69 / 176
秋物語
もしも、願いが叶うなら
しおりを挟む
「もしかして、照れてる?」
神耶君の反応に、私は思わず笑いながら訊くと、神耶君は余計に顔を赤くしながら怒鳴り出した。
「なっ、何笑ってんだよ!」
「だって、照れてる神耶君が可愛くて」
「はぁ? 何言ってんだお前。別に、照れてねぇし!」
その素直じゃない反応が余計可愛く思えて、私はついに声を上げて笑った。
「わ、笑うな~~~!!」
あ~やっぱり、神耶君と過ごすこの何気ない時間が、私は大好きだ。
「ね、神耶君」
「な、何だよ」
「覚えてる? 夏祭りの時のデートの約束」
「あぁ? まぁ、そりゃ覚えてるけど、それが? 急になんだよ!」
「なら話は早い。あのね、再来週、八幡神社で秋のお祭りがあるんでしょ? 夏祭りのデートの約束は守れなかったからさ、今度は秋祭りでデートしようよ」
「は?」
ずっとこの時間が続いていけば良いのにと、そう願わずにはいられない。
「神耶君と一緒だと楽しいから。神耶君との楽しい時間をもっともっと共有したいの。ね、ダメ?」
「……」
「はい! 指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます! 指きった!」
「あっ、てめっ!!またその変な呪文を」
「約束だよ! 今度こそ、お祭りデートしようね!」
「だから、いっつもいっつも、一方的且つ強引に約束取り付けようとすんな! 俺に変な呪文をかけるな! しね~ぞ俺は! 祭りデートなんて、絶っっっ対にしね~からな!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る神耶君の姿が可愛くて、また私は声を上げて笑った。
「だから、笑うな~~!!」
本当に、こんな時間がずっと続けば良いのに。
この先もずっと、ずっと――
「あ、もうこんな時間」
ふと腕にはめた時計に目をやれば、時計の針は12時を指していた。
時間が経つ速さに私は驚き声を上げる。
「どうした?」
「今日は午後から病院に行かないといけないんだった。ここに来る事を許してもらう変わりに、ちゃんと病院に行く事ってお母さんと約束したのをすっかり忘れてたよ」
「ふ~ん」
「ふ~んて、酷いな~。聞いておいて他人事みたいなその返事」
「だって他人事だし」
「私と遊べなくて寂しいとか、言ってくれても良いのに」
「寂しい? 馬鹿言うな。師匠もいなくなって、お前もいなくなってくれれば、俺は久しぶりにゆっくりと一人の時間を満喫出来るじゃないか。寂しいどころか嬉し」
「……」
「なっ、何だよ、その目は」
「あ~あ。せっかく今日はお母さんが作ってくれたお弁当持って来てたのに。神耶君と一緒に食べようと楽しみにしてたのに。そんなに私が邪魔者なら、いいもんいいもん。これは一人で食べるから」
神耶君に、あっかんべーをして背中を向ける。
向けるなり持って来ていたお弁当箱を開けて、一人黙々とお弁当を食べ初めた。
そんな私に、神耶君は慌てて近寄って来て
「待て!弁当って事は、卵焼き入ってるか?!」
「勿論、神耶君の大好きな卵焼きも入ってるよ。けど、神耶君は一人の時間を満喫したいんでしょ?どうぞどうぞ。私に構わずに満喫して下さい」
「おい、何怒ってんだよ。弁当なら俺も一緒に食ってやっても」
またも神耶君にあっかんべーをして、私は卵焼きを箸で掴むと、見せつけるようにして口に頬張った。
「あ~卵焼き! 俺の卵焼き~~~」
「今日はあげない! 絶対絶対あげないもん!!」
「だから、何怒ってんだよ。俺にも卵焼き食わせろよ~」
「嫌! 神耶君になんてぜ~ったいあげない!!」
「……の野郎~」
無気になって卵焼きを取り合う私達。
不意に箸を持つ私の手を神耶君に掴まれて……
掴まれた所から徐々に、全身に熱が広がって行く。
体が熱い。
私はびっくりして、思わず手に持っていたお弁当箱を落としそうになった。
