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第九節気 芒種
初候――螳螂生 (かまきりしょうず)
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「ねぇっ、はるっはるっ!」
背中から声をかけられて振り返ると、赤茶色の髪をした少年が、手にした枝をゆらゆらと振った。
青々とした葉をつけた、のびやかな若枝だ。
「ねぇ、これって、お豆腐みたいじゃない?」
言われてみると、枝の先にふわふわぷるんっとした塊がついていた。言われてみれば確かに似ている。しかしどう考えても豆腐ではない。
表面は白ではなく薄茶がかっているし、どちらかと言えば味噌汁に浮いた麩に似ている。
「これ坊! ほないなもん、はよ捨ててき」
考えこむ暁治の正面に座っていた相手が、手をしっしと振った。
年のころなら還暦を過ぎたころだろう、老婆だ。顔をしかめると、陽に焼けた肌に刻まれたしわが深くなる。
「ほんに礼儀知らずですんまへんなぁ」
「あ、いえこちらこそ」
暁治は縁側に座り直すと、庭に背を向け直して老婆と相対した。
「俺の方もなかなかご挨拶に来れなくて、すみません。前にいただいたお饅頭、美味しかったですし、今回もまた色々いただいちゃって」
「えぇよ、お店にはよう来てくれてるし」
頭を下げる暁治に、柔らかに笑いかけている老婆は崎山さんという。暁治の家の近くに住んでいて、食品や日用品、雑貨を扱う、小さな商店を営む一家のご隠居だ。
店はちょうどバス停そばにあって、店先で駄菓子を扱っていることから、駄菓子ばぁちゃんと近所の子供たちから呼ばれているらしい。
店先ではたこ焼きも売っていて、仕事帰りにお持ち帰りするのが、暁治の密かな楽しみだ。
ちなみに夏になると登場するかき氷が美味しいのだと、朱嶺が言っていた。ちなみに日用品コーナーは息子さんが仕切っている。
引っ越ししたとき一通り挨拶はしたのだが、朱嶺が遊びに来るとき、たまに持ってくるお菓子がこちらの家から貰ったものだと聞いて、一度はお礼に来なければと、思った次第である。というか、あれらは店の商品だったんじゃないだろうか。
「ばぁちゃん、捨ててきた!」
「ばぁちゃん?」
低い声。瞬間、時が止まった。
「え、……え~っと、里美さん」
「ん」
大きく頷くばぁちゃんこと、崎山里美さん五十歳プラス数十年。
さっき一瞬だけ全世界が凍った気がしたのだが、たぶん気のせいだろう。暁治はなんとなく首の後ろをこすった。
気を取り直したらしい朱嶺は、ひょこひょこと暁治の隣に近づいてきた。だがそのまま縁側に乗り上げようと手をあげたところで、崎山さんに睨まれる。
きゅいっと首を傾げたところ、老婆は無言で顎をしゃくった。視線の先は庭の先にある水道管だ。
朱嶺はしばらく水道管と老婆を見比べていたが、やがて大人しくそちらへ向かうと、栓をひねって手を洗い始めた。
「サトちゃん、厳しい」
「あんたみたいなズボラな子には、これでも十分優しいで」
「はるぅ~、サトちゃんがイジメる」
再び縁側チャレンジした朱嶺は、今度はなにごともなく暁治の隣に座る。くすんっと、鼻をすする真似をした。
暁治は人差し指と親指で輪っかを作ると、朱嶺の額のそばで、人差し指をぴんっと弾く。
「痛いっ、はるもイジメる!」
額を抑えて口を尖らせる朱嶺に、さっきのあれはなんだと聞いてみる。なんだか嫌な予感もするが、気になって仕方ない。
暁治の質問に、朱嶺は顔を輝かせた。夏のひまわりのように明るく邪気のない笑顔だ。普段なら、微笑ましくなるシーンだろう。普段なら。
「うん、あれはカマキリの卵だ――って、はる痛い痛いっ!!」
