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第三章 第二節 魔法少女大戦

第371話 ぼくは亜獣対策の責任者ですよ

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「あ、いや、わたしはエドとは意見が違います」
 持論をとうとうと言い放つエドに焦ったのか、あわてて金田日が口を差し挟んできた。が、そんなことは取るに足らないこととばかりに、エドは持論の展開を強行した。
「この厄介な魔法少女を先に探し出して殲滅せんめつすれば、イオージャを簡単に叩けます。そのためは、地球規模で電源を切断することが有効なのです。
 草薙大佐は『魔法少女は殺した人を生体チップ信号を遮断する施設に押し込んでいる。だからその近くに魔法少女の巣窟そうくつもあるのではないか』と結論づけました。それは仮説の域をでませんが、検証してみる価値はあるとは思います」

 説得力のある理路整然としたエドの主張を、金田日はあっけにとられた表情で見ていた。ミサトも驚きを隠せずにいたが、その顔にはウルスラに「どうよ?」と言わんばかりに、右の口角をつりあげた、自慢げな笑みが浮かんでいた。
「では、その地球規模の電源切断で、亜獣、いや魔法少女に対して、先制攻撃が仕掛けられる、というわけなのか」
 ウルスラは自分がいつのまにか、エドの意見に前向きになっていることに気づいた。

「まぁ、消極的ではありますが、おそらく先制攻撃は可能かと……」
「どういうことだね。消極的とは?」
 ウルスラが突然ネガティブな方向に意見をひるがえしてきたエドのことばに噛みついた。
 ここまで力強く明言しておきながら、ふいに怖くなったのだろうか。突然はしごを外された気分で、ウルスラの腹のなかに怒りが渦巻きはじめた。

「いまのはあくまでも門外漢である草薙大佐の意見でしかありません。もちろん論理的で整合性もとれた、参考にするべき貴重な意見です」
「そうだよ、エド。だから我々もそれを考慮しようとしたのではないかね」
 金田日がエドを指さして、まるで糾弾でもするように声を荒げた。

「われわれ?。金田日先生。ぼくはこの計画がベストだとはまったく思っていませんよ」
「ど、どういうこと?」
 たまらずミサトが声をあげた。この翻意ともとれるエドの行動は、ミサトも把握していなかったようだった。先ほどのドヤ顔があっという間に色をうしなっている。
「会議の席じゃあ、ひとことも……」

「ミサトさん。ぼくは亜獣対策の責任者ですよ。警備責任者の草薙大佐が思いいたった仮説を考えなかったとでも?。いえ、もちろん馬鹿にしているわけではないです。素人にしてはすばらしいです。金田日先生をも魅了してしまうほど説得力があった……」
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