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勇者スヴェトラナ・アンクティノヴァ

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「まあよい。魔道士サオリンコとは友人でもある。親衛隊は剣を収めよ」

「サオリンコ?魔道士サオリンコ?なにダサいネーミング!」

親衛隊は渋々剣を収めた。

「えっと異世界転生した気がするんだけど気のせい?」

「うむ。気のせいだな」

沙織はマジマジと香織をみた。

「なにそれ!王女?」

「サオリンコ落ち着いて」

そう言ってきたのは真紀理だ。
その真紀理の姿も沙織はジロジロと見た。
水着に鎧を着けたような異世界キャラ。

「えっとナニ?異世界モノによく出る体術使い?」

真紀理は拳を握って見せた。

「そうだ!ドラゴンエルフの末裔、体術使いマキリだ!」

「ドラゴンとエルフを混ぜたのね。なんて安易な設定…いつも思うんだけど。体術ってさ、みんな武器もってるのに不利じゃない?」

「わたしの突きと蹴りはドラゴンの威力がある!」

「へえ…」

興味なさげに沙織は相打ちを打った。

「王女に魔道士のわたしで体術使いのドラゴンエルフの末裔がいて…」

沙織は黒マントに杖、赤と白の水玉のキノコの帽子を被った亜香里を見た。

「あんたはなんなの?」

「ナニィ!キノコ使いを知らんのか!」

「キノコ使い?ナニその戦力ゼロのキャラは?」

「戦力ゼロではない!キノコは毒にもなるし治癒のためのヒーリングキノコを煎じることもできるし、うまいキノコ汁を作ることだってできる!パーティーには必要不可欠なのだ!」

「キノコはどっからもってくんのよ!」

「ナニィ?おぬしにはあれが見えんのか?」

亜香里は空を指した。
見ると無数のキノコが宙に浮いている。
亜香里はグーを突き立て膝を上げて跳躍した。
グーでキノコを突くとチャリーンという音と共にキノコが落ちてきた。
亜香里は肩で息をしながらドヤ顔になった。

「どうだ!」

「息切れしてるけど。それにそれってヒゲのイタリア人がやってるやつだろう。異世界モノで誰も真似しないやつでしょ」

「まあ。うまいキノコ汁を食わしてやる」

沙織はまずそうなキノコ汁に顔をしかめた。

「うえっ!」

「うまいぞ。白くてトロトロのキノコ汁ぞ!」

「それホワイトシチューじゃないの?」

「白いキノコ汁じゃ」

「頼むからシチューって言って!」

「言わぬ!」

「ま、キノコ使いはワケわかんないけど。最後は勇者?」

沙織は勇者を見た。
勇者を讃えるように香織が声をあげた。

「勇者スヴェトラナ・アンクティノヴァ!魔道士サオリンコを召集した本人だ」

勇者は沙織に向き直った。
光る鎧に頭に付けた蝶の片羽のようなエメラルドをはめた金の装飾。
金髪に青い目、そのこの上なくバランスのとれた顔に立ち姿の美しい勇者スヴェトラナ・アンクティノヴァだ。

沙織はツッコんだ。

「ファンタジーゲームのCMか?」
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