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おじさん♡あわてます①*
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「お花畑?」
妻が放心しながら、言った。
相棒に抱かれて浴室に入った君は、立ち込める湯気の向こうに幻を見た。
…いや、幻ではない。
君の目の前には実際に花園があるのだ。
妻は二の句を継げずにいる。
呆れているのかもしれない。
もはや改良どころでは無かった。
これは、完全に別の代物だ。
「…降ろして」
妻はようやく口を開くと、そう夫に指図した。
だがセスは聞き入れずに立ち尽くしたままだ。
相棒はこの様な得体の知れない場所に妻を降ろしたく無いのだろう。
だから君の要求とは逆に柔らかな肢体を強く抱きしめ直した。
「セス、痛い!ね、降ろしてってば」
「駄目だ。…これは実に面妖な事態だ。とにかくここを出ねば。そして他の浴室に向かおう」
俺も同感だった。
彼女達の仕業である事は確かだが、意図が不明だ。
それに、嫌な予感がする。
「い~や。いやいやいや!何言ってるの!」
妻は思いがけず憤慨した。
そして暴れてまくった挙句にセスの腕から逃げ出した。
「こんなの!」
鼻息も荒い君は止める間もなく膝まづき、足元で波打つ湯に手を浸してしまう。
「~最っ高!だよ♡」
そして見たこともない程の満面の笑みを浮かべて、無邪気に喜んだ。
「すごいね!いい匂い」
君は上機嫌で湯に身を浸している。
俺の胡座の上に腰掛けて椅子代わりにした君は、手足を伸ばし可愛い鼻をヒクヒクとさせては花の香りを楽しんでいる。
「気に入ったのか」
「うん!すごく!すごく嬉しい♡」
間髪入れずに、君は答える。
…面白くない。
「温泉が沸いてるの?源泉掛け流し、みたいな感じだけど」
俺達は今、三人で入っても余裕が有る程に広い浴槽で長湯を強いられている。
「その様な話は聞かない。湧き水を沸かしたのだろう」
向かいに座して妻の投げ出した脚を腿で受けながら、相棒はいかにも投げやりなふうに質問に答えた。
けれど妻は気にも止めない。
「そうなんだ。わぁ、…贅沢だな」
それどころか君は、感心しては感動している。
もう身体は清めたのだから、浴室を後にしてはどうかと何度も提案していた。
だが妻はちっとも聞き入れない。
「…本当に、最高だよ。まさか露天風呂に入れるなんて思いもしなかった♡」
露天風呂。
初めて耳にする名詞だった。
その為、俺は理解に苦しむ。
この浴室は恐ろしい事に壁の一部分が取り払われているのだ。
妻の祖国ではよくある事なのだろうか。
俺には意味が分からない。
「ホント、最高の景色だね…なんて綺麗なんだろう」
妻はうっとりと辺りを見廻す。
…俺達の事などはまるで目に入らない様だ。
「あ、種類が違う。色とか形が違う!」
君は百合の花々に興味津々だ。
そのせいで俺の胡座からさっさと立ち上がり、もっと近くで見ようと離れていく。
全くもって腹立たしい。
やはり、予感は的中したのだった。
我々が浴室の扉を開けた時は室内は暗闇だった。
ただ、もうもうと立ち込める湯気が、灰色にたな引くのが微かに見えるのみだった。
すると闇のなかにポツポツと光が現れた。
そうしてゆっくりと無数のランプに火が灯されて行く。
やがて仄かな灯りに照らし出され、その光景が浮かび上がった。
見事に咲き誇る、薫り貴き百合の花園が出現したのだ。
俺達は今、そんな見事な百合の庭園を眺めながら湯に浸かっている。
床を丸く繰り抜くように掘られた浴槽は縁が盛り上がり、柔らかな曲線を描く装飾が施されていた。
そこに両の肘を掛けて頬杖をつきながら花園を眺める君。
その後ろ姿の悩ましさと言ったら、ない。
「…感動するね」
どこか感極まった様に君は呟いた。
…ああ、同感だ。
君のうなじの生え際の、うぶ毛が汗で濡れて首筋に張り付く様は感動的に愛らしい。
「僕、いいのかな。こんなにしてもらって」
もちろんだ。
君はこの屋敷の主人なのだ。
この庭とこの館と、彼女達が唯一無二と認め、忠愛する主だ。
君の喜びは彼らの喜びである。
そして、もちろん俺と相棒の最上の喜びだ。
「リリィ、そろそろ止さないか。湯に当たる」
君の桜色に上気した肌は艶めかしい。
水晶のような汗の粒がそのなめらかな肌をツツと伝っては落ちていく。
俺はすっかりと魅せられて、その一雫を舐めとってみる。
君はくすぐったさにクスクスとむずがって振り向いた。
「塩っぱい?」
俺の顔を悪戯っぽい顔で見やる君は可愛い。
…君はやっと、こちらを向いたな。
「…いや、甘い。とても甘いよ」
妻の顔に、首すじに肩に舌を這わせる。
「うふ、こそばゆい」
甘くすべらかな君の肌は、病み付きになりそうだ。
「…僕、食べられちゃいそうだ」
そう、舐めるだけでは物足りない。
俺は君の美味い素肌を甘噛みする。
きつく吸い上げて、食い尽くしてしまいたい。
「…ん、はぁ。…も、出よっか」
妻はすっかり紅い顔でぼうっとしている。
けれど、湯当たりした訳では無さそうだ。
そろそろ寝台は整っている頃だろう。
次はもっと、ゆっくりと愛し合いたい。
君の言う通りに花飾りをつけてみるのも良いだろう。
何度も、何度も…
俺達が君の花を咲かせてみせる。
この庭の百合どもより、美しい花を。
「いや、まだだ」
セスがおもむろに妻を背後から抱き寄せた。
不意をつかれた君は彼の胸に倒れこむ。
仰向けに夫を仰ぎ見る形になった妻の顔を、セスは大きな手で覆うように包み込んだ。
そして彼は妻に深く口づけた。
「んっ、、グ!~~~っむ、はッ、、グ、は、んふッ」
息つく暇さえ与えぬ程に、激しく深く口内を貪る。
飲み下せぬ唾液が妻の口の端からたらたらと溢れて、湯に落ちていく。
その様は妙に破廉恥な気がして俺の目を引いた。
それで俺はふと透明な湯船に薄桃色が差しているのに気づく。
よくよく見れば、妻は息苦しさに涙ぐみ、夫に抗いながらも勃起していた。
感じているのだ。
さらに君の可愛い陰茎の先からはうっすらと漂い出るものが見える。
桃色の愛液が透明な湯に混ざり始めている。
太ももできつく閉ざしてはいるが、きっとその奥からもピンクのもやが湯を汚しているのだろう。
「先日は随分と楽しんだそうだな」
傲慢なキスを解いて、セスが拗ねた口調で妻を責め立てる。
彼らしくもない、子供じみた仕草だった。
君は驚いて目を丸くする。
だが直ぐに彼が何の事を責めているのかを悟ると、へどもどした。
あの時の自分の様を思い出して恥じているふうだ。
しかし、そこはかとない期待が滲んではいないだろうか。
俺との情事を思い出し身体が煮えたのに違いない。
君は『恥ずかしい』のが好きだから。
「セス…お風呂で、したいの?」
困ったように、けれど物欲し気な色を隠しきれずに君は勿体ぶる。
「したい。…だが、どうするかは知らない」
相棒も俺と同じく浴室におけるセックスの在り方について認知していない。
俺は経験者だが敢えて彼に詳しくは講義しなかった。
「…世の中には知らない方がいい事もある、かも、よ?」
なんと!
君は何を言うのだ。
あれは絶対に、知るべきだ。
「君は嫌なのか?」
セスは苛立ちを隠さない。
「マクシミリアンとは良くて、私とは…嫌?」
…俺ですら知らない、彼の一面だった。
セバスティアンともあろう男が他者に嫉妬し、自分と引き比べ、こんなふうに自信を揺るがす事があろうとは。
「違うっ!そんなんじゃなくて…」
相棒。
妻は恥ずかしがっているだけだ。
君という奴は紳士が過ぎる。
「…そんな、したいの?」
しかし、セスの初心な態度が妻の新たなる欲望の扉を開いたのかもしれない。
君は夫を征するのも好きなのだ。
俺に跨り熱を煽っては情欲の限りに走らせた、あの日の君は征服者だった。
「ああ。リリィ、君が私に教えてくれ」
今日の君は教師になればいい。
そして至らない生徒を教育してやってくれ。
君の思う通りの愛について、教鞭を願いたい。
「~ッ、セスのばかっ」
夫を罵倒しながらも妻は彼にひしと抱きついた。
「…聞いてらんない」
性技をご教授願いたい、などと頼まれた事にたまらない羞恥を感じたようだ。
その癖、甘くほてった身体で思い切り彼に縋り付いた。
そして妻は子山羊の角のように尖ったペニスをセスの硬い腹に刺してはグリグリと擦り付ける。
二人の周囲の湯が桃色に染められていく。
…君はセスに与えられた羞恥に酷く感じているようだ。
下手くそな言葉は、もう充分だろう。
「もうっ。僕だってよくは知らないんだからね!」
よくは知らぬが、知りうる事は教えてくれるらしい。
妻は手始めにセスの屹立を柔らかく張りのある太ももに挟み込んだ。
それから舌舐めずりをしながら君は扇動する。
本人よりも素直なその身体ごしに、朴念仁な夫への最初の教えを施すために。
しかし、そんな時に限って相棒は余計な事に気がついた。
「!…君という人は、こんな事にも感じるのだな」
…セス。( ˙-˙ )
相棒は言葉の選び方から、教授されなくてはなるまい。
とはいえ、彼の言う通りだった。
君ときたら!
広い浴槽いっぱいの湯をピンク色に染め上げてしまっていた。
どんなふうに夫達との淫りがましい睦み合いを想像したの
だ。
「ばか、ばかっ。ヘンタイ!」
君は相棒の胸をポカポカと拳で打つ。
全く、責任転嫁も甚だしい。
けれど、可愛い。
そんな君は酷く取り乱した挙句に、浴槽の床のつるりとしたタイルで足を滑らせた。
「リリィ!」
仰向いてひっくり返る君を支えようとするセスの手が間に合わない。
浴槽の縁に妻が後頭部を強打するすんで、俺の手は小さな頭をすくい取った。
そうして君はまた、夫の前に大股を開いて披露する事となったのだ。
とろとろと桃色を垂らす、あの貝の如き豊かな造形のヴァギナ。
その麗しい性器を君はむぞうさに、大胆に、夫の目に晒している。
…これでは俺達の方が先に、君にのぼせてしまいそうだ。
「…なるほど、確かに美味そうな…」
「セバスティアン!」
これ程に気が利かない男ではなかったはずだが。
恋とは恐ろしいものだ。
これ以上、無粋なスパイスを効かせる必要はない。
セバスティアン、黙れ。
経験者は、語る。
『ソープランド』とは石鹸の泡が奏でる、魅惑の世界である。
\\\\٩( 'ω' )و ////
「お花畑?」
妻が放心しながら、言った。
相棒に抱かれて浴室に入った君は、立ち込める湯気の向こうに幻を見た。
…いや、幻ではない。
君の目の前には実際に花園があるのだ。
妻は二の句を継げずにいる。
呆れているのかもしれない。
もはや改良どころでは無かった。
これは、完全に別の代物だ。
「…降ろして」
妻はようやく口を開くと、そう夫に指図した。
だがセスは聞き入れずに立ち尽くしたままだ。
相棒はこの様な得体の知れない場所に妻を降ろしたく無いのだろう。
だから君の要求とは逆に柔らかな肢体を強く抱きしめ直した。
「セス、痛い!ね、降ろしてってば」
「駄目だ。…これは実に面妖な事態だ。とにかくここを出ねば。そして他の浴室に向かおう」
俺も同感だった。
彼女達の仕業である事は確かだが、意図が不明だ。
それに、嫌な予感がする。
「い~や。いやいやいや!何言ってるの!」
妻は思いがけず憤慨した。
そして暴れてまくった挙句にセスの腕から逃げ出した。
「こんなの!」
鼻息も荒い君は止める間もなく膝まづき、足元で波打つ湯に手を浸してしまう。
「~最っ高!だよ♡」
そして見たこともない程の満面の笑みを浮かべて、無邪気に喜んだ。
「すごいね!いい匂い」
君は上機嫌で湯に身を浸している。
俺の胡座の上に腰掛けて椅子代わりにした君は、手足を伸ばし可愛い鼻をヒクヒクとさせては花の香りを楽しんでいる。
「気に入ったのか」
「うん!すごく!すごく嬉しい♡」
間髪入れずに、君は答える。
…面白くない。
「温泉が沸いてるの?源泉掛け流し、みたいな感じだけど」
俺達は今、三人で入っても余裕が有る程に広い浴槽で長湯を強いられている。
「その様な話は聞かない。湧き水を沸かしたのだろう」
向かいに座して妻の投げ出した脚を腿で受けながら、相棒はいかにも投げやりなふうに質問に答えた。
けれど妻は気にも止めない。
「そうなんだ。わぁ、…贅沢だな」
それどころか君は、感心しては感動している。
もう身体は清めたのだから、浴室を後にしてはどうかと何度も提案していた。
だが妻はちっとも聞き入れない。
「…本当に、最高だよ。まさか露天風呂に入れるなんて思いもしなかった♡」
露天風呂。
初めて耳にする名詞だった。
その為、俺は理解に苦しむ。
この浴室は恐ろしい事に壁の一部分が取り払われているのだ。
妻の祖国ではよくある事なのだろうか。
俺には意味が分からない。
「ホント、最高の景色だね…なんて綺麗なんだろう」
妻はうっとりと辺りを見廻す。
…俺達の事などはまるで目に入らない様だ。
「あ、種類が違う。色とか形が違う!」
君は百合の花々に興味津々だ。
そのせいで俺の胡座からさっさと立ち上がり、もっと近くで見ようと離れていく。
全くもって腹立たしい。
やはり、予感は的中したのだった。
我々が浴室の扉を開けた時は室内は暗闇だった。
ただ、もうもうと立ち込める湯気が、灰色にたな引くのが微かに見えるのみだった。
すると闇のなかにポツポツと光が現れた。
そうしてゆっくりと無数のランプに火が灯されて行く。
やがて仄かな灯りに照らし出され、その光景が浮かび上がった。
見事に咲き誇る、薫り貴き百合の花園が出現したのだ。
俺達は今、そんな見事な百合の庭園を眺めながら湯に浸かっている。
床を丸く繰り抜くように掘られた浴槽は縁が盛り上がり、柔らかな曲線を描く装飾が施されていた。
そこに両の肘を掛けて頬杖をつきながら花園を眺める君。
その後ろ姿の悩ましさと言ったら、ない。
「…感動するね」
どこか感極まった様に君は呟いた。
…ああ、同感だ。
君のうなじの生え際の、うぶ毛が汗で濡れて首筋に張り付く様は感動的に愛らしい。
「僕、いいのかな。こんなにしてもらって」
もちろんだ。
君はこの屋敷の主人なのだ。
この庭とこの館と、彼女達が唯一無二と認め、忠愛する主だ。
君の喜びは彼らの喜びである。
そして、もちろん俺と相棒の最上の喜びだ。
「リリィ、そろそろ止さないか。湯に当たる」
君の桜色に上気した肌は艶めかしい。
水晶のような汗の粒がそのなめらかな肌をツツと伝っては落ちていく。
俺はすっかりと魅せられて、その一雫を舐めとってみる。
君はくすぐったさにクスクスとむずがって振り向いた。
「塩っぱい?」
俺の顔を悪戯っぽい顔で見やる君は可愛い。
…君はやっと、こちらを向いたな。
「…いや、甘い。とても甘いよ」
妻の顔に、首すじに肩に舌を這わせる。
「うふ、こそばゆい」
甘くすべらかな君の肌は、病み付きになりそうだ。
「…僕、食べられちゃいそうだ」
そう、舐めるだけでは物足りない。
俺は君の美味い素肌を甘噛みする。
きつく吸い上げて、食い尽くしてしまいたい。
「…ん、はぁ。…も、出よっか」
妻はすっかり紅い顔でぼうっとしている。
けれど、湯当たりした訳では無さそうだ。
そろそろ寝台は整っている頃だろう。
次はもっと、ゆっくりと愛し合いたい。
君の言う通りに花飾りをつけてみるのも良いだろう。
何度も、何度も…
俺達が君の花を咲かせてみせる。
この庭の百合どもより、美しい花を。
「いや、まだだ」
セスがおもむろに妻を背後から抱き寄せた。
不意をつかれた君は彼の胸に倒れこむ。
仰向けに夫を仰ぎ見る形になった妻の顔を、セスは大きな手で覆うように包み込んだ。
そして彼は妻に深く口づけた。
「んっ、、グ!~~~っむ、はッ、、グ、は、んふッ」
息つく暇さえ与えぬ程に、激しく深く口内を貪る。
飲み下せぬ唾液が妻の口の端からたらたらと溢れて、湯に落ちていく。
その様は妙に破廉恥な気がして俺の目を引いた。
それで俺はふと透明な湯船に薄桃色が差しているのに気づく。
よくよく見れば、妻は息苦しさに涙ぐみ、夫に抗いながらも勃起していた。
感じているのだ。
さらに君の可愛い陰茎の先からはうっすらと漂い出るものが見える。
桃色の愛液が透明な湯に混ざり始めている。
太ももできつく閉ざしてはいるが、きっとその奥からもピンクのもやが湯を汚しているのだろう。
「先日は随分と楽しんだそうだな」
傲慢なキスを解いて、セスが拗ねた口調で妻を責め立てる。
彼らしくもない、子供じみた仕草だった。
君は驚いて目を丸くする。
だが直ぐに彼が何の事を責めているのかを悟ると、へどもどした。
あの時の自分の様を思い出して恥じているふうだ。
しかし、そこはかとない期待が滲んではいないだろうか。
俺との情事を思い出し身体が煮えたのに違いない。
君は『恥ずかしい』のが好きだから。
「セス…お風呂で、したいの?」
困ったように、けれど物欲し気な色を隠しきれずに君は勿体ぶる。
「したい。…だが、どうするかは知らない」
相棒も俺と同じく浴室におけるセックスの在り方について認知していない。
俺は経験者だが敢えて彼に詳しくは講義しなかった。
「…世の中には知らない方がいい事もある、かも、よ?」
なんと!
君は何を言うのだ。
あれは絶対に、知るべきだ。
「君は嫌なのか?」
セスは苛立ちを隠さない。
「マクシミリアンとは良くて、私とは…嫌?」
…俺ですら知らない、彼の一面だった。
セバスティアンともあろう男が他者に嫉妬し、自分と引き比べ、こんなふうに自信を揺るがす事があろうとは。
「違うっ!そんなんじゃなくて…」
相棒。
妻は恥ずかしがっているだけだ。
君という奴は紳士が過ぎる。
「…そんな、したいの?」
しかし、セスの初心な態度が妻の新たなる欲望の扉を開いたのかもしれない。
君は夫を征するのも好きなのだ。
俺に跨り熱を煽っては情欲の限りに走らせた、あの日の君は征服者だった。
「ああ。リリィ、君が私に教えてくれ」
今日の君は教師になればいい。
そして至らない生徒を教育してやってくれ。
君の思う通りの愛について、教鞭を願いたい。
「~ッ、セスのばかっ」
夫を罵倒しながらも妻は彼にひしと抱きついた。
「…聞いてらんない」
性技をご教授願いたい、などと頼まれた事にたまらない羞恥を感じたようだ。
その癖、甘くほてった身体で思い切り彼に縋り付いた。
そして妻は子山羊の角のように尖ったペニスをセスの硬い腹に刺してはグリグリと擦り付ける。
二人の周囲の湯が桃色に染められていく。
…君はセスに与えられた羞恥に酷く感じているようだ。
下手くそな言葉は、もう充分だろう。
「もうっ。僕だってよくは知らないんだからね!」
よくは知らぬが、知りうる事は教えてくれるらしい。
妻は手始めにセスの屹立を柔らかく張りのある太ももに挟み込んだ。
それから舌舐めずりをしながら君は扇動する。
本人よりも素直なその身体ごしに、朴念仁な夫への最初の教えを施すために。
しかし、そんな時に限って相棒は余計な事に気がついた。
「!…君という人は、こんな事にも感じるのだな」
…セス。( ˙-˙ )
相棒は言葉の選び方から、教授されなくてはなるまい。
とはいえ、彼の言う通りだった。
君ときたら!
広い浴槽いっぱいの湯をピンク色に染め上げてしまっていた。
どんなふうに夫達との淫りがましい睦み合いを想像したの
だ。
「ばか、ばかっ。ヘンタイ!」
君は相棒の胸をポカポカと拳で打つ。
全く、責任転嫁も甚だしい。
けれど、可愛い。
そんな君は酷く取り乱した挙句に、浴槽の床のつるりとしたタイルで足を滑らせた。
「リリィ!」
仰向いてひっくり返る君を支えようとするセスの手が間に合わない。
浴槽の縁に妻が後頭部を強打するすんで、俺の手は小さな頭をすくい取った。
そうして君はまた、夫の前に大股を開いて披露する事となったのだ。
とろとろと桃色を垂らす、あの貝の如き豊かな造形のヴァギナ。
その麗しい性器を君はむぞうさに、大胆に、夫の目に晒している。
…これでは俺達の方が先に、君にのぼせてしまいそうだ。
「…なるほど、確かに美味そうな…」
「セバスティアン!」
これ程に気が利かない男ではなかったはずだが。
恋とは恐ろしいものだ。
これ以上、無粋なスパイスを効かせる必要はない。
セバスティアン、黙れ。
経験者は、語る。
『ソープランド』とは石鹸の泡が奏でる、魅惑の世界である。
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