385 / 1,035
第三章 第二節 魔法少女大戦
第384話 わたしはあなたの作戦を支持しない
しおりを挟む
「エド、残念だけど、わたしはあなたの作戦を支持しない」
召集された会議の席で開口一番、草薙大佐がエドにむかって言ってきたことばがそれだった。エドはあまりにも逃げ道のない直接的な言い方が気に障った。反射的に言い返そうとしたが草薙はその反証を許さなかった。
「7回シミュレーションをやって7回とも失敗しました。どんなにゆるい設定やデータを持ち込んで検証しても、ヤマトタケルをどうやっても守りきれないんです」
「草薙大佐、あなたは地球上の電源を切断するという作戦の発案者だから、対案であるぼくの案が気にはないのでしょう?」
エドは草薙をにらみつけて反駁した。彼女は何も言わず、今回特別に会議への同席を許可された副官のバットーにアイコンタクトをとった。促されるようにバットーが口を開いた。
「エドさん、冷静に、いやニュートラルな気持ちで聞いてくださいよ。われわれ警備部のモンは、当初あんたの作戦をとても独創的で、唯一無二のユニークなモンだと前向きにとらえていたんだ。オレたちは襲ってくるか、来ねぇかわからねぇ敵のために、いついかなる時も気を張りつめてねぇといけねぇ。それがこちらから打って出ようっていうんだ。正直、草薙大佐はどうかわかんねぇけど、すくなくともオレは前のめりだったんだよ」
「ならどうして?」
「今の報告聞いたろ。あまりにも結果がよくなかったんだ。二回に一回、いや三回に一回でも、うまくいって光明の一つでも見いだせてりゃな。でも0じゃあさすがにあんまりだよ……」
バットーはそう言って言葉尻をにごした。
エドは警備部の連中が、自分たちの実力不足を棚にあげて、こちらの案を追いやろうとしていると感じた。エドはそのことをバットーに指摘してやろうと、口を開きかけたが、アスカが立ちあがってそれを遮ってきた。
「エド。あたしもこの作戦は反対よ。だってタケルが丸腰で、危機が迫っているかもしれないとわかっている状況で、あたしたちデミリアン・パイロットがそれを気にせずに戦えると思ってる?。いくらあたしが優秀だとしてもそれは無理よ」
アスカはエドに一方的に意見を投げつけて座りかけたが、思いだしたようにレイの方を見てつけ加えた。
「ここにいるレイはもっと無理だけどね!」
そこで全員がおし黙まり気まずい空気が支配しはじめた。ミサトがそれに耐えきれなくなったのか、誰かれかまわずに訴えはじめた。
「で、けっきょくどうするのが正解なの?」
ミサトの視線が全員の頭上をひとしく流れていく。
だが、エドだけはあからさまに避けていた。結局、その視線は最終的には春日リンのうえに行き着いた。リンはそれをあらかじめ想定していたのだろう。
すぐさま自分の意見をのべはじめた。
召集された会議の席で開口一番、草薙大佐がエドにむかって言ってきたことばがそれだった。エドはあまりにも逃げ道のない直接的な言い方が気に障った。反射的に言い返そうとしたが草薙はその反証を許さなかった。
「7回シミュレーションをやって7回とも失敗しました。どんなにゆるい設定やデータを持ち込んで検証しても、ヤマトタケルをどうやっても守りきれないんです」
「草薙大佐、あなたは地球上の電源を切断するという作戦の発案者だから、対案であるぼくの案が気にはないのでしょう?」
エドは草薙をにらみつけて反駁した。彼女は何も言わず、今回特別に会議への同席を許可された副官のバットーにアイコンタクトをとった。促されるようにバットーが口を開いた。
「エドさん、冷静に、いやニュートラルな気持ちで聞いてくださいよ。われわれ警備部のモンは、当初あんたの作戦をとても独創的で、唯一無二のユニークなモンだと前向きにとらえていたんだ。オレたちは襲ってくるか、来ねぇかわからねぇ敵のために、いついかなる時も気を張りつめてねぇといけねぇ。それがこちらから打って出ようっていうんだ。正直、草薙大佐はどうかわかんねぇけど、すくなくともオレは前のめりだったんだよ」
「ならどうして?」
「今の報告聞いたろ。あまりにも結果がよくなかったんだ。二回に一回、いや三回に一回でも、うまくいって光明の一つでも見いだせてりゃな。でも0じゃあさすがにあんまりだよ……」
バットーはそう言って言葉尻をにごした。
エドは警備部の連中が、自分たちの実力不足を棚にあげて、こちらの案を追いやろうとしていると感じた。エドはそのことをバットーに指摘してやろうと、口を開きかけたが、アスカが立ちあがってそれを遮ってきた。
「エド。あたしもこの作戦は反対よ。だってタケルが丸腰で、危機が迫っているかもしれないとわかっている状況で、あたしたちデミリアン・パイロットがそれを気にせずに戦えると思ってる?。いくらあたしが優秀だとしてもそれは無理よ」
アスカはエドに一方的に意見を投げつけて座りかけたが、思いだしたようにレイの方を見てつけ加えた。
「ここにいるレイはもっと無理だけどね!」
そこで全員がおし黙まり気まずい空気が支配しはじめた。ミサトがそれに耐えきれなくなったのか、誰かれかまわずに訴えはじめた。
「で、けっきょくどうするのが正解なの?」
ミサトの視線が全員の頭上をひとしく流れていく。
だが、エドだけはあからさまに避けていた。結局、その視線は最終的には春日リンのうえに行き着いた。リンはそれをあらかじめ想定していたのだろう。
すぐさま自分の意見をのべはじめた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
全ての悩みを解決した先に
夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」
成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、
新しい形の自分探しストーリー。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる