上 下
340 / 1,035
第三章 第二節 魔法少女大戦

第339話 亜獣の能力の優劣はわからない。でも凄い

しおりを挟む
「で、そのもう一体はどんなヤツだと思う?」

 ミサトはリンが専権事項なるものを聞き出すのは難しいと判断した。ならばそこから導きだされる『見解』だけでもものにする方向へシフトすることにした。

「わからないのよ。これは本当。でもあれだけの数の魔法少女に遠隔で『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の力を分け与えることができるのだから、半端ない能力をもった亜獣なのは確か」
「それってすごいの?。だってデミリアンも使うでしょ」
「亜獣の能力の優劣はわからない。でもデミリアン担当者からすると、そう、スゴイなんてものじゃないってとこね」

「そんなに!」
「ええ。だから、強力な雷を発生させる能力をもつイオージャが、もうひとつそんな強力な能力を持っていて同時に使えるなんて、ちょっと考えづらいのは確か」
「そうよね。過去の亜獣で複数の能力をもっていると確認された亜獣は、たしか……、22体。全体の4分の1ってとこよね」
「さすがね、ミサト。しっかりと勉強済ね。ただ、複数の能力といっても、そのほとんどは体の特徴によるものなの。尻尾が長いとか、噛みつく力が強いとかね。あんな強力で特徴的な力を併せもっているっていうのはイレギュラーすぎる」
「つまり、それで、あなたの持っている秘密の情報をつきあわせたら、もう一体いる可能性に合理的説明がつくと判断したわけね」
 ミサトは先ほどさらりとうけ流したはずのことを、蒸し返して皮肉っぽく言った。自分でもすこししつこいとは思うが、専権事項なるものを素直に受け入れるほど、ぬるい役職にいるわけではない。
「えぇ、まぁ……。そういうことになるかしら」
「じゃあ、最初に戻るけど。あなたはその亜獣がどんなヤツだとおもってるの?。想像や当てずっぽうで構わない」
「またそんな無茶を。ただ今のところ、ひとを魔法少女にして、羽根で空を飛ばせ、『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールを操れるようにして、人や物をバラバラにする能力がある……」
 さらりと説明したリンのことばに、ミサトはとんでもない事実が紛れ込んでいるのに気づいて、ことばを遮った。
「ちょ、ちょっとぉ。なに言っているの?」
「なにを?。魔法少女の説明……」
「あなた今、ひとや物をバラバラにするって言ったわ」

 リンの目がカッと見開かれた。ふだんポーカーフェイスを決め込んでいる彼女からは、想像だにつかないほど、ゾクッとするほど表情を変えたのがわかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

全ての悩みを解決した先に

夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」 成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、 新しい形の自分探しストーリー。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...