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できればコーヒー下さい。
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前略
お父様
娘は今、日本ではない何処かでイケメンに不審者扱いされております。
★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★
「ここで何をしている」
初恋の彼(漫画の主人公)と同じ眼の色をしている人に怪しいひとを見る目で見られています。
私、ドMじゃないので傷付きます。
黙っている私に目の前の彼は無表情で見下ろす。
なんて言えば良いのか分からない。
仕事では色々言葉が出てくるのに、まるで声を失ったかのように話をしようにも声にならず鯉のように口をぱくぱくしているだけだ。
分からないのだ、何故ここにいるのか、こうなった経緯も何もかもが。
見知らぬ町に、外人か?と聞きたくなる人々、目につく看板は何の文字かも見当がつかない。
言葉が日本語に聞こえるだけマシだと思うしかない。
一度、街の人に話しかけた際にジロジロ見られて不審者を見るような目で見られてから話しかける勇気もなくなった。
怖いのだ。
この街が、街の人が…
俯いた私に空色の眼の彼はため息を零した。
彼は踵を返し、何処かへ行ってしまった。
騎士の人なら日本で言う警察みたいな人だよな、話すれば良かったと少し後悔をした。
結局、どうしたらいいか分からずお隣の猫たんを撫でる。
飼い猫なのか、逃げずに大人しい子だ。
やはり猫たんは癒し、神なのだ。
猫たんに癒してもらっていると、空色の眼の人が手にコップを2つ持って戻ってきた。
コップの1つを私に差し出した。
「リンゴジュースだ、飲めるか?」
無表情のイケメンの癖に優しいだと…??
どちらかと言うと、お前みたいなタイプは優しくないけど攻略していくにつれて笑顔を見せたり優しくなっていくタイプだろ?
デレ早くない??
「あ、ありがとうございます。」
まあ、喉乾いているので頂くのですが何故リンゴジュースなの?
おまん飲んでるのコーヒーだよね?
私もコーヒーか紅茶が良かったです!!
リンゴジュースを一口飲むと知っている味がした。
小さい頃、良く飲んでいたスーパーとかに売っているリンゴジュースだ。
この街に自分が知っている物があることに、安堵した。
その瞬間、涙が溢れた。
泣きそうで泣かなかったのにリンゴジュースで泣いたのだ。
空色の眼の人は猫たんの横に座った。
そこは隣じゃないの?とも思ったが私は空気が読めるはずの社会人、お口チャックです。
「ルゼルが俺以外には一切触らせない使い魔だ。ルゼルが他人に触れられるのを嫌がらないのは珍しい…
ルゼルがお前は安心だと判断したのであれば、何もなければ俺はお前に危害を加えないと約束しよう。」
そう言いながら、空色の目の彼は猫たんを撫でた。
おまんの猫たんだったんかい!!
お父様
娘は今、日本ではない何処かでイケメンに不審者扱いされております。
★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★
「ここで何をしている」
初恋の彼(漫画の主人公)と同じ眼の色をしている人に怪しいひとを見る目で見られています。
私、ドMじゃないので傷付きます。
黙っている私に目の前の彼は無表情で見下ろす。
なんて言えば良いのか分からない。
仕事では色々言葉が出てくるのに、まるで声を失ったかのように話をしようにも声にならず鯉のように口をぱくぱくしているだけだ。
分からないのだ、何故ここにいるのか、こうなった経緯も何もかもが。
見知らぬ町に、外人か?と聞きたくなる人々、目につく看板は何の文字かも見当がつかない。
言葉が日本語に聞こえるだけマシだと思うしかない。
一度、街の人に話しかけた際にジロジロ見られて不審者を見るような目で見られてから話しかける勇気もなくなった。
怖いのだ。
この街が、街の人が…
俯いた私に空色の眼の彼はため息を零した。
彼は踵を返し、何処かへ行ってしまった。
騎士の人なら日本で言う警察みたいな人だよな、話すれば良かったと少し後悔をした。
結局、どうしたらいいか分からずお隣の猫たんを撫でる。
飼い猫なのか、逃げずに大人しい子だ。
やはり猫たんは癒し、神なのだ。
猫たんに癒してもらっていると、空色の眼の人が手にコップを2つ持って戻ってきた。
コップの1つを私に差し出した。
「リンゴジュースだ、飲めるか?」
無表情のイケメンの癖に優しいだと…??
どちらかと言うと、お前みたいなタイプは優しくないけど攻略していくにつれて笑顔を見せたり優しくなっていくタイプだろ?
デレ早くない??
「あ、ありがとうございます。」
まあ、喉乾いているので頂くのですが何故リンゴジュースなの?
おまん飲んでるのコーヒーだよね?
私もコーヒーか紅茶が良かったです!!
リンゴジュースを一口飲むと知っている味がした。
小さい頃、良く飲んでいたスーパーとかに売っているリンゴジュースだ。
この街に自分が知っている物があることに、安堵した。
その瞬間、涙が溢れた。
泣きそうで泣かなかったのにリンゴジュースで泣いたのだ。
空色の眼の人は猫たんの横に座った。
そこは隣じゃないの?とも思ったが私は空気が読めるはずの社会人、お口チャックです。
「ルゼルが俺以外には一切触らせない使い魔だ。ルゼルが他人に触れられるのを嫌がらないのは珍しい…
ルゼルがお前は安心だと判断したのであれば、何もなければ俺はお前に危害を加えないと約束しよう。」
そう言いながら、空色の目の彼は猫たんを撫でた。
おまんの猫たんだったんかい!!
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