思わずあの物体の未来を想像してしまい、暁治は容赦なく彼を断罪した。拳で。
おかげでしばらく豆腐は食べられそうにない。
「大自然の神秘ってやつだよね」
「うるさい、お前の飯はしばらく豆腐だけだ」
ついでに麸も入れてやろう。
「えぇっ!?」
ひどくショックを受けた顔をした朱嶺だが、別に豆腐が苦手というわけではない。むしろ美味しいものなら、さらに食欲増進だ。
こうなれば店の豆腐全部買い占めてやる。などと決意を新たにする暁治である。朱嶺の胃袋VS暁治のお給料。次の給料前に頭を抱えそうではあるが。
ちなみに崎山さんのお店では、地元特産、山田豆腐店の寄せ鍋豆腐が女性に人気である。山田豆腐店の本店は隣町の駅にあって、店頭で販売している豆乳ソフトが美味しいらしい。
「じゃぁ、今日は麻婆豆腐がいいな。麻婆茄子でもいいけど」
こいつはスプラッタ映画を見ながら、平気でカレーを食えるに違いない。少年との生きている世界の違いをしみじみと感じる暁治だ。そんなところで感じるんですか。と、石蕗辺りが聞いたらため息をつきそうだが。
「あんたほんと、変わらんね」
しみじみと呟く崎山さんは、おやつにどうぞと、白玉あんみつをお盆からおろした。店の新商品らしい。初夏に相応しい一品ではあるが、一体なんの店だかますます不明になりそうである。
「そうだ、サトちゃん。そろそろ夏だし、はるもアレの練習した方がいいと思うんだけど」
しばらく大人しく白玉をもぐもぐしていた朱嶺だったが、思い出したように顔を上げた。
「アレなぁ?」
「そう、アレ」
「アレ?」
アレで通じるんだと、首をひねる暁治だ。もちろんなんのことだか、さっぱりである。
「アレはこれっ!」
朱嶺は座敷に勝手に上がり込むと、タンスの引き出しからなにやら取り出して持って来た。
「花札か」
「そうそう」
赤と黒の鮮やかな絵模様のカードを見せられ、なるほどと頷く。
「はる知らない? 町内会とかの打ち合わせや打ち上げ接待に、欠かせないでしょ? もうすぐ夏祭りで集会も多くなるしね」
「いや、初めて聞くけど」
とはいうものの、暁治の家にも確かあった気がする。祖父の荷物の中に。
花札にトランプと、麻雀。将棋と囲碁の盤もあったはず。そうか、あれは接待用だったのか。
「正治さんは、古狐野町の雀鬼って呼ばれとってな」
「はっはっはっ、そうですか」
自慢げに祖父の過去を暴露する崎山さんに、引きつった笑みを返す。どうやら正治さんは結構お茶目な人だったらしい。
「そんなわけで、せっかくだしひと勝負しちゃお。五回ワンセットで、勝った人は負けた人にひとつ命令できます!!」
突然の宣言に暁治は手をあげた。
「それは賭けごとじゃないのか」
「もう、はるったら、固いこと言いっこなしよっ」
さかさかと目の前で配られる札に、つい手を伸ばす。見ればいつの間にか崎山さんも加わり、三つ巴の勝負となっていた。
なんだか嫌な予感がする。
「じゃんけんぽいっと、僕が最初ね! へへっ、鬼で松いただきっ」
「あ、おい松は俺が持ってたんだぞ!」
「ちっち、勝負の世界は厳しいのだよ、はるくん」
にんまりと白い歯を見せて笑う朱嶺に、ぷちっと頭の隅でなにか切れる音がした。
その後の記憶は定かではないが、勝負は崎山さんの圧勝。彼と朱嶺はしばらくお店の手伝いをすることになった。
「サトちゃん、古狐野町の緋牡丹お里と呼ばれててね……」
「そういうのは先に言え――ってか、なんでそれでひと勝負賭けるんだお前は」
素人同然の暁治である。異名持ち相手では勝負になるわけがない。
「だってほら、その場のノリってあるで――って重い重いっ、はるそれ無理だからっ!!」
手に持った在庫のビールケースを朱嶺の手の上に積み上げる。五百ミリリットルを一箱、二箱。もう一箱くらいいけそうだ。
