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第三章 第二節 魔法少女大戦
第360話 もしかしてあの殺人事件に関与してる?
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「分解された……?」
ヤマトは目をつぶって、すこしだけ黙考した。
「草薙大佐は、あの魔法少女が戦闘機を分解したように、人間もパーツごとに分解したと……」
「あくまでも可能性よ」
「困ったな。頭から否定することができない」
「魔法少女たちはなにかのために、あそこに死体をため込んでいた。だれにも知られないように『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』側からね」
「だけど、たまたま事故で、それが知られることとなった……。もしかしたら彼らにとってそのタイミングは、不本意だったのかもしれない」
「だけど、そうなるともう隠しようがないので、逆に打ってでたんじゃないのかしら」
「じゃあ、もし魔法少女に生身で出くわしたら、生きたままバラバラにされる可能性があるってことかい」
「報告書では、死後にバラバラにされたとなってる。だけどそれだけで、生きた人間をそうできない、とは結論づけられない。できれば、その可能性は御免願いたいわね。想像すらしたくない」
「でも、魔法少女がこれにかかわっていたとしたら、ぼくらは、いつかは対峙することになる」
「えぇ。デミリアンで迎え撃つのか、それとも等身大の人間でなんとかすべきなのか、それはわからないけどね」
「緊急会議を開いてもらって、議論するのがよさそうですね」
「じゃあ、わたしのほうからカツライ司令に、緊急動議を提案しておくわ」
そう言いながら草薙は片手で握りつぶすジェスチャーをした。中空に展開されていた死体の映像データがふっと消えた。草薙は『スペクトル遮幕』を解除しようとして、ふと手をとめてからヤマトに尋ねた。
「ところで、タケルくん。あなた、あの刑事がふたりとも事故死した一件に絡んでる?」
「なぜ、そんなことを訊くんです?」
「片方の刑事が正気をうしなっているっていうのを報告書で知ったから……」
「ふーん。なぜ、それだけでぼくが結びつくんです?」
「『四解文書』に関係あるんじゃないかと思ってね。特に四節目に」
「それは草薙大佐の考えすぎじゃないかな」
「そうかしら。亜獣である魔法少女が関与している事件がおきて、そしてそのうちのひとりは一瞬で正気をうしなわせるようなものを見た。そして実際にひとりはそうなったし、もしかしたらもう片方の刑事はなにかを思い出すかもしれない……。そう考察すれば、それは合理的疑いってことにならない?」
「で、もしあの事故にぼくが関与していたとしたらどうするつもり?」
「いえ。なにも。ただそれなら、わたしに任せて欲しかったな、と思っただけ……」
草薙はにっこりとした笑みを、たっぷり口元に湛えてみせてからヤマトに言った。
「わたしならもうすこし手際よくやれただろうから……」
ヤマトは目をつぶって、すこしだけ黙考した。
「草薙大佐は、あの魔法少女が戦闘機を分解したように、人間もパーツごとに分解したと……」
「あくまでも可能性よ」
「困ったな。頭から否定することができない」
「魔法少女たちはなにかのために、あそこに死体をため込んでいた。だれにも知られないように『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』側からね」
「だけど、たまたま事故で、それが知られることとなった……。もしかしたら彼らにとってそのタイミングは、不本意だったのかもしれない」
「だけど、そうなるともう隠しようがないので、逆に打ってでたんじゃないのかしら」
「じゃあ、もし魔法少女に生身で出くわしたら、生きたままバラバラにされる可能性があるってことかい」
「報告書では、死後にバラバラにされたとなってる。だけどそれだけで、生きた人間をそうできない、とは結論づけられない。できれば、その可能性は御免願いたいわね。想像すらしたくない」
「でも、魔法少女がこれにかかわっていたとしたら、ぼくらは、いつかは対峙することになる」
「えぇ。デミリアンで迎え撃つのか、それとも等身大の人間でなんとかすべきなのか、それはわからないけどね」
「緊急会議を開いてもらって、議論するのがよさそうですね」
「じゃあ、わたしのほうからカツライ司令に、緊急動議を提案しておくわ」
そう言いながら草薙は片手で握りつぶすジェスチャーをした。中空に展開されていた死体の映像データがふっと消えた。草薙は『スペクトル遮幕』を解除しようとして、ふと手をとめてからヤマトに尋ねた。
「ところで、タケルくん。あなた、あの刑事がふたりとも事故死した一件に絡んでる?」
「なぜ、そんなことを訊くんです?」
「片方の刑事が正気をうしなっているっていうのを報告書で知ったから……」
「ふーん。なぜ、それだけでぼくが結びつくんです?」
「『四解文書』に関係あるんじゃないかと思ってね。特に四節目に」
「それは草薙大佐の考えすぎじゃないかな」
「そうかしら。亜獣である魔法少女が関与している事件がおきて、そしてそのうちのひとりは一瞬で正気をうしなわせるようなものを見た。そして実際にひとりはそうなったし、もしかしたらもう片方の刑事はなにかを思い出すかもしれない……。そう考察すれば、それは合理的疑いってことにならない?」
「で、もしあの事故にぼくが関与していたとしたらどうするつもり?」
「いえ。なにも。ただそれなら、わたしに任せて欲しかったな、と思っただけ……」
草薙はにっこりとした笑みを、たっぷり口元に湛えてみせてからヤマトに言った。
「わたしならもうすこし手際よくやれただろうから……」
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