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おじさん♡かけます

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アレックス♡

「お待たせ致しました!」

お待たせし過ぎたかも知れません!

君が私を求める御声を聴きながらも、直ぐに駆けつける事が叶わず…
私も辛う御座いました。

視作生のルーランス公との初夜に愛人を投入するか否か、という会議は白熱した。

仮にも女王と一国の王との公式の閨事である。
婚姻に伴う、儀式的な性交であるべきなのだ。

本来ならば、破瓜と一度の射精のみで完了すべきである。
これはα種族では一般的な仕様であり、庶民に於いても変わらない事だ。

しかし、視作生はいつも通りに欲しがっておられる…
彼は凄まじい性欲をお待ちなのだ!

未だ空腹を満たしておられぬに、それでもいじらしく我慢などなされて…
私はお可哀想で堪らない!

とはいえ、余りにも型破りだ。
しかも我が兄上は、いささか頭が固いのです。

王は、変事を厭うだろう。
既に度重なる異変に心労を抱えておられるのだ。
この上、追い討ちを掛ける様な事態は受け入れ難かろう。
大方の皆様の見解は、その様なものでした。

しかし、意を唱える方がいらした!

『彼の方は、変わられましたわ!』
同じくすっかりお変わりなすった、ブレンダリー様は仰いました。

『以前の公なら、初夜に邪魔者があれば即刻“無礼打ち”なさるわね。例え其れが弟君であろうと“大綬斬り”の一閃にて切捨てようぞ。けれど視作生のお求めとあらば、堪えて下さるわ♡…いえ、いいえ。其れが出来ぬ、では許されぬ!女王の夫ですのよ!当然の努力でしょう!視作生が欲しいと仰るならば、全身全霊で尽くすべき。ねぇ、皆様!そうでしょう、皆様!』

ルイスが大執政様は大迫力の素晴らしき演説によって、周囲を圧倒なさった。

そして視作生の心身の充実を第一に考えて、導き出された会議の総意により…

私は派遣されました!

「アレックス♡いらっしゃい♡」
そして君は実に嬉しげに、私の名をその可愛い御口で呼ばってくださった!

故に私は、最初の任務を放棄したくなります…
しかし、それは許されない。

「では、失礼致します!」
よって可及的速やかに、シーツをお取替え致しましょう!

「…ッ、アレクサンドール?一体…」
「兄上!視作生をお抱きして、そちら避難して下さい」
「ッ、避難?それは、…何事だ!」
ヴィクトールは混乱なさった。
然もありなん。

「何という事ではありません。只今より私が寝台を整えます。故に障のない辺りに視作生をお連れして、お待ち頂きたいのです。御安心を!直ぐに済みます。得意ですから!」
「…、、?、何だって?」

上位者の貴公子たる貴方には、幾重にも理解に苦しむ事ごとでしょう。

しかし、視作生というΩ女王の夫であろうとなさるならば!
常識に囚われてはなりません。

「いいから、ほら!ヴィクトール、抱っこして♡」
《わぁい♡さすがは僕のアレックス。ありがとうねぇ》
どう致しまして!
お役に立てまして、恐悦至極に存じます。

「兄上におかれましては、不可解で御座いましょう。しかし、視作生は心得ておいでです。さあ!お願い致します」
「…ふん、良かろう」
いささか不愉快そうではあるものの、彼は受け入れてくれた。

では、いざ!
視作生が盛大に濡らした寝台に、立ち向かおうぞ。

「…む。こ、これは!」
敷布の下には吸水の処置がなされており、かなり手間が省けそうである。
これは淑女方の御手当てだろう。

「素晴らしい工夫がなされておる…、さすがです!勉強になります!」
思わず驚嘆が口をついた。

そんなふうに熱意を持ち、家事に取り組む私に…
兄は心中を複雑となさっておいでだ。

《弟よ、君は何故に家司の真似事を…》
そんな戸惑いを私の“耳”に漏らしてしまうほどに、貴方は困惑なさいますか。

愛する人の御世話をする悦びを、貴方は未だ識らぬ。
これは存外と幸せなのですよ!

…いずれの日にか、貴方とも分かち合えるでしょう。

ちなみに兄上、私は“家司”では収まりませぬぞ。
この私めは、視作生の“執事”を目指しておりますゆえ!

その様な決意も新たに…
清く正しく美しく、仕上げて参りましょうね!

「…アレクサンドール、手際が良いな」
とても率直な表情で、兄はお褒め下さった。

《きびきびと澱み無く、流れる様に…良く動くものだね》
心を込めた仕事の所作は、美しいものです。
愛する君の目の前で披露するなら尚更だ!

《…だが、其方の様な貴公子が、、》
若干のわだかまりはおありでしょう。
けれどその胸に御抱きの新妻が…

「だよねぇ!アレックスは器用だよね♡」
大変にご機嫌麗しゅうある。
故にごく素直に、この展開を受け入れなすったのですね。

「はい!視作生の御為になる事を、私は決して抜かりません」
《視作生の御為、とな。それは…》
「…興味深い、ね」
でしょうとも!

貴方もきっと、妻を可愛がるのがお好きです。
兄上と御一緒に、この方を甘やかしてみたいものだ!

セバスティアンとマクシミリアンが、視作生を愛する時の様に…

「さあ、出来ました!」
万事整いました。
…さあ、では、いかが致しましょう。

「ふむ。アレクサンドール、御苦労であったね。下がって宜しい」
兄上は、鷹揚に御指示をなさいました。

《…そんなぁ、、アレックス!行っちゃ嫌だよ?》
しかし、視作生の切なる願いが私の胸にこだました!

はい、我が君。
この飼い犬はいつだって、御主人様に忠実です。
その御望みの為に、励みましょう!

「憚りながら、申し上げます!」
そして私は改めて、王者に向き直る。
その場に片膝を着き、姿勢を正した。

刃向かう御相手がどれ程に強者であっても、私は立ち向かおう!
視作生の飢えを、凌ぐ為なら生命も賭けたい。

「どうか私を、今宵のこの相合の、お仲間に入れて下さいませ!」
意を決して、提案しました。

そして一瞬で私を殺せる『威圧者』は、一瞬だけ虚を突かれた。
だがその一瞬の後、大変な御怒りを召されました…

「貴様…」
ああ…
兄上はやはり、気高き正統派でした。

右肩から左脇腹にかけて、熱を感じる。
“無礼打ち”の“大綬斬り”を、私に下されるのですね。

残念です…
しかし、悔いはない。
私は観念して、受けて立ちましょう!

…と開き直りました、ところ…

「うん♡いいよ!」
( ˙-˙ )! ( ˙-˙ )!

鶴の一声、でした。

「視作生?…そう、なのかね」
「うん!、、うん?…え、ダメ?」
「…いや、よろしい。君が良いなら」
「良いよ!良いに決まってるよ♡」

君がかけた言葉は、私が真っ二つになる寸でに間に合った。

良かった…
これで漸く、君の思う通りに愛して差し上げられます。

「…良い、のか」
《信じられぬ!何が良いのだ。理解が出来ぬ…》

兄上、ご安心なさいませ。

この体制がこの先は、欠かす事が出来ぬ事、になりますよ!

\\\٩(๑`^´๑)۶////
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