よろめく朱嶺を見て、多少胸がすいたものの、もう二度とこいつの挑発には乗るまいと、固く誓う暁治だった。
背中から声をかけられて振り返ると、赤茶色の髪をした少年が、手にした枝をゆらゆらと振った。
青々とした葉をつけた、のびやかな若枝だ。
「ねぇ、これって、お豆腐みたいじゃない?」
言われてみると、枝の先にふわふわぷるんっとした塊がついていた。言われてみれば確かに似ている。しかしどう考えても豆腐ではない。
表面は白ではなく薄茶がかっているし、どちらかと言えば味噌汁に浮いた麩に似ている。
「これ坊! ほないなもん、はよ捨ててき」
考えこむ暁治の正面に座っていた相手が、手をしっしと振った。
年のころなら還暦を過ぎたころだろう、老婆だ。顔をしかめると、陽に焼けた肌に刻まれたしわが深くなる。
「ほんに礼儀知らずですんまへんなぁ」
「あ、いえこちらこそ」
暁治は縁側に座り直すと、庭に背を向け直して老婆と相対した。
「俺の方もなかなかご挨拶に来れなくて、すみません。前にいただいたお饅頭、美味しかったですし、今回もまた色々いただいちゃって」
「えぇよ、お店にはよう来てくれてるし」
頭を下げる暁治に、柔らかに笑いかけている老婆は崎山さんという。暁治の家の近くに住んでいて、食品や日用品、雑貨を扱う、小さな商店を営む一家のご隠居だ。
店はちょうどバス停そばにあって、店先で駄菓子を扱っていることから、駄菓子ばぁちゃんと近所の子供たちから呼ばれているらしい。
店先ではたこ焼きも売っていて、仕事帰りにお持ち帰りするのが、暁治の密かな楽しみだ。
ちなみに夏になると登場するかき氷が美味しいのだと、朱嶺が言っていた。ちなみに日用品コーナーは息子さんが仕切っている。
引っ越ししたとき一通り挨拶はしたのだが、朱嶺が遊びに来るとき、たまに持ってくるお菓子がこちらの家から貰ったものだと聞いて、一度はお礼に来なければと、思った次第である。というか、あれらは店の商品だったんじゃないだろうか。
「ばぁちゃん、捨ててきた!」
「ばぁちゃん?」
低い声。瞬間、時が止まった。
「え、……え~っと、里美さん」
「ん」
大きく頷くばぁちゃんこと、崎山里美さん五十歳プラス数十年。
さっき一瞬だけ全世界が凍った気がしたのだが、たぶん気のせいだろう。暁治はなんとなく首の後ろをこすった。
気を取り直したらしい朱嶺は、ひょこひょこと暁治の隣に近づいてきた。だがそのまま縁側に乗り上げようと手をあげたところで、崎山さんに睨まれる。
きゅいっと首を傾げたところ、老婆は無言で顎をしゃくった。視線の先は庭の先にある水道管だ。
朱嶺はしばらく水道管と老婆を見比べていたが、やがて大人しくそちらへ向かうと、栓をひねって手を洗い始めた。
「サトちゃん、厳しい」
「あんたみたいなズボラな子には、これでも十分優しいで」
「はるぅ~、サトちゃんがイジメる」
再び縁側チャレンジした朱嶺は、今度はなにごともなく暁治の隣に座る。くすんっと、鼻をすする真似をした。
暁治は人差し指と親指で輪っかを作ると、朱嶺の額のそばで、人差し指をぴんっと弾く。
「痛いっ、はるもイジメる!」
額を抑えて口を尖らせる朱嶺に、さっきのあれはなんだと聞いてみる。なんだか嫌な予感もするが、気になって仕方ない。
暁治の質問に、朱嶺は顔を輝かせた。夏のひまわりのように明るく邪気のない笑顔だ。普段なら、微笑ましくなるシーンだろう。普段なら。
「うん、あれはカマキリの卵だ――って、はる痛い痛いっ!!」
思わずあの物体の未来を想像してしまい、暁治は容赦なく彼を断罪した。拳で。
おかげでしばらく豆腐は食べられそうにない。
「大自然の神秘ってやつだよね」
「うるさい、お前の飯はしばらく豆腐だけだ」
ついでに麸も入れてやろう。