神耶君の反応に、私は思わず笑いながら訊くと、神耶君は余計に顔を赤くしながら怒鳴り出した。
「なっ、何笑ってんだよ!」
「だって、照れてる神耶君が可愛くて」
「はぁ? 何言ってんだお前。別に、照れてねぇし!」
その素直じゃない反応が余計可愛く思えて、私はついに声を上げて笑った。
「わ、笑うな~~~!!」
あ~やっぱり、神耶君と過ごすこの何気ない時間が、私は大好きだ。
「ね、神耶君」
「な、何だよ」
「覚えてる? 夏祭りの時のデートの約束」
「あぁ? まぁ、そりゃ覚えてるけど、それが? 急になんだよ!」
「なら話は早い。あのね、再来週、八幡神社で秋のお祭りがあるんでしょ? 夏祭りのデートの約束は守れなかったからさ、今度は秋祭りでデートしようよ」
「は?」
ずっとこの時間が続いていけば良いのにと、そう願わずにはいられない。
「神耶君と一緒だと楽しいから。神耶君との楽しい時間をもっともっと共有したいの。ね、ダメ?」
「……」
「はい! 指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます! 指きった!」
「あっ、てめっ!!またその変な呪文を」
「約束だよ! 今度こそ、お祭りデートしようね!」
「だから、いっつもいっつも、一方的且つ強引に約束取り付けようとすんな! 俺に変な呪文をかけるな! しね~ぞ俺は! 祭りデートなんて、絶っっっ対にしね~からな!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る神耶君の姿が可愛くて、また私は声を上げて笑った。
「だから、笑うな~~!!」
本当に、こんな時間がずっと続けば良いのに。
この先もずっと、ずっと――
「あ、もうこんな時間」
ふと腕にはめた時計に目をやれば、時計の針は12時を指していた。
時間が経つ速さに私は驚き声を上げる。
「どうした?」
「今日は午後から病院に行かないといけないんだった。ここに来る事を許してもらう変わりに、ちゃんと病院に行く事ってお母さんと約束したのをすっかり忘れてたよ」
「ふ~ん」
「ふ~んて、酷いな~。聞いておいて他人事みたいなその返事」
「だって他人事だし」
「私と遊べなくて寂しいとか、言ってくれても良いのに」
「寂しい? 馬鹿言うな。師匠もいなくなって、お前もいなくなってくれれば、俺は久しぶりにゆっくりと一人の時間を満喫出来るじゃないか。寂しいどころか嬉し」
「……」
「なっ、何だよ、その目は」
「あ~あ。せっかく今日はお母さんが作ってくれたお弁当持って来てたのに。神耶君と一緒に食べようと楽しみにしてたのに。そんなに私が邪魔者なら、いいもんいいもん。これは一人で食べるから」
神耶君に、あっかんべーをして背中を向ける。
向けるなり持って来ていたお弁当箱を開けて、一人黙々とお弁当を食べ初めた。
そんな私に、神耶君は慌てて近寄って来て
「待て!弁当って事は、卵焼き入ってるか?!」
「勿論、神耶君の大好きな卵焼きも入ってるよ。けど、神耶君は一人の時間を満喫したいんでしょ?どうぞどうぞ。私に構わずに満喫して下さい」
「おい、何怒ってんだよ。弁当なら俺も一緒に食ってやっても」
またも神耶君にあっかんべーをして、私は卵焼きを箸で掴むと、見せつけるようにして口に頬張った。
「あ~卵焼き! 俺の卵焼き~~~」
「今日はあげない! 絶対絶対あげないもん!!」
「だから、何怒ってんだよ。俺にも卵焼き食わせろよ~」
「嫌! 神耶君になんてぜ~ったいあげない!!」
「……の野郎~」
無気になって卵焼きを取り合う私達。
不意に箸を持つ私の手を神耶君に掴まれて……
掴まれた所から徐々に、全身に熱が広がって行く。
体が熱い。
私はびっくりして、思わず手に持っていたお弁当箱を落としそうになった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる