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お弁当交換
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「今度、お弁当交換しない?」
香織は少し思い切ったことを言ってみた。
「オモシロ!しよ、しよ!」
沙織は香織が思ったよりノリ気だった。
翌日、香織が屋上で手すりの前で膝に置いたお弁当を見つめ少しドキドキしながら待っていた。
すると目の前にいつのまにか沙織が合気道の低い手刀の構えをとって立っていた。
「ふふ」
お弁当を置いて香織は立ち上がって沙織の手首を掴んだ。
「さあ、どんな技かけてくる?」
あえて香織は不敵な笑みを浮かべ有段者の余裕を見せる。
沙織は手首に身体を自分から近づけ反転し、香織の隣へ並んで両手を前部差し出した。
「体の変更、イチ!」
基本の最初の体捌きだ。
2人揃って同じ方向を向いてるので戦いにならない。
「あはははは。合ってる合ってる」
沙織はスポーティーな手さげバッグから銀色の弁当箱を取り出し中を見せた。
「今日のBLTはチェダーチーズ入りだって」
「おいしそ!」
香織も自分の弁当箱を取り出して中を見せた。
「昨日とほとんど同じなんだけど」
違いによるといえば煮物とミニトマトがウィンナーとブロッコリーになっていたくらいだ。
沙織は嬉しそうに弁当箱を差出し「じゃ、交換」
「うん。これ使って」
と、割り箸を添えた。
「ありがとう」
互いにお弁当を珍しそうに受け取った。
香織は沙織が食べるのを待った。
「甘!そぼろって甘いんだ」
「肉甘いのだめ?」
「全然。これおいしい…」
じっとそぼろだけを見つめて口に運ぶ。
まるで子供が夢中になるときの目だ。
ほんとにそぼろ食べたことないんだ…
沙織はおいしい、ありがとう、うれしいを目にいっぱい浮かべて香織の方を見た。
それらの言葉を言う代わりにおいしそうにそぼろを咀嚼する。
香織は安心してBLTに向き直った。
「いざ…本場のベーコンとやら」
はむッと香織はサンドイッチに噛み付いた。
パンの柔らかさとレタス、トマトシャキッとした歯ごたえの奥にパリッとわずかに焦げた肉の香りが存在感をうったえる。
ラストはチェダーチーズの優しさが鼻の奥まで追ってきた。
それぞれの歯ごたえに強い香り優しい香り、この調和はひとつの刺激と言えた。
「これが…」
香織が言葉を探しているのがわかった。
「そう。BLT」
香織の口からは違う言葉が出た。
「アメリカンブレイクファストハーモニー…」
「そんな言葉はないから」
香織は少し思い切ったことを言ってみた。
「オモシロ!しよ、しよ!」
沙織は香織が思ったよりノリ気だった。
翌日、香織が屋上で手すりの前で膝に置いたお弁当を見つめ少しドキドキしながら待っていた。
すると目の前にいつのまにか沙織が合気道の低い手刀の構えをとって立っていた。
「ふふ」
お弁当を置いて香織は立ち上がって沙織の手首を掴んだ。
「さあ、どんな技かけてくる?」
あえて香織は不敵な笑みを浮かべ有段者の余裕を見せる。
沙織は手首に身体を自分から近づけ反転し、香織の隣へ並んで両手を前部差し出した。
「体の変更、イチ!」
基本の最初の体捌きだ。
2人揃って同じ方向を向いてるので戦いにならない。
「あはははは。合ってる合ってる」
沙織はスポーティーな手さげバッグから銀色の弁当箱を取り出し中を見せた。
「今日のBLTはチェダーチーズ入りだって」
「おいしそ!」
香織も自分の弁当箱を取り出して中を見せた。
「昨日とほとんど同じなんだけど」
違いによるといえば煮物とミニトマトがウィンナーとブロッコリーになっていたくらいだ。
沙織は嬉しそうに弁当箱を差出し「じゃ、交換」
「うん。これ使って」
と、割り箸を添えた。
「ありがとう」
互いにお弁当を珍しそうに受け取った。
香織は沙織が食べるのを待った。
「甘!そぼろって甘いんだ」
「肉甘いのだめ?」
「全然。これおいしい…」
じっとそぼろだけを見つめて口に運ぶ。
まるで子供が夢中になるときの目だ。
ほんとにそぼろ食べたことないんだ…
沙織はおいしい、ありがとう、うれしいを目にいっぱい浮かべて香織の方を見た。
それらの言葉を言う代わりにおいしそうにそぼろを咀嚼する。
香織は安心してBLTに向き直った。
「いざ…本場のベーコンとやら」
はむッと香織はサンドイッチに噛み付いた。
パンの柔らかさとレタス、トマトシャキッとした歯ごたえの奥にパリッとわずかに焦げた肉の香りが存在感をうったえる。
ラストはチェダーチーズの優しさが鼻の奥まで追ってきた。
それぞれの歯ごたえに強い香り優しい香り、この調和はひとつの刺激と言えた。
「これが…」
香織が言葉を探しているのがわかった。
「そう。BLT」
香織の口からは違う言葉が出た。
「アメリカンブレイクファストハーモニー…」
「そんな言葉はないから」
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