪夢の本番なのだと——。
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