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第一章《ギルド》「闇の権力者編」
第十八話 「国王陛下」
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「ここが、王宮...」
「事前に連絡はしてある。行くぞ」
門番に身分証明書を見せると、すんなりと扉を開けてくれる。お疲れ様ですと敬礼する門番に手を振り、私たちは中へと足を踏み入れる。
「アンナ本当に王宮の人なんだ」
「信じてなかったのか?」
「いや、そういう訳では無いんだけど...普段のアンナを見ていると、王宮とか学者とは無縁な感じがどうしても...」
バカにしているのか、こいつは?
普段の私?落ち着いてて大人なレディーだろ。私以上に学者が似合う17歳なんてそうそういないぞ?
「おかえりなさい、アンナさん」
「久しぶりだな大臣」
「陛下がお待ちです。お連れの方々も、さぁどうぞ」
大臣が私たちを王室へと案内する。私は場所を知っているので案内など不要なのだが、彼の性格上無視することもできなかったのだろう。実際お出迎えされて、なんだか実家に帰ったような安心感が私を包み込む。
レイはもちろん、ティアも王宮の中は初めてだから、2人とも緊張してるみたいだ。さっきから一言も喋らず、キョロキョロと辺りを物珍しそうに見ている。
この大陸で一番力のある国の王宮は流石に立派なものだ。壁には装飾品や美術品がたくさんあり、お洒落な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
壁に埋め込まれた装飾品の宝石1つでフライドさんの剣など余裕で買えてしまうかもしれない。私はもう見慣れたが、一般人にとっては見てて面白いだろうな。
長い廊下の突き当たり、巨大な扉の向こうに王室はある。知らなくても王の部屋だとわかるぐらい、大きくて立派な扉だ。
コンコン。重いノックの音が廊下に響く。
「陛下、アンナさん御一行をお連れしました」
「わざわざありがとう、大臣。入ってもらって」
懐かしい声が中から聞こえてくる。
「では、どうぞお入りください。私はこれにて失礼します」
「ありがとう」
大臣は一礼すると、そのまま帰っていく。
お出迎えなど、本来はメイドにでもやらせる仕事なのだが、あの大臣、ああ見えてツンデレなのだ。昔から可愛がってくれていたので、私に会いたくて自ら出迎えに来てくれたのだろう。
「陛下、失礼します」
重い扉がギシギシと開いていく。
「久しぶり、アンナ博士。連れの子たちも中へお入り」
「お久しぶりです、陛下」
「誰も居ないからいつも通りでいこうか、アンナちゃん」
「また一段と王らしくなったな、ハルト」
「まだまだだけどね」
そう言って微笑むハルトの笑顔は子供の頃から何一つ変わってない。
「ハルト、紹介するよ。仲間のティアとレイだ」
「え、エイ・ティア…です、陛下」
「青山・レイジと申します」
「ハハ、そんなに硬くならなくていいよ。アンナちゃんの友達なら歓迎だよ。僕の名前はハルト・ウォーカー、気軽に名前で呼んで。よろしくね」
「「よ、よろしくお願いします」」
「2人とも緊張しすぎ。ハルトはただのヘタレだからそんなに気を使わなくてもいいよ」
「酷いな、アンナちゃん…」
苦笑いするヘタレ。王だがなんだか知らないが、私にとってハルトはいつまで経ってもただの幼なじみでしかない。
まぁ、昔から真面目なハルトが、王として凄く頑張っているのはよく知っている。
ギルドに力を持たせてしまったことは彼の責任だが、実際ギルドのやり方はかなり狡猾なので、そこまで責めるつもりもない。
「さて、ハルト。本題だ」
「そうだね。会議室を用意したからそこへ行こうか。ほかにも話を聞かせたい人が居るしね」
「事前に連絡はしてある。行くぞ」
門番に身分証明書を見せると、すんなりと扉を開けてくれる。お疲れ様ですと敬礼する門番に手を振り、私たちは中へと足を踏み入れる。
「アンナ本当に王宮の人なんだ」
「信じてなかったのか?」
「いや、そういう訳では無いんだけど...普段のアンナを見ていると、王宮とか学者とは無縁な感じがどうしても...」
バカにしているのか、こいつは?
普段の私?落ち着いてて大人なレディーだろ。私以上に学者が似合う17歳なんてそうそういないぞ?
「おかえりなさい、アンナさん」
「久しぶりだな大臣」
「陛下がお待ちです。お連れの方々も、さぁどうぞ」
大臣が私たちを王室へと案内する。私は場所を知っているので案内など不要なのだが、彼の性格上無視することもできなかったのだろう。実際お出迎えされて、なんだか実家に帰ったような安心感が私を包み込む。
レイはもちろん、ティアも王宮の中は初めてだから、2人とも緊張してるみたいだ。さっきから一言も喋らず、キョロキョロと辺りを物珍しそうに見ている。
この大陸で一番力のある国の王宮は流石に立派なものだ。壁には装飾品や美術品がたくさんあり、お洒落な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
壁に埋め込まれた装飾品の宝石1つでフライドさんの剣など余裕で買えてしまうかもしれない。私はもう見慣れたが、一般人にとっては見てて面白いだろうな。
長い廊下の突き当たり、巨大な扉の向こうに王室はある。知らなくても王の部屋だとわかるぐらい、大きくて立派な扉だ。
コンコン。重いノックの音が廊下に響く。
「陛下、アンナさん御一行をお連れしました」
「わざわざありがとう、大臣。入ってもらって」
懐かしい声が中から聞こえてくる。
「では、どうぞお入りください。私はこれにて失礼します」
「ありがとう」
大臣は一礼すると、そのまま帰っていく。
お出迎えなど、本来はメイドにでもやらせる仕事なのだが、あの大臣、ああ見えてツンデレなのだ。昔から可愛がってくれていたので、私に会いたくて自ら出迎えに来てくれたのだろう。
「陛下、失礼します」
重い扉がギシギシと開いていく。
「久しぶり、アンナ博士。連れの子たちも中へお入り」
「お久しぶりです、陛下」
「誰も居ないからいつも通りでいこうか、アンナちゃん」
「また一段と王らしくなったな、ハルト」
「まだまだだけどね」
そう言って微笑むハルトの笑顔は子供の頃から何一つ変わってない。
「ハルト、紹介するよ。仲間のティアとレイだ」
「え、エイ・ティア…です、陛下」
「青山・レイジと申します」
「ハハ、そんなに硬くならなくていいよ。アンナちゃんの友達なら歓迎だよ。僕の名前はハルト・ウォーカー、気軽に名前で呼んで。よろしくね」
「「よ、よろしくお願いします」」
「2人とも緊張しすぎ。ハルトはただのヘタレだからそんなに気を使わなくてもいいよ」
「酷いな、アンナちゃん…」
苦笑いするヘタレ。王だがなんだか知らないが、私にとってハルトはいつまで経ってもただの幼なじみでしかない。
まぁ、昔から真面目なハルトが、王として凄く頑張っているのはよく知っている。
ギルドに力を持たせてしまったことは彼の責任だが、実際ギルドのやり方はかなり狡猾なので、そこまで責めるつもりもない。
「さて、ハルト。本題だ」
「そうだね。会議室を用意したからそこへ行こうか。ほかにも話を聞かせたい人が居るしね」
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