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第三章 第二節 魔法少女大戦

第383話 魔法少女たちが交差点を抜けていく

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 魔法少女たちが交差点を抜けていく。
 文化村通り方面とセンター街方面のふたてに分かれて、魔法少女が北上していく。
 
 その数、約400体——。
 代々木方面に抜けられたその先がシミュレーション・エリアの終端だ。

 そこからは国際連邦軍日本史支部の本丸——。

 入り組んだ通路や各エリアの間の隔壁を駆使して戦わなければならない。大型の重火器は使用が制限され、なおかつ居住区域に直結する通路もある。

 ヤマト・タケルのいるパイロット・エリアまでは1km以上あるが、いくつもの経路を通ってこられたら、正直手に負えない。どこに戦力をわりふっても、かならずその間隙をついてこられるに違いない。

 草薙は以前、ヤマトをリョウマの化物から救い出すため、教会の祭壇にある隠し通路をエア・バイクで疾走したことを思い出した。
 あの経路をたどられたら、もっとも短時間でヤマトのところへ魔法少女たちは行き着く。
 そのまわりに配置した戦力は、シミュレーション・エリアに配置した陣容の3分の1ほどだ。いくら5分の1程度に減ったとはいえ、基地を破壊しかねないような強力な火器を使えないのでは、ヤマト・タケルの命は守りきれない。

 目の前のモニタ画面に、ヤマト・タケルの死亡の確率『99・9%』というデータが点滅した。このシミュレターには3桁目の表示がない。
 つまりは100%ということだ。

 だめだ——。

 草薙素子はVRシミュレーションを打ち切った。
 VRスキンを顔からはぎ取りながら、ふーっとおおきく長嘆息した。横のブースでおなじようにシミュレーションに参加していたバットーがVRスキンを取り外しながら言った。
「大佐。こりゃ、まったく手に負えねぇように思えるぜ」
「あぁ。そうだな。比較的楽観的なデータでのシミュレーションでこれだ。魔法少女に関しては、こちらで掴みきれていない不確定要素がまだいくつもあるというのに……」
「絶望的じゃねぇですかい。今回は400人にまで排除できやしたがね、これでも今まででもっとも成績がよかったんですから」
「あぁ、どうやってもヤマト・タケルを守り通せそうもない」
「エドのヤツ、いったいどうしてこんな無茶な作戦を発案してきたんで?」
「わからん。まったくらしくない、としか思えん」
「前回、亜獣の出現場所の特定を間違えたせいで、ずいぶん功を焦っているって聞きましたぜ」
「あぁ、無関係と言い切れんな。だが、らしくない……」


「エドはなぜ、これほどリスクのある計画を提案してきたのだ——?」
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