仁川路朱鳥詩集

仁川路朱鳥

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社会人(成人)

Amanita Fundamentum

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あまたの酸性雨を受け入れて
それらは高く伸びゆきますが
恵みの結末といえば
切り倒されるばかり

──鉄筋コンクリート製のきのこ

人の手の影が残る、
街路樹の根もない道を
安定性の島を探すように
白いところだけ歩く、

エンティティもないのに
存続する社会経済
嫌気性の菌でさえ
404 Not Found

──わたしは、ひとりで立っている

この有毒性の海からは
人間の罪を感じます
切り捨てた命と、
絶滅、
奇形が叫んでいる、
いっぱいの小さな海、
すべて殺された

世界中の建築物に使われる、
鉄筋コンクリートは
栽培されているもので、
かつては天然の鉄筋コンクリートも
生息していたそうですが
今はもう、養殖物しかありません
その養殖も失敗を重ね
失敗のビルができるほどに、
罪を重ねた末の区画、
かろうじて成功した街こそが
パラザフヤ

人間はいつもそうだ
誰も知ることのない
未知の次元へ、と
廃棄物を投げ捨てる
あなたたちって、いつもそう
ただ、被害者に徹するわけでもなく
悲観に溺れるわけでもなく
第3517世界線の住民として
あなたの罪を背負いましょう

パラザフヤのとれたて新鮮
鉄筋コンクリートは出荷され
あまたの家へと、ビルへと転用され
あまたの見えない遺骨を踏む
足元でささやく死のヘドロに
正気の花弁を捧げるな
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