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冬物語
葵葉と朔夜の買い物デート?②
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試着室の中、着替えを終えたばかりの自身の姿を鏡で見ながら、私は大きくため息を吐いた。
予想通りと言うべきか、やはり似合わってはいない。
いや、壊滅的に似合わない。
この一年間、髪を伸ばしていたとは言え、まだまだ肩につくかつかないかのショートに近い髪型では、まるで男の子がスカートをはいているように見えてしまう。
この姿を本当に人前に晒して良いものか、自分の中だけで留めておくべきなのではないかと、そんな葛藤からなかなか試着室のカーテンを開けられずにいると、カーテンの外から痺れをきらした神崎君の声が聞こえてきた。
「お~い葵葉~、まだか~??」
「……あっと……えっと……一応着てはみたんだけど……」
仕方なく恐る恐る返事をすると
「なんだよ。ならとっとと出てこいよな」
何の断りもなく、突如試着室のカーテンが開け放たれて神崎君の顔が目の前に現れた。
「えぇ? ちょっ、何急に開けて……」
驚きのあまり私は思わず大きな声を出してしまった。
「何だよ大きな声だして」
「だって急に開けるから。まだ着替えてたらどうするつもりだったの?」
「は? だってさっき終わったっつったじゃん」
「確かにそう言ったけど、そう言う問題じゃなくて!」
人目も気にせずわぁわぁ言い争う私達に、神崎君の隣に立っていた店員さんが、クスクスと声を溢して笑い始めた。
「ふふふ、お二人はとても仲が宜しいんですね」
「「よくないです!!」」
店員さんからの言葉に、私達は全く同時に全く同じ言葉で力強く否定する。
奇しくもハモった形となってしまった私達の返答に店員さんは更に声を大きくして笑っていた。
「ところで、着心地やサイズはいかがですか?」
やっと笑いがおさまった後店員さんは、目尻に溜まった涙を拭いながら私に試着の感想を尋ねた。
店員さんからの質問に、やっと私は今自分がしている格好を思い出して、人様に見られてしまった事実に顔を赤く染めた。
「あ、あの、サイズは丁度良いんですけど、でもやっぱり私には似合わなくて……」
「そんな事ないですよ。とてもよくお似合いです」
「で、でも私、髪が短いから、こういう女の子っポイ服は昔から似合わなくって……」
「そうですか? 私はとってもよくお似合いだと思いますけど。ねぇ、彼氏さんもそう思いません?」
「はぁ?!」
店員さんが口にした聞き慣れない単語に、酷く驚いた様子を見せた神崎君。
その後で神崎君は物凄い形相で店員さんを睨みつけた。
「え? 私、何かまずい事言いました?」
わけもわからず突然に神崎君に睨み付けられた店員さんは、戸惑った様子で私にこそこそと彼の機嫌の変化の理由を訪ねた。
「あ~多分、彼氏って言われた事に驚いてるんだと思います。私達別にそんな関係ではないので」
「そうなんですか? とても仲が良かったので、私てっきりそう言う関係なのだとばかり。早とちりをして申し訳ございませんでした」
「いえいえ、謝る必要ありませんよ。と言うかこちらこそ態度悪くてすみません。でもあまり気にしないで下さい。彼のあの顔は別に怒っているわけではなく、ただ照れている時の顔なので」
明らかにこちら側が悪いのに、謝られている事が申し訳なく思えて私は、そろそろ話題を元に戻す事にした。
「それよりやっぱり私には、この服は似合わないので諦めようと思います。試着までさせてもらったのにすみま――」
「べ、別に……似合ってなくも……ない……ぞ」
私が購入を断ろうとした時、私の言葉を遮って突然神崎君が口を開いた。
神崎君の顔は真っ赤に染まり、視線は明後日の方角へと漂わせている。
私と店員さんは思わず顔を見合わせ驚いた。
その後で、クスクスと笑いをこぼしながら、何かを納得したように店員さんが言った。
「なるほど照れて、ふふふ」
神崎君のあからさまな照れ隠しに、先程の言葉は彼なりの精一杯の賛辞なのだと分かって、何故だか今度は私までもが恥ずかしさを覚えた。
予想通りと言うべきか、やはり似合わってはいない。
いや、壊滅的に似合わない。
この一年間、髪を伸ばしていたとは言え、まだまだ肩につくかつかないかのショートに近い髪型では、まるで男の子がスカートをはいているように見えてしまう。
この姿を本当に人前に晒して良いものか、自分の中だけで留めておくべきなのではないかと、そんな葛藤からなかなか試着室のカーテンを開けられずにいると、カーテンの外から痺れをきらした神崎君の声が聞こえてきた。
「お~い葵葉~、まだか~??」
「……あっと……えっと……一応着てはみたんだけど……」
仕方なく恐る恐る返事をすると
「なんだよ。ならとっとと出てこいよな」
何の断りもなく、突如試着室のカーテンが開け放たれて神崎君の顔が目の前に現れた。
「えぇ? ちょっ、何急に開けて……」
驚きのあまり私は思わず大きな声を出してしまった。
「何だよ大きな声だして」
「だって急に開けるから。まだ着替えてたらどうするつもりだったの?」
「は? だってさっき終わったっつったじゃん」
「確かにそう言ったけど、そう言う問題じゃなくて!」
人目も気にせずわぁわぁ言い争う私達に、神崎君の隣に立っていた店員さんが、クスクスと声を溢して笑い始めた。
「ふふふ、お二人はとても仲が宜しいんですね」
「「よくないです!!」」
店員さんからの言葉に、私達は全く同時に全く同じ言葉で力強く否定する。
奇しくもハモった形となってしまった私達の返答に店員さんは更に声を大きくして笑っていた。
「ところで、着心地やサイズはいかがですか?」
やっと笑いがおさまった後店員さんは、目尻に溜まった涙を拭いながら私に試着の感想を尋ねた。
店員さんからの質問に、やっと私は今自分がしている格好を思い出して、人様に見られてしまった事実に顔を赤く染めた。
「あ、あの、サイズは丁度良いんですけど、でもやっぱり私には似合わなくて……」
「そんな事ないですよ。とてもよくお似合いです」
「で、でも私、髪が短いから、こういう女の子っポイ服は昔から似合わなくって……」
「そうですか? 私はとってもよくお似合いだと思いますけど。ねぇ、彼氏さんもそう思いません?」
「はぁ?!」
店員さんが口にした聞き慣れない単語に、酷く驚いた様子を見せた神崎君。
その後で神崎君は物凄い形相で店員さんを睨みつけた。
「え? 私、何かまずい事言いました?」
わけもわからず突然に神崎君に睨み付けられた店員さんは、戸惑った様子で私にこそこそと彼の機嫌の変化の理由を訪ねた。
「あ~多分、彼氏って言われた事に驚いてるんだと思います。私達別にそんな関係ではないので」
「そうなんですか? とても仲が良かったので、私てっきりそう言う関係なのだとばかり。早とちりをして申し訳ございませんでした」
「いえいえ、謝る必要ありませんよ。と言うかこちらこそ態度悪くてすみません。でもあまり気にしないで下さい。彼のあの顔は別に怒っているわけではなく、ただ照れている時の顔なので」
明らかにこちら側が悪いのに、謝られている事が申し訳なく思えて私は、そろそろ話題を元に戻す事にした。
「それよりやっぱり私には、この服は似合わないので諦めようと思います。試着までさせてもらったのにすみま――」
「べ、別に……似合ってなくも……ない……ぞ」
私が購入を断ろうとした時、私の言葉を遮って突然神崎君が口を開いた。
神崎君の顔は真っ赤に染まり、視線は明後日の方角へと漂わせている。
私と店員さんは思わず顔を見合わせ驚いた。
その後で、クスクスと笑いをこぼしながら、何かを納得したように店員さんが言った。
「なるほど照れて、ふふふ」
神崎君のあからさまな照れ隠しに、先程の言葉は彼なりの精一杯の賛辞なのだと分かって、何故だか今度は私までもが恥ずかしさを覚えた。
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