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第二章 第二節 電幽霊(サイバー・ゴースト)戦
第230話 UNITED FEDERATION FORCES
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上空の海の大騒動がおきていることはわかっていたが、レイはそれにはまったく目をむけることなく粛々とゴーレムを倒すことに専念していた。クララの援護が途絶えてはいたが、すでに敵の襲撃のピークはすぎていた。
ひとりでもなんとかなる——。
レイが目の前に飛び出してきたホワトスを、大剣の一撃ではね飛ばした。ポイントはすでに10万ポイントを超えていた。レイは次に襲いかかってくるホワトスを探した。だが、ホワトスの姿は見えなかった。そして襲いかかってくるものもいなかった。レイは前に進み出そうとして、思わず、アッと声をあげた。
そのさきにもう平原はなかった。遥か彼方にみえていたはずの突端まで到達したのだ。
どうすれば……。
レイはとまどった。その先を聞いていなかった。レイはヤマトに指示を仰ごうとして、すぐさま上を見あげた。ヤマトはすこし後方の上空で海からのモンスターの攻撃をしのいでいるところだった。そこではじめて上空でなにが起きているかがわかった。
あれはなにと戦っているの?。
レイは海面から飛び出してくるなにかと戦っているヤマトが気になった。
しかもさらにその近くの海から、龍のような怪物の頭が、地面にむけて突き出していた。おどろいたことに、頭の先が地面につくのではないかと思えるほどの大きさだった。
レイはふと自分の足元の崖っぷちの下から吹きあげてくる風に心奪われた。猛獣かなにかを思わせる強烈な臭気が鼻をつく。
もしかしてこの崖のしたにも、あのうえにいる龍のような怪物が潜んでいるのだろうか。
レイは崖の縁に足をかけて下を覗きこんだ。だが、眼下にはただ果てしない深淵がひろがっているだけだった。谷底のほうには霞のようなものがかかって、どうなっているかわからなかったが、レイには底なしと感じられた。
だが下を覗いていたレイは自分の立っている場所が実は、崖ではないということに気づいた。
この大地は薄っぺらな島だった。
もしこの場所を海側からみれば、空に島が浮かぶ不思議な世界に見えるのだろう。つまり今自分が見下ろしている谷底も、海側からはどこまでも突き抜ける空なのだ。『底なしの谷』というのと同時に、ここは『青天井』でもある。
その時、眼下の空間に何かがゆっくりと動いているのが目にはいった。こちらから見た、谷の奥底に大きな物体が横に移動していた。
あれはなに?
レイはその動いているなにかにたちまち心を奪われた。レイはコントロール・パネルを中空に呼びだすと、パネルを操作して双眼鏡を出現させた。
レイは双眼鏡を目にあてがって、アビスをのぞき込んだ。動体を自動追尾しはじめるとすぐに目の前にそれがおおきく映し出された。
それは船だった。
一隻の船が船底をこちらにむけて飛んでいた。
正確なおおきさは不明だったが、あきらかに武装している船だとわかった。船底の脇から砲門の先が見え隠れする。
そのおおきさは、巡洋艦?。いや偵察艇だろうか?。
こちらに船底が見えているということは、あの船はあきらかに海側の世界を飛行してきているということだ。
「どういうこと?」
船の腹に文字が書かれていた。
UNITED FEDERATION FORCES——。
国際連邦軍の戦艦だった。
ひとりでもなんとかなる——。
レイが目の前に飛び出してきたホワトスを、大剣の一撃ではね飛ばした。ポイントはすでに10万ポイントを超えていた。レイは次に襲いかかってくるホワトスを探した。だが、ホワトスの姿は見えなかった。そして襲いかかってくるものもいなかった。レイは前に進み出そうとして、思わず、アッと声をあげた。
そのさきにもう平原はなかった。遥か彼方にみえていたはずの突端まで到達したのだ。
どうすれば……。
レイはとまどった。その先を聞いていなかった。レイはヤマトに指示を仰ごうとして、すぐさま上を見あげた。ヤマトはすこし後方の上空で海からのモンスターの攻撃をしのいでいるところだった。そこではじめて上空でなにが起きているかがわかった。
あれはなにと戦っているの?。
レイは海面から飛び出してくるなにかと戦っているヤマトが気になった。
しかもさらにその近くの海から、龍のような怪物の頭が、地面にむけて突き出していた。おどろいたことに、頭の先が地面につくのではないかと思えるほどの大きさだった。
レイはふと自分の足元の崖っぷちの下から吹きあげてくる風に心奪われた。猛獣かなにかを思わせる強烈な臭気が鼻をつく。
もしかしてこの崖のしたにも、あのうえにいる龍のような怪物が潜んでいるのだろうか。
レイは崖の縁に足をかけて下を覗きこんだ。だが、眼下にはただ果てしない深淵がひろがっているだけだった。谷底のほうには霞のようなものがかかって、どうなっているかわからなかったが、レイには底なしと感じられた。
だが下を覗いていたレイは自分の立っている場所が実は、崖ではないということに気づいた。
この大地は薄っぺらな島だった。
もしこの場所を海側からみれば、空に島が浮かぶ不思議な世界に見えるのだろう。つまり今自分が見下ろしている谷底も、海側からはどこまでも突き抜ける空なのだ。『底なしの谷』というのと同時に、ここは『青天井』でもある。
その時、眼下の空間に何かがゆっくりと動いているのが目にはいった。こちらから見た、谷の奥底に大きな物体が横に移動していた。
あれはなに?
レイはその動いているなにかにたちまち心を奪われた。レイはコントロール・パネルを中空に呼びだすと、パネルを操作して双眼鏡を出現させた。
レイは双眼鏡を目にあてがって、アビスをのぞき込んだ。動体を自動追尾しはじめるとすぐに目の前にそれがおおきく映し出された。
それは船だった。
一隻の船が船底をこちらにむけて飛んでいた。
正確なおおきさは不明だったが、あきらかに武装している船だとわかった。船底の脇から砲門の先が見え隠れする。
そのおおきさは、巡洋艦?。いや偵察艇だろうか?。
こちらに船底が見えているということは、あの船はあきらかに海側の世界を飛行してきているということだ。
「どういうこと?」
船の腹に文字が書かれていた。
UNITED FEDERATION FORCES——。
国際連邦軍の戦艦だった。
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