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第三章 第一節 魔法少女
第296話 囮になるのはわたし
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「レイさん。薙刀引き抜けますか?」
十回連続ほどムチをふるってからクララが訊いてきた。
レイはぐっと柄をひっぱってみた。今度は簡単にひき戻すことができた。薙刀の柄部にはすでに数体しか魔法少女は取りついていなかった。その数体もしがみついているというより、飛び散った血糊で柄部に貼り付いている状態だった。そのなかにすでに原型をとどめている者はいない。
レイはそのの柄部をもう一方の手の指でしごいた。こびりついた魔法少女の頭や腕などの部位が飛び散り、組織片などの残り糟がはらはらと地面に舞い落ちていった。
「クララ、あなたの剣で、イオージャ本体を狙える?」
「もちろん。囮になって、イオージャをおびき寄せればよろしいですか?」
「いえ、囮になるのはわたし。クララ、あなたがやって!」
「わたしが?」
「初陣であなたを囮なんかにさせられない。タケルやリンに叱られる」
「では、どうすれば……」
「クララ、わたしがイオージャの胴を狙うふりをして、残りの魔法少女をそこへ集める。あなたは背後からとびだして、あいつの無防備の首をかっ捌いて」
「了解です。なんとなくイメージは掴めましたわ」
「じゃあ、うしろに続いて!」
そう言うなり、レイは薙刀を横に寝かして、イオージャに突っかかっていった。胴体部分を狙う気満々の仕草をする。
イオージャのからだの周りにまとわりついていた魔法少女たちが、わらわらと正面に展開しはじめ、手をひろげてイオージャの正面に空中で立ちはだかった。
胴体周りを二重に取り囲んで帯状に広がっている。
まさに狙い通りだった。
レイは薙刀を思い切り横に振り抜こうとした。
その瞬間本部の誰かが叫んだ——。
「レイ。上!」
ナギナタを遠心力にまかせてぶん回した体勢のまま、上のカメラに目を這わせる。
中空にあらたな空間の裂け目があった。
そこからあっという間に、数百人もの新たな魔法少女たちが飛び出してきた。
なに——?。
振り抜いた薙刀の刃が、イオージャの胴体部分を覆っていた魔法少女たちを撫で斬る。十人以上の少女のからだが切断され、おびただしい血飛沫とともに吹き飛ぶ。
が、その瞬間、イオージャの背後の空間に閃光がまたたいた。
しまった——、と思った時には間に合わなかった。セラ・サターンのからだは前のめりに突っ込んでいて、その動きをとめることができなかった。
あたらしく現れた魔法少女全員がステッキを前に突き出していた。
「まじかるぅぅぅぅぅ……」
セラ・サターンは魔法少女がかざすステッキからはなたれた電撃の真正面にいた。
十回連続ほどムチをふるってからクララが訊いてきた。
レイはぐっと柄をひっぱってみた。今度は簡単にひき戻すことができた。薙刀の柄部にはすでに数体しか魔法少女は取りついていなかった。その数体もしがみついているというより、飛び散った血糊で柄部に貼り付いている状態だった。そのなかにすでに原型をとどめている者はいない。
レイはそのの柄部をもう一方の手の指でしごいた。こびりついた魔法少女の頭や腕などの部位が飛び散り、組織片などの残り糟がはらはらと地面に舞い落ちていった。
「クララ、あなたの剣で、イオージャ本体を狙える?」
「もちろん。囮になって、イオージャをおびき寄せればよろしいですか?」
「いえ、囮になるのはわたし。クララ、あなたがやって!」
「わたしが?」
「初陣であなたを囮なんかにさせられない。タケルやリンに叱られる」
「では、どうすれば……」
「クララ、わたしがイオージャの胴を狙うふりをして、残りの魔法少女をそこへ集める。あなたは背後からとびだして、あいつの無防備の首をかっ捌いて」
「了解です。なんとなくイメージは掴めましたわ」
「じゃあ、うしろに続いて!」
そう言うなり、レイは薙刀を横に寝かして、イオージャに突っかかっていった。胴体部分を狙う気満々の仕草をする。
イオージャのからだの周りにまとわりついていた魔法少女たちが、わらわらと正面に展開しはじめ、手をひろげてイオージャの正面に空中で立ちはだかった。
胴体周りを二重に取り囲んで帯状に広がっている。
まさに狙い通りだった。
レイは薙刀を思い切り横に振り抜こうとした。
その瞬間本部の誰かが叫んだ——。
「レイ。上!」
ナギナタを遠心力にまかせてぶん回した体勢のまま、上のカメラに目を這わせる。
中空にあらたな空間の裂け目があった。
そこからあっという間に、数百人もの新たな魔法少女たちが飛び出してきた。
なに——?。
振り抜いた薙刀の刃が、イオージャの胴体部分を覆っていた魔法少女たちを撫で斬る。十人以上の少女のからだが切断され、おびただしい血飛沫とともに吹き飛ぶ。
が、その瞬間、イオージャの背後の空間に閃光がまたたいた。
しまった——、と思った時には間に合わなかった。セラ・サターンのからだは前のめりに突っ込んでいて、その動きをとめることができなかった。
あたらしく現れた魔法少女全員がステッキを前に突き出していた。
「まじかるぅぅぅぅぅ……」
セラ・サターンは魔法少女がかざすステッキからはなたれた電撃の真正面にいた。
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