「えぇっ!?」
ひどくショックを受けた顔をした朱嶺だが、別に豆腐が苦手というわけではない。むしろ美味しいものなら、さらに食欲増進だ。
こうなれば店の豆腐全部買い占めてやる。などと決意を新たにする暁治である。朱嶺の胃袋VS暁治のお給料。次の給料前に頭を抱えそうではあるが。
ちなみに崎山さんのお店では、地元特産、山田豆腐店の寄せ鍋豆腐が女性に人気である。山田豆腐店の本店は隣町の駅にあって、店頭で販売している豆乳ソフトが美味しいらしい。
「じゃぁ、今日は麻婆豆腐がいいな。麻婆茄子でもいいけど」
こいつはスプラッタ映画を見ながら、平気でカレーを食えるに違いない。少年との生きている世界の違いをしみじみと感じる暁治だ。そんなところで感じるんですか。と、石蕗辺りが聞いたらため息をつきそうだが。
「あんたほんと、変わらんね」
しみじみと呟く崎山さんは、おやつにどうぞと、白玉あんみつをお盆からおろした。店の新商品らしい。初夏に相応しい一品ではあるが、一体なんの店だかますます不明になりそうである。
「そうだ、サトちゃん。そろそろ夏だし、はるもアレの練習した方がいいと思うんだけど」
しばらく大人しく白玉をもぐもぐしていた朱嶺だったが、思い出したように顔を上げた。
「アレなぁ?」
「そう、アレ」
「アレ?」
アレで通じるんだと、首をひねる暁治だ。もちろんなんのことだか、さっぱりである。
「アレはこれっ!」
朱嶺は座敷に勝手に上がり込むと、タンスの引き出しからなにやら取り出して持って来た。
「花札か」
「そうそう」
赤と黒の鮮やかな絵模様のカードを見せられ、なるほどと頷く。
「はる知らない? 町内会とかの打ち合わせや打ち上げ接待に、欠かせないでしょ? もうすぐ夏祭りで集会も多くなるしね」
「いや、初めて聞くけど」
とはいうものの、暁治の家にも確かあった気がする。祖父の荷物の中に。
花札にトランプと、麻雀。将棋と囲碁の盤もあったはず。そうか、あれは接待用だったのか。
「正治さんは、古狐野町の雀鬼って呼ばれとってな」
「はっはっはっ、そうですか」
自慢げに祖父の過去を暴露する崎山さんに、引きつった笑みを返す。どうやら正治さんは結構お茶目な人だったらしい。
「そんなわけで、せっかくだしひと勝負しちゃお。五回ワンセットで、勝った人は負けた人にひとつ命令できます!!」
突然の宣言に暁治は手をあげた。
「それは賭けごとじゃないのか」
「もう、はるったら、固いこと言いっこなしよっ」
さかさかと目の前で配られる札に、つい手を伸ばす。見ればいつの間にか崎山さんも加わり、三つ巴の勝負となっていた。
なんだか嫌な予感がする。
「じゃんけんぽいっと、僕が最初ね! へへっ、鬼で松いただきっ」
「あ、おい松は俺が持ってたんだぞ!」
「ちっち、勝負の世界は厳しいのだよ、はるくん」
にんまりと白い歯を見せて笑う朱嶺に、ぷちっと頭の隅でなにか切れる音がした。
その後の記憶は定かではないが、勝負は崎山さんの圧勝。彼と朱嶺はしばらくお店の手伝いをすることになった。
「サトちゃん、古狐野町の緋牡丹お里と呼ばれててね……」
「そういうのは先に言え――ってか、なんでそれでひと勝負賭けるんだお前は」
素人同然の暁治である。異名持ち相手では勝負になるわけがない。
「だってほら、その場のノリってあるで――って重い重いっ、はるそれ無理だからっ!!」
手に持った在庫のビールケースを朱嶺の手の上に積み上げる。五百ミリリットルを一箱、二箱。もう一箱くらいいけそうだ。
よろめく朱嶺を見て、多少胸がすいたものの、もう二度とこいつの挑発には乗るまいと、固く誓う暁治だった。
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