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いかに!

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珍しく考え込んでいる真紀理を見て亜香里はウズウズしてきた。

「ええい。なにを考え込んでいる!」

「今のキックボクシングに活かせないかなと思って」

「まあ無理だろうな」

「なんで?」

「体捌きは足で移動するから体を捌けるのだ。それを蹴りと同時に行うのは不可能だろう」

「なるほど。珍しくいいことを言ってる」

「なにをいう。わたしはいつもよいことを言っておる!」

そこへ香織と沙織が入ってきた。
すでに稽古している2人を見て香織はなんとなく違和感を感じた。

「もう練習してるってか珍しいね。2人揃って稽古なんて」

沙織は「感心、感心。良い心がけ」と意気揚々としている。

「沙織ネエさん。亜香里がね亜香里が…」

真紀理が困り顔で沙織に飛びついた。

「おう。なんだい真紀理。亜香里にいじめられたのかい?」

「誰がいじめるか!」

亜香里がツッコんだ。

「亜香里がすごい技をやってるんだけどなんとかキックボクシングに活かせないかと思って」

「え?すごい技?」

「どれどれ見せてみんしゃい」

香織と沙織が亜香里に詰め寄ってきた。
亜香里はここぞとばかりに腕を組んでそっぽを向いた。

「さて。どうしたものか」

「亜香里ちゃん見せてよ。そのすごい技」

「そうそう。見せてみなってなにその悪い笑みは?」

亜香里は悪い笑みで「ふふふふ」とほくそ笑む。
沙織はサッと切り替えて「じゃあいいや。稽古しよ。今日は地井頭沙織拳の日だから」と、更衣室へ向かった。

「そだね」

香織も沙織についていった。

「待て~い!」

亜香里がドンっと畳を踏んで2人に手を伸ばした。

「見せてやろうではないか」

沙織は素早く振り返った。

「見せたいんだろ。だったらさっさと見せればいいの」

「ふっ。せっかくの機会だからな。だったら沙織殿の家に遊びに行かせてもらおうか」

沙織の顔が引きつった。

「なにぃ?」

香織も亜香里の条件にノリ気だ。

「沙織の家、行ったことない~!」

「ネェさんの家!行きた~い!」

真紀理もここぞとばかりに両手を上げてアピールした。

「うぬ…」

沙織はしてやられたかのように顔をしかめた。
亜香里がたたみかける。

「いかに!」

亜香里と沙織は完全に対峙する空気で互いを睨み合った。
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