5 / 42
コジェジャウジン/前編
第36話「弱者たちの道」
しおりを挟む
グワノ兄弟「何!?」
ナウエルは前方に見えた崖から跳躍し、グワノ兄弟を鼻先で追い越し、中洲に着地した。
その後、グワノ兄弟、フェニストン、そしてレポマンデというモルチェ族の青年、
そしてマイロンゴ、ラウタロが続いて中州に着地した。
ラウタロが到着した頃、ナウエルの周りは人だかりが出来ていた。
ナウエルを囲む者達はすでに戦士となる事を諦め、使役される者として生きていく事を決めた者達である。
彼らは今からナウエルに擦り寄り贔屓にしてもらおうと勤しんでいる。
ラウタロ「ナウエル、ツルクピチュンが危ないかもしれない。」
ナウエルは目を細めると、ラウタロに言った。
「いや、平気みたいだよ!」
ツルクピチュンがリチュエンを担ぎながらやってきた。
ラウタロ「無事だったみたいだな。」
ツルクピチュン「うん。
彼はリチュエン。崖崩れにあって怪我をしてしまったんだ。」
ラウタロ「これは重症だな。
この後の競技は絞って参加した方がいいだろう。」
リチュエン「・・俺は全ての競技に参加する。」
ラウタロ「せめて足を使う競技は棄権し、可能性ある競技だけに参加した方がいいんじゃないか?」
「相変わらず軟弱者の考えだな。」
小馬鹿にした様にエプレフが会話に割って入ってきた。
エプレフ「リチュエンとやらの戦士の意気、素晴らしいではないか。」
ツルクピチュン「こんな手負いで無理やり参加した所で、自殺行為だ。」
エプレフ「ふん。
俺はルンクトゥンを外から見ていたから分かる。
こやつの動きではどんは競技をやった所でまるで見込みはない。」
ラウタロ「そうとは限らないだろう。」
エプレフ「まあ、貴様みたいに汚いやり方をすれば別かもしれないがな。
普通は能力のない奴は、気合いで示すもんなんだよ。」
ナウエル「なるほどね。全てに参加するのも作戦の一つだね。」
エプレフは少し口元が緩んだ。
ナウエル「ただ、どちらの選択も素晴らしいとは思うよ。」
エプレフ「・・。
ラウタロ、次はロンコトゥンだ。力の差を見せつけやるから、覚悟しておけよ。
そしてナウエル、あんたにも負けねぇ。」
パルタが叫んだ。
「次はロンコトゥンを応用した競技を行ってもらう。
1対1で対峙し、額が地面についた方が負けだ。
また掴めるのは相手の髪だけだ。」
パルタ「第一試合、コルピジャンとリチュエン前へ!」
マイロンゴ「おっ、あいつは化け物リチュエンじゃないか!」
リチュエン「!」
ナウエルは前方に見えた崖から跳躍し、グワノ兄弟を鼻先で追い越し、中洲に着地した。
その後、グワノ兄弟、フェニストン、そしてレポマンデというモルチェ族の青年、
そしてマイロンゴ、ラウタロが続いて中州に着地した。
ラウタロが到着した頃、ナウエルの周りは人だかりが出来ていた。
ナウエルを囲む者達はすでに戦士となる事を諦め、使役される者として生きていく事を決めた者達である。
彼らは今からナウエルに擦り寄り贔屓にしてもらおうと勤しんでいる。
ラウタロ「ナウエル、ツルクピチュンが危ないかもしれない。」
ナウエルは目を細めると、ラウタロに言った。
「いや、平気みたいだよ!」
ツルクピチュンがリチュエンを担ぎながらやってきた。
ラウタロ「無事だったみたいだな。」
ツルクピチュン「うん。
彼はリチュエン。崖崩れにあって怪我をしてしまったんだ。」
ラウタロ「これは重症だな。
この後の競技は絞って参加した方がいいだろう。」
リチュエン「・・俺は全ての競技に参加する。」
ラウタロ「せめて足を使う競技は棄権し、可能性ある競技だけに参加した方がいいんじゃないか?」
「相変わらず軟弱者の考えだな。」
小馬鹿にした様にエプレフが会話に割って入ってきた。
エプレフ「リチュエンとやらの戦士の意気、素晴らしいではないか。」
ツルクピチュン「こんな手負いで無理やり参加した所で、自殺行為だ。」
エプレフ「ふん。
俺はルンクトゥンを外から見ていたから分かる。
こやつの動きではどんは競技をやった所でまるで見込みはない。」
ラウタロ「そうとは限らないだろう。」
エプレフ「まあ、貴様みたいに汚いやり方をすれば別かもしれないがな。
普通は能力のない奴は、気合いで示すもんなんだよ。」
ナウエル「なるほどね。全てに参加するのも作戦の一つだね。」
エプレフは少し口元が緩んだ。
ナウエル「ただ、どちらの選択も素晴らしいとは思うよ。」
エプレフ「・・。
ラウタロ、次はロンコトゥンだ。力の差を見せつけやるから、覚悟しておけよ。
そしてナウエル、あんたにも負けねぇ。」
パルタが叫んだ。
「次はロンコトゥンを応用した競技を行ってもらう。
1対1で対峙し、額が地面についた方が負けだ。
また掴めるのは相手の髪だけだ。」
パルタ「第一試合、コルピジャンとリチュエン前へ!」
マイロンゴ「おっ、あいつは化け物リチュエンじゃないか!」
リチュエン「!」
20
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
大和型戦艦4番艦 帝国から棄てられた船~古(いにしえ)の愛へ~
花田 一劫
歴史・時代
東北大地震が発生した1週間後、小笠原清秀と言う青年と長岡与一郎と言う老人が道路巡回車で仕事のために東北自動車道を走っていた。
この1週間、長岡は震災による津波で行方不明となっている妻(玉)のことを捜していた。この日も疲労困憊の中、老人の身体に異変が生じてきた。徐々に動かなくなる神経機能の中で、老人はあることを思い出していた。
長岡が青年だった頃に出会った九鬼大佐と大和型戦艦4番艦桔梗丸のことを。
~1941年~大和型戦艦4番艦111号(仮称:紀伊)は呉海軍工廠のドックで船を組み立てている作業の途中に、軍本部より工事中止及び船の廃棄の命令がなされたが、青木、長瀬と言う青年将校と岩瀬少佐の働きにより、大和型戦艦4番艦は廃棄を免れ、戦艦ではなく輸送船として生まれる(竣工する)ことになった。
船の名前は桔梗丸(船頭の名前は九鬼大佐)と決まった。
輸送船でありながらその当時最新鋭の武器を持ち、癖があるが最高の技量を持った船員達が集まり桔梗丸は戦地を切り抜け輸送業務をこなしてきた。
その桔梗丸が修理のため横須賀軍港に入港し、その時、長岡与一郎と言う新人が桔梗丸の船員に入ったが、九鬼船頭は遠い遥か遠い昔に長岡に会ったような気がしてならなかった。もしかして前世で会ったのか…。
それから桔梗丸は、兄弟艦の武蔵、信濃、大和の哀しくも壮絶な最後を看取るようになってしまった。
~1945年8月~日本国の降伏後にも関わらずソビエト連邦が非道極まりなく、満洲、朝鮮、北海道へ攻め込んできた。桔梗丸は北海道へ向かい疎開船に乗っている民間人達を助けに行ったが、小笠原丸及び第二号新興丸は既にソ連の潜水艦の攻撃の餌食になり撃沈され、泰東丸も沈没しつつあった。桔梗丸はソ連の潜水艦2隻に対し最新鋭の怒りの主砲を発砲し、見事に撃沈した。
この行為が米国及びソ連国から(ソ連国は日本の民間船3隻を沈没させ民間人1.708名を殺戮した行為は棚に上げて)日本国が非難され国際問題となろうとしていた。桔梗丸は日本国から投降するように強硬な厳命があったが拒否した。しかし、桔梗丸は日本国には弓を引けず無抵抗のまま(一部、ソ連機への反撃あり)、日本国の戦闘機の爆撃を受け、最後は無念の自爆を遂げることになった。
桔梗丸の船員のうち、意識のないまま小島(宮城県江島)に一人生き残された長岡は、「何故、私一人だけが。」と思い悩み、残された理由について、探しの旅に出る。その理由は何なのか…。前世で何があったのか。与一郎と玉の古の愛の行方は…。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
戦国の華と徒花
三田村優希(または南雲天音)
歴史・時代
武田信玄の命令によって、織田信長の妹であるお市の侍女として潜入した忍びの於小夜(おさよ)。
付き従う内にお市に心酔し、武田家を裏切る形となってしまう。
そんな彼女は人並みに恋をし、同じ武田の忍びである小十郎と夫婦になる。
二人を裏切り者と見做し、刺客が送られてくる。小十郎も柴田勝家の足軽頭となっており、刺客に怯えつつも何とか女児を出産し於奈津(おなつ)と命名する。
しかし頭領であり於小夜の叔父でもある新井庄助の命令で、於奈津は母親から引き離され忍びとしての英才教育を受けるために真田家へと送られてしまう。
悲嘆に暮れる於小夜だが、お市と共に悲運へと呑まれていく。
※拙作「異郷の残菊」と繋がりがありますが、単独で読んでも問題がございません
【他サイト掲載:NOVEL DAYS】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる