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第三章 第二節 魔法少女大戦

第385話 成功率もなにも0%なのです

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「エドの提案がとても魅力的だったのは確かだと思います。バットー中佐のおっしゃるように、こちらから先手を打てるし、通常兵器によって倒すことができるからデミリアンを出動させずに済む。なにより魔法少女を殲滅せんめつしてもらえれば、あの小賢しい邪魔なしに、イオージャだけと戦うことができる、デミリアン側としてもいいこと尽くめなのよ……」
 エドはそのことばに春日リンの自分への、にじむような気遣いをひしひしと感じていた。これまで一緒に何年も戦ってきた同志として、その立場をおもんばかってくれているのだろう。だがエドはそれがありがたいと同時に、堪えがたい苦痛でもあった。
 自分でもどうしてなのかわからなかったが、かばってもらえばもらうほど、自分が矮小で場違いな存在に感じられて、どうたち振る舞えばいいのかわからなくなってくる。
「本当に残念!。でもねわたし個人の意見としては、もうすこし成功率をあげられる作戦を練って欲しいと願ってるわ。まだ時間はあるのだし……」

 個人の意見としては——。つまりはデミリアン責任者としては「ない』ということだ。
 エドはリンの言外に潜ませた本音をすぐにくみ取った。

「春日先生。おっしゃることはわかります。ですが……」
 草薙が口をひらいた。彼女に言外の意図は通じないらしい。
「成功率もなにも0%なのです。この作戦に拘泥こうでいする意義を見いだせません。なにも私の案を採用しろというつもりはありませんが、すぐに別の道を探るべきです」
 そうピシャリと言ってのけると、草薙はふたたび正面をむいたまま口を噤んだ。

 エドはおそるおそる会議の面々に目をむけた。

 議長であるミサトは、どうしていいか困りきっているようだった。ただ、どちらの意見も採択したくないのは明らかで、どうにかして先送りするかして、この場を乗り切ろうとしているにちがいなかった。
 デミリアンのパイロットたちは、どちらでもいいという風に見えた。アスカやレイは否定的意志を示したが、ユウキとクララはおなじ意見だから特に付け加えることはない、という姿勢のようだった。アル、リン、そして今日から加わった舎利弗 小人(とどろき・しょうと)の三人はこちらを見ていた。三人は痛々しく感じるほど、こちらに心配そうな顔をむけていた。意見はたがえてしまうが、おなじ各セクションの責任者としてシンパシーを感じているのかもしれない
 そして、さいごに隣にいる金田日——。
 今回も『素体』に憑依ひょういしての参加だったが、その顔には哀れみのような表情が浮かんでいた。
 エドは思わず目をそむけた。腹立たしさと悔しさが一気に押し寄せる。
 自分はそのような目で見られる存在ではないはずだ——。

 心の内を隠すように眼鏡をわざとずりあげてみせる